2006-03-26

13.田沢湖殺人事件

中町信・徳間文庫(used)
16冊目の中町信だ。これは終盤に入つてからの逆転に「さう来たか、やつぱり」と唸り、該当すると思はれる部分をもう一度読み返し、一応納得はしたけれども、再読だね、一応ストック分の中町作品を読み終へたら。と言ふのは、主に秋葉ちか子に関することで、立ち会へない立会人に関して秋葉はなぜ一言も触れないのか、それと手紙をどこまで読んでたか、で湖畔での対面はかなり違つて来る筈だし、いきなり北海道に行くのも、ピンク電話の番号も作為が見えてしまふ。どつちにしても、こんだけ続けて読む気になるんだから、面白いんだよなあ。

2006-03-23

12.七つの棺

折原一・文春文庫
太田イオンの喜久屋で図書カードで購入。(たぶん解説の立ち読みや誰かの批評の読み違ひ?の)先入観で綾辻行人氏の傾向なのかと思ひ込んでゐたが、少なくともこれは違ふ。密室殺人の茶化しで、痘痕も靨的に、ここがダメでイヤなんだけど好き、といふ茶化し。折原氏の作品は初めて読んだ。ディクスン・カーの名前が頻繁に出て来るけれども、恐らく1冊も読んだことはない。F.W.クロフツだつて最近だから。ディクスン・カーとヴァン・ダインは1冊も読んでない筈だ(変な自慢をするな!)。氏は北村薫氏の高校の後輩なんだとさ。北村薫氏の「空飛ぶ馬」かな、あれは図書館で借りたけど読まないで返した。なんか入つて行けないんだね。惹かれないものがある、としか言ひやうがない。薫序でに言ふと高村薫氏の作品は1頁読めない。最初の1行から先に行けない。頭に入らない。全く違ふ言語みたいだ。読んだことない序でに言ふと、司馬遼太郎と山本周五郎は1冊も読んだことないし、今後も読まないだらう。須田さんには悪いけど、立原正秋もたぶんオレは読まないよ。話が逸れたが、七つは多いね。元は「五つの棺」ださうで、そのくらゐの分量のはうが後味がいいかも。満腹。軽い笑ひの面白さと本格物的な密室の両方が味はへる。

2006-03-19

11.湯煙りの密室

中町信・講談社文庫(used)
「下北の殺人者」「津和野の殺人者」に続くもの。シリーズなのか連作なのか知らないが、他の2作のどつちかの解説にそんな風に出てゐた。なかなか面白かつた。この前に読んだ「社内殺人」よりも気合がはいつた。そのせゐか、残念なところが幾つか見付かつてしまつた。フェアぢやないよ、と思ふ所もあつた。その1.英彦は牛島に高校2年からギターを習つてゐた、と。で、三浪にならうとしてゐるわけだから、丸四年の付き合ひがある。なら、顔見知りでせう。なのに、気付かないのはをかしい。英彦は「近眼」で「風呂に入る時に眼鏡を外す習慣があつた」とは、どこにも書かれてゐない。つまり露天風呂の湯煙の中でも人違ひはしないだらう。まして脱衣室で。これがすつきりしないぞ。その2.同様に、牛島の妹だつて知つてる筈。交際してた、と書いてあるのに、まるで知らない受験生みたいに姉に言ひ、あんな悪戯するか?その3.胸が見えて女だと思ふのはいい。でもバスタオルを巻いてたら見えないし、従業員なら注意するんぢやなの?その4.最後に英彦の置手紙は、確かに後で正直に話す、と言つてるから、曖昧なのは仕方ないけど、これはフェアーぢやないよ。……などと言ひつつ、結構面白く読んだし、性懲りも無くこれからも続けて読むんだからなあ。

2006-03-18

10.社内殺人

中町信・徳間文庫(used)
慣れて来たとは言へ、ちよつとその推理は違ふんぢやなか、と思ふが「これだ」といふ決め手がないから、又しても登場人物の言説に振り回され、いつものやうにその時点で最も有力な容疑者が殺されて、……。仕掛けは最後まで読めないけど、事件そのものが一連のもではない、といふアクロバットや思ひ違ひの騙しが案外癖になる。

2006-03-16

9. 不可解な使者

佐野洋・光文社文庫(used)
「約束」をテーマにした連作短篇集。雑誌連載時は「約束の果て」といふタイトルだつた、と解説にある。一つ読み終へる度に思はず唸つてしまふ。上手いなあ。約束絡みの事件や犯罪に読み手を導いて行く、その持つて行き方が上手い。それと最後の解決の仕方も、よく作られてゐるのに作為を感じない。爽快なミステリーだね。20代の頃、軽井沢で別荘の管理人をしてゐた頃に矢鱈とミステリーを読み漁つてゐて、かなり佐野洋と結城昌治を読んだけど、貴重な酒をチビチビ飲むみたいに読みました。蛇足だが、解説に「当を得ていてかつ洒落ている」と書かれてましたが、「的を射て」ではありませんか?

2006-03-15

8. 飛騨路殺人事件

中町信・TOKUMA NOVELS(used)
これは意外。仕掛けが読めなかつた。「とか」もずゐぶん減りました。中町氏の蓄へはまだまだあるので、がんがん読むぞ。BookOffだけで見付けてたけど(渋川のBookOffが穴場で状態のいいのが置いてある!)、太田の「ほんだらけ」で3冊見付けた。

2006-03-03

7.津和野の殺人者

中町信・講談社文庫(used)
「下北の殺人者」の次に書かれたもので、こつちのはうが面白かつた。中町作品を手に入れられるだけ集めるつもりになつた。長篇が43作品くらゐあつて、絶版ぢやないのは10作品ないのでは?集めるの大変だぞお!尤も全部読まう、つてワケぢやないから。せめて半分。シリーズものは一応そのうちの一つくらゐは読んで他のと比べたい。因みにこれはシリーズではない。