2016-10-20

679.清水町先生

小沼丹・ちくま文庫。副題に「井伏鱒二氏のこと」とある。これは去年復刻された文庫である。井伏鱒二について書いたものが殆どだが、太宰治に触れたものもある。その中で太宰はこんなことを言つた、と書いてある。「芥川龍之介の自殺を、独身のとき、自分は無礼なことだと思つてゐた。妻子を残して勝手に死ぬとは無責任極まると思つてゐた。しかし、自分が結婚して子供も出来てみると、却つて安心して死ねる気がして来た。芥川の自殺を肯定出来るやうな気がして来た」と。妻子を残して勝手に死ぬとは無責任だ、までは普通。そのあとが違ふなあ。昔、NHKの番組で見てVHSに録画もした井伏氏の飄々とした雰囲気はここにもたくさん出てくる。読み返さうかなあ。VHSが見たいなあ。