2011-05-10

佐野洋「動詞の考察」講談社文庫(395・used)。佐野洋の短篇集は外れがない。動詞を使つたタイトルで10篇。謎があつて、それが解決する。いかにもありさうな謎があり、その解決の仕方が意外である、さういふ短篇ばかり。

2011-05-05

三友恒平「必要とされなかった話」IKKICOMIX小学館(394・used)始めて見る絵で、しかも1巻ものだつたので買つてみた。童話といふか、絵本のやうな絵で、鉛筆画ぢやないかと思つた。或る村で村人が預けてゐる食料倉庫が焼け、食べるものが乏しくなり、村長の判断で6人の人間が村から追放になる。その村で誰からも必要だと指名されなかつた人たちだ。たつた1人の肉親である姉が婚約者を選んだため、誰からも必要とされなかつた、その中の1人の少年・織春(オリハルと読む)が主人公。なにが言ひたいのか、よく判らなかつた。始めのはうで、村長と織春とが会話する中に、織春は流行病によく効く薬を一つだけ持つゐるといふ話が出て来るが、その後、その話には触れられない。倉守の家の火事については、もつと徹底的に出火原因を調べるのではないか。兎に角不思議な絵で、ほかにどんなものを書いてゐるのか、ちよつと知りたくなつた。