2006-01-26

1.西南西に進路を取れ

鮎川哲也・集英社文庫(used)
これは22日には読み終へてゐた。「フランドルへの道」とほぼ平行して読んでゐたもので、ほかにも幾つか読みかけがある。
氏の短篇集の一つなんだけど、もしかしたら読んだことがあるかも知れない。と言ふのは、20代の後半に氏のミステリィを読み漁り、文庫で手に入るもの(「死びとの座」は単行本)は長篇から短篇までほぼ凡てを読んでゐる、と頭のどこかに書いてあるからだが、中身をすつかり忘れてゐたので新鮮に読めた。吉田健一が大衆文藝時評で何度も氏を取り上げてゐる。だから鮎川哲也を贔屓にする、と言ふわけではなくて、それは寧ろ後で吉田氏の時評を読んで気付いたこと。ミステリィだなんだと言ふ前に、普通に小説として読めるもので、その小説の中でたまたま殺人事件が起こるに過ぎない、といふ風な説明だつたかな。

2006-01-11

フランドルへの道 (1)

クロード・シモン/平岡篤頼訳・白水社
さて、なにから書けばいいのか、……取り敢へず始めよう。始めの5、6頁を読んだ辺りで、いつも「ああ、もつとゆつくり読める時間がほしい、」と思ひつつ果たせないまま返却日を迎へてしまふ。これを何度繰り返したことだらう。館林の図書館でも4回、いや5回、大泉の図書館でも2回は繰り返してゐる気がする。久しく絶版のままだつたが、遂に去年の秋、白水社が漸く重い腰を上げ、手に入れることが出来た。立て続けに復刻が出て、シモンの本は4冊揃へることが出来た(が、実はもう1冊「アカシア」といふのがほしいのだが、復刻の見込みがない)。そのうち、もつとも早く書かれたのが、この「フランドルへの道」で、きのふどうにか第一部を読み終へたのだ。正直、頭が草臥れた。どんどん頭が悪くなつてゐるなあ。