2006-09-26

50.99.9%は仮説

竹内薫・光文社新書
さうだねえ、ツカミの「最先端の科学でも飛行機がなぜ飛ぶのか解つてない」で買つてしまつた。と言ふか、立ち読みしてゐるうちに、ここで読んでるなら買つちまつて最後まで読まう、と思つたからだ。本屋で本を買ふ時つて、大抵さうなんだけど、……。後半で触れられるホーキング氏の「実証論」が一番面白かつたかな。ホーキング氏関係をちよつと読んでみたくなつた。難しい、と脅してるから、うんと解り易いものから。竹内氏の著書はもう1冊、「ペンローズのねじれた四次元」(講談社ブルーバックス)といふのを読んだことがあるが、それに比べたらこつちは随分解り易い。砕けてゐると言へば聞こえがいいが、(笑)なんてのが挟んであるのは、ちよつと巫山戯すぎだらう。……これでちやうど50冊。Blogタイトルに因んで年間50冊を密かに目安にしてたから、一安心。

2006-09-18

49.漫画の時間

いしかわじゅん・新潮Oh!文庫
読むのに時間が掛かつたのは取り上げてる作品の数が多いからで、漫画評論集と裏に書いてあるけど、それは主に最初の「漫画の読み方」だらう。これをゆつくり読みたくて買つたやうなものだのだ。漫画家になりたかつたオレにとつては目からウロコの部分もあつた。他はコラムと言ふか寸評で、知らない漫画家が多いのに驚いた。

2006-09-10

48.越後路殺人行

中町信・ケイブンシャ・ノベルズ(used)
奇しくも去年の9月8日、イオン太田の喜久屋書店で購入し、9月10日に読み終へた創元推理文庫「模倣の殺意」からちやうど1年。集め続け読み続けた中町作品もこれが最後。改訂版を含めて31冊読んだことになる。まだあと10作品くらゐは300円以内で手に入る筈だが、もうこの辺でいいかな、と。他にも読んでない本が幾つもあるから。──といふ訳で、最後になつた中町作品は題名からも解る通り多門耕作シリーズの第2作目。もう1つの「奥利根殺人行」は入手不能。お色気シーンがある、といふ風に中町信をめぐるサイトには出てゐるけど、かういふのをお色気シーンといふのかなあ。……まあ、それはいいとして、事件が一度解決したと思はせてから、些細な疑問からドンデン返しになるのは意外だけど、ぎりぎりまで犯人扱ひされてた人間の心情と言ふか気持ちのはうはどうなんだらうねえ。気の毒なんてもんぢやなく、一種の冤罪だもんなあ。犯人の読みは当たつてゐた(だつて31冊も読んでるんだから、どんなに捻つて書くのが得意でも、或る程度のパターンは見えるでせう)が、動機は外しました。

2006-09-07

47.レイクサイド

東野圭吾・文春文庫(used)
映画になつた「レイクサイド・マーダー・ケース」(監督・青山真治)のDVDを先に見てゐる。役者が揃つてゐる中に(これはいつか誰かに言ひたいと思ひつつ、なかなか機会がなかつたので、ここで敢へて言つてしまはう、この映画の中でも何度か出て来るが、台詞によつて気味の悪い口周辺の動きを見せるので嫌ひな)薬師丸ひろ子が出てゐるのが配役についての不満だが、全体にどこか食ひ足りない映画で、さうだなあ、例へば伊丹十三氏の映画を見た時に受ける感じに似てるかも知れない物足りなさ。映画に関する理屈・理論や技術、感性なども優れてゐる、秀でてゐる監督、なのだらうが、その画面から受けるものはもう一つの現実ではなくスクリーン幕みたいに薄つぺらな世界、といふ風な感じがする。かなり大胆に、生意気なことを言つてるので、そこまで言ふならお前が撮つてみろ、つて言はれるかも。──ま、映画のことは兎も角、原作を読みたいと思つたのは、まあ、そんなことからで、2軒梯子したら状態のいい古本で見付かつた。東野圭吾氏のものは一度も読んだことがない、と思ふ。別に敬遠してゐたわけでも、高村薫氏や北村薫氏(なんと2人とも「薫」ぢやあないか!)のやうに「読めない」と感じたわけでもない。幾つも書いてるみたいだから、いつでもいいや、みたいな感じだつた。──で、映画は原作とはまるで違ふ、と、これも敢へて言つてしまはう。登場人物の数や性別の変更もさうだが、この小説の中でオレが一番いいと思つた場面が映画にはないことだ。並木俊介が事件の真相を知り、車に乗り込む。p265の最後の行から描かれる場面が堪らないだらう?子どもを持つ親なら、結構ジーンと来ると思ふんだけど。最後の最後で、そのことがまた新たな意外な犯行の動機を示すことになるのは見事だけど、悲しいねえ。

2006-09-03

46.能登路殺人行

中町信・ケイブンシャノベルズ(used)
シリーズものが幾つかあるのだが、最初のシリーズが売れない推理作家・氏家周一郎もので、これは作家専業になる前年くらゐから始まつて、かなりの作品数がある。因みに11作。次に課長代理・深水文明、探偵・多門耕作が前後して始まる。深水が4作。多門が3作。そして翻訳家・和南城健もの4作、一番新しいのが浅草寿司屋の山内鬼一もの3作だ。これまで多門耕作シリーズはBookOffでは手に入らなくて、Amazonで探してもダメだつたのが「ふるほん倶楽部」で漸く見付けた。のつけから真犯人が登場してゐることがある氏の作品の中ではゆつくりめ。ダイイング・メッセージが作り過ぎてる気がするし、真相解明までにゴタゴタしてるやうに思ふが、面白く読んだ。これにも「推理作家殺人事件」みたいな男女の絡みがちよつとが出て来る。余談だが、氏の6年前の新作(と言ふか、それ以降作品が発表されてない)「錯誤のブレーキ」がAmazonで5,000円で売りに出てゐた。オレは400円で買つたけど。愈々手に入らなくなるのかなア。