2006-04-03

14.空白の殺意

中町信・創元推理文庫
もとは「高校野球殺人事件」と言ひ、江戸川乱歩賞の最終候補に残つたものの受賞できなかつた「教習所殺人事件」(その後「自動車教習所殺人事件」)が刊行された年の暮れに出たものだと、折原一氏の解説にある。題名はどうだらうなあ。折原氏はセンスがないと言ふけど「高校野球殺人事件」つて、センス云々よりも中身がそのままだからねえ。矢鱈と殺人事件を付けるのは如何なものかと仰る向きもあるけれども、だつて殺人事件だろ?なんとかの殺意が三つ続くのはセンスはあるかも知れないが逆に芸がなくないかい?中町氏が触発されてこれを書いたと言ふディクスン・カーの「皇帝のかぎ煙草入れ」を読んでみたい。書き方に登場人物たちや読み手の錯覚を促すといふ方法はここでも使はれてゐる。でも、それほどケレン味はないです。だから、なんでかうなの?つていふのもないです。

0 件のコメント: