2013-01-30

古谷実「グリーンヒル」1〜3講談社ヤンマガKC(522〜524・used)こつちのはうが「ヒミズ」に近いかもしれないね。グリーンヒルのメンバーで床屋の伊藤茂つて、「僕といっしょ」の伊藤茂とおんなじ顔してるんだけど。で、佐藤と結婚しちまふミドリちやん、この後でいろんな作品に登場する女の子の原形だね。あとは「稲中」といま連載中の「サルチネス」だけ。

2013-01-29

後藤明生「小説──いかに読み、いかに書くか」講談社現代新書(×2)。田山花袋の「蒲団」をめぐる中村光夫への反論や志賀直哉の直写について書かれた辺りを読み返さうとして、結局最初から最後まで読んでしまつた。氏は宇野浩二を贔屓にしてゐるやうだが、横光利一にも椎名麟三にも引つ掛かつてゐるらしい。

2013-01-28

古谷実「僕といっしょ」1〜4講談社ヤンマガKC(518〜521・used)状態はあまりよくないけど、amazonで全巻セットだつたので文句は言ふまい。最近BookOffでどれも105円で全巻揃つてゐたのを見掛けたが、人生といふものはさうしたものだ。急いては事を仕損ずる、と言ふ、かと言つて待てば海路の日和あり(だとばかり思つてゐたら、OS附属の辞書で確認したらなんと「待てば甘露の日和あり」の言ひかへなのだつだ!)、とは限らないけど。これは「稲中」のすぐあとの連載のやうで、絵も「稲中」寄りかな。「稲中」は1巻読んで挫折したんだけど、これも近いものがある。笑ひが奇矯だよね、eccentricといふんでせうか?manneristicと言ふか、強引さがあるね。車で拾つたお金と拳銃は結局どうなつたのか。

2013-01-11

東直己「探偵はバーにいる」ハヤカワ文庫(517・used)正月に娘と一緒にテレビで探偵ものを見てた。嵐の松本を始めとする7人の探偵事務所の連続ドラマの再放送だつた。それに大泉洋が出てゐて、さういへば「探偵はバーにいる」つていふ映画に出てたなあ、と思つた。で、原作読んでみよう、と探したら、あつた。面白かつた。軽めのハードボイルドといふ感じ。それでもやつぱりハードボイルドの探偵はタフだ。病院へ行つて治療を受けたりはしない。調べたら映画のはうは続篇の「バーにかかってきた電話」を元にしてゐるらしいが、更にもう一作読む気力はないね。

2013-01-07

藤原審爾「新宿警察」双葉文庫(516・used)連続テレビドラマにもなつたといふ警察小説。ほかにも数冊出てゐるが、これが第一作。1975年に双葉社から刊行された。38年前の作品。謎解きとしては今ひとつだが、複数の場面や人物、出来事が交錯する書き方は映像を見るのに似てゐるかもしれない。P53「オカツの後に出れるところで信号が」→「出れる」とは新しい。P66「パンにミルクにうで卵」→「うで卵」は「茹で卵」のはうが一般的だ。P81「前科が三犯もある風太郎」→「風太郎」は「ふうたろう」とルビあるが「ぷうたろう」の意、Macの辞書には出てゐた。P98「拾つた流しはエントツをやらせたし」の「エントツ」がちよつと解らない。タクシーが空車の札を立てたまま走ることらしいが、この話の中での意味がしつくりしない。P137「どうにか暮らして大学も出れた」→「出れた」はさすが。この頃から「ら抜き」があつたんだねえ。

2013-01-02

イアン・アーシー「マスコミ無責任文法」中央公論新社(515・used)清水義範の本で名前を知つたイアン・アーシーが書いたものをamazonで探して3冊集めた。どれもをかしな日本語を扱つた本で、絶版になつてゐるものもあつた。ほかの2冊はどれも半分近くまで読んでゐるのだが、そこから先へ進めない。どうにもくどい、と言ふか衒学的と言ふのか。だんだん笑へなくなつてしまふ。これもやはり似たやうなところがあるのだが、エッセイや論文めいた書き方ではなく、SF風の設定がされてゐたので読み終へることができた。