2009-12-31

コナン・ドイル/延原謙訳「シャーロック・ホームズの事件簿」新潮文庫(238)読了する。漸く25年前に買ひ揃へたホームズも残すところ、あと一冊、「シャーロック・ホームズの叡智」だけになつた。ドイルのホームズものは長篇4冊、短篇集5冊なのだが、この新潮文庫では10冊になる。その辺りは解説に書いてあるのだが、この「叡智」といふ本は出版社と訳者で作つたものなのださうだ。つまり長さ、厚さの関係で適当に割愛し、最後に割愛したもので「叡智」といふのを作つた、と。よくまあ、そんな勝手な真似ができたものだ。いまは他の出版社からも翻訳が出てゐるが、そつちはどうなんだらう。いづれにしても、相変はらず読みにくい。漢字を敢へて平仮名にしてるところが特に読みにくい。理由が判らん。まへにも書いたが、言ひまはしがまるで時代劇だよ。テレビの「水戸黄門」だつて、もつと今風だぞ。重箱の隅を挙げると、……P148では「かわいい」なのに、P157では「かあいい」。P194には「うでる」、これは「ゆでる・茹でる」だらう。岩波の国語辞典でも「うでる」には「→」があつて「茹でる」を引くやうに指示がある。P196「一匹のハイすらあえて殺し得ざる」?「ハイ」は「蠅」のことか。謎解きも、会話が中心で進むし、ホームズだけが知つてることばつかりで、読むはうは蚊帳の外。パロディかと思ふほど、ピンと来ないね。

2009-12-28

遂に読み終はつてしまつた。R・D・ウィングフィールド/芹澤恵訳「夜のフロスト」創元推理文庫(237)。その厚さ、なんと761頁。旧約聖書かと思つたぜ。読み応へ満点だ。それにしても今回のフロストは土壇場で大失態かと思はせて、まんまと引つくり返す。解説に出てるドーヴァー刑事の本が読んでみたくなつたよ。きつと面白い(俺の直感がさう言つてる)。が、そのまへに、「フロスト気質」上下巻を片付けちまはう。

2009-12-21

まだ読みをはつたワケではないが、「夜のフロスト」半分くらゐ一気に読んだ。相変はらず面白い。「フロスト気質」も買つてあるし、暮れまで充分楽しませて貰はう。最後の「Winter Frost」の翻訳がいつ出るのか、待ち遠しい。

2009-12-14

けして悪く言ふつもりはない。面白かつたし、P395の最後には戸惑ひと驚き、さうか、さう来たか、は、ある。先づ、上手だよね。と、文章が上手いなあ、と思ふ。一つの文章を読み返すことも、まへのページへ戻ることもなく、どんどん読める。これはなかなか難しい。貫井徳郎「慟哭」創元推理文庫(236・used)を読んだ。ボロボロぢやないのを渋川のBookOffで手に入れたので。……しかし、P338〜339の犯人からの手紙はネックだらう。これを素直に、さういふ悪戯の手紙はいくらでも来るんだな、と受け取るか、いや、これはをかしいぞ、と見るか、これは賭けかも知れない。最後まで読んでから、ちよつと待てよ、と読み返したのは、この部分に無理があるやうな気がしたのだ。オレは正直、これはズルくね、と感じた。ま、書き手寄りに読めば、さう期待してるのだらうか。まへに読んだ「プリズム」でも感じたことを、これにも感じた。ここまで書くのなら、もつと汚れた、穢い部分まで書かないといけないんぢやないか、といふこと。スマートで行儀よく、見栄えもいい、お手本のやうです。上手く言へないのでhiko7 newsで書くかも。