2008-04-27

117.〜134.MONSTER 全18巻

浦沢直樹・ビッグコミックス小学館(used)
読み始めはいつだつたらう。2月の頭くらゐか。少しでも安く手に入れようと、あつちこつち捜しまはつて漸くけふ館林のBookOffで半額セールをやつてゐたので17と18を買つて来て読み終へた。読み応へは充分にあつた。凡そ二箇月かかつてるので、納得できない部分もあるんだけど、通した印象はもう一度ざつとでも読み返してからにしよう。けふは兎も角記録として。なにがMonsterだつたのか。この答へによつて、評価は変るかも知れない。──先づ、最終巻から振り返つて全体を眺めると、トルコ人街の焼き討ちとか、どこかの年寄りの町医者との話とか、省いてしまつても全体の印象はさうかはらない気がする。寄り道が多すぎないか。結末はもつと明確にヨハンの死、またはニーナの死で締め括つてほしかつた。テンマの死でもかまはない。怪物、怪物とさはがしかつた割に、怪物つてその程度なの?と疑問が湧く。

2008-04-21

116.種まく人──ヴィラデスト物語

玉村豊男・新潮文庫(used)
おしまひの章でベジタブルを読み解くところがある。生長・増殖するvegetateことが可能-able。「食用になる野草山菜のうち、人の管理下の植栽が可能なもの」をさう呼ぶ、と。農業は「人間が自然を自分の都合のよい方向にねじ曲げる行為」とも言ふ。が「実際には単に大きな自然のほんの少々のおあまりをいただくくらいのことしかできないのだ」といふ実感も語られる。長野の山奥に家を建て、農業を始めた経緯についてが語られるのだが、ところどころにかうした批評的な目が光つてゐる。「料理の四面体」もさうだつた。そこが面白い。

2008-04-17

115.高血圧の常識はウソばかり

桑島巌・朝日新書
カバーの裏にコピーして繰り返し使へる「書き込み式血圧チェックシート」が付いてゐる。それで買つたわけぢやないが。去年の10月に上が200といふ愕然とする数字を見て以来、高血圧に異常に興味を持つてしまつた。職場の健康診断のデータを調べたら5年くらゐまへまで130代だつのたが少しづつ上昇し始めたのだ。理由は解らないが、どうも尿酸値を気にして水を多く飲むやうになつたからではないか、と自己診断してゐる。生兵法は大けがの元。この本は実に読み易く、為になつた。ただ新書の宿命で物足りないのは否めない。どうすればいいのか、もつと具体的に、事例を挙げて、……なら病院で検査して貰ふのが一番だらう。

2008-04-12

114.不敵雑記 たしなみなし

佐藤愛子・集英社文庫(used)
実に愉しく読めた。途中で飽きちまふかと思つたが、最後まで面白く、特におしまひのはうの幽霊騒動。筒井康隆の「笑犬樓よりの眺望」の第一回目に佐藤愛子の「何に向かって」といふエッセイが引用されてゐたのを読んで、いづれ纏まつたものを読みたいものだと思つてゐた。たぶん氏の本を読んだのは、これが初めて。親子くらゐのトシの差があるが、佐藤氏が取り上げる懐かしさは、オレの記憶にあるものとさうかはらない。ほかのも読もう。「何に向かつて」が入つてるのを捜すか。