2015-11-29

634.ま・く・ら

柳家小三治・講談社文庫。腹が痛くなる程笑つた。小三治師匠が見たい、聞きたい。たまたまAmazonのレビューを見たら、殆ど★五つか四つなんだけど、1人だけ★二つといふ評価の人がゐて、文字にすると面白くない、といふんだけど、いやあ、ちやんと伝はりますよ。それは実際に見たはうが更に面白いだらうとは思ふけどね。続篇のはうがもつと面白い、つていふ人もゐて、それなら是非とも続篇を読みたいものだと思つたくらゐです。

633.医学常識はウソだらけ

三石巌(祥伝社黄金文庫)。分子生物学が明かす「生命の法則」といふサブ・タイトルがあります。岡本裕といふ医師の本に続けて、また現代の医療に批判的な立場の人が書いたものを読んだのだが、この本はなにが言ひたいのかよくわからなかつた。立場がよくわからない。まあ、一般向けに、オレみたいな人間にも理解し易くするために砕いて書いたものなんでせうが、そのせゐかなあ。もともと物理学者で「還暦を機に医学に造詣を深め、分子生物学に基づいた分子栄養学を創設」(カバー裏袖の人物紹介による)した人で、95歳で亡くなつてゐる。
こつちが似たやうな見方、考へ方をネットや別の本で頭に入れてゐたせゐもあるだらう、高血圧は塩分の摂り過ぎが原因ぢやない、とか、卵はコレステロールの元なんてウソだ、とか。タイトル通り、あれもウソこれもウソ、あれもダメこれもダメの連発で、痛快と言へば痛快なんだけど、細かいところをほじくると、人間の意志とか、向上心といふか、努力なんてものは無駄で余計なことだと、ジョギングやゴルフやダンベル体操なんて活性酸素を大量に発生させるだけだし、ジョギングなんてそれで死んだ人が何人もゐる、と言ひたい放題。でも自分でやつてるスキーはいいんだとさ。なんだそれ、でせう。
それで、肝心な、かうすればいい、といふ点が曖昧。「薬と違つて副作用の心配がない」「活性酸素を除去する物質を」「スカベンジャーと呼」ぶさうなのだが、これがビタミン類を始めとして数千種類あると言ふクセに具体的にこの数千のスカベンジャーの一覧なり、説明は書いてないんだよね。P67に「スカベンジャーとなる食品」といふ表はある。ほかにも「主なビタミンのはたらきと性質」といふ表もある。でもこんな表はどうでもいいので、三石理論(さういふ画期的な理論があるらしい)の根幹となるビタミンとタンパク質とスカベンジャーといふ三種の神器の「スカベンジャー」がまつたくわからない、謎のまま終る。その辺、読み落としてるかもしれないから、もう一度読みますけどね。P280、一番最後で「本書で紹介されている栄養補完食品についてのお問い合わせは、左記に」とあつて、会社名とホームページのアドレスが書いてある。早速、スカベンジャーとはなにかを知るべくHPを覗いてみると、三石理論に基づいた「ヒト・フード」と称する健康食品の販売会社でした。アンドルー・ワイルもさうだし、寺山心一翁もさうだし、セルフケアの野本篤志もさう、岡本裕(e-クリニックといふサイトがあつて、そこでも氏の本で触れてゐる安心できる、信頼できるベース・サプリメントを販売してゐるのだ)もさう、みんな商売なんですね、新興宗教みたいなんですね、だからどれを読んでもどこかで自分に都合のいい結論に持つていく、さういふ印象がある。ちよつと長くなつたけど、もうこんなもんかなあ、かういふ手の本は満腹、ゲップが出さう。(さう言ひつつもアンドルー・ワイルだけは違ふ、と思ひたいんだけど、……。)

2015-11-28

613.〜632.JIN-仁- 1〜20

村上もとか・集英社(used)。たまたま再放送の第一回を見て、面白さうだと思つた。テレビドラマを全部見るのは鬱陶しいので漫画を読むことにしたのだが、全巻揃へるのに手間取つたから二三箇月掛かつたかなあ。やつぱり連載の長い漫画はサイドストーリーが余計だなと感じるものがある。20世紀少年にも、モンスターにもあつたし、古いところではドラゴンボールか。別に目くじら立てるほどのことでもないが。スリの女の子が岡つ引きの親分に陵辱されるところは要らないと思ふ。そもそもかういふシーンが嫌ひで、裸の絵は好きだし、気取つてると思はれると心外なんだけど、人間として許せない行為は見たくないといふだけのことだ。明治維新にかかはるところも、もう少しダイエットしてほしいかな。坂本龍馬に肩入れし過ぎでないかい。白けるね。最後で解せないのは同じ人間が二人存在することになるといふことですね。これを認めたらなんでもありでせう。フィクションだから、漫画だから許されるんですかねえ。こないだhiko8さんにそのことを言つたら多元宇宙といふことでせう、とのこと。章のタイトルにちやんと「その4 二人の仁」つて書いてあるよ、と。確かに。さういふところ読まないんだよね、オレは。漫画の小見出しみたいなものは殆ど読まないので、失礼しました。もう一度読みたいと思ふ作品でした。(「め組の大吾」と「鋼の錬金術師」と古谷実の本を読み返したいんだけど、時間が取れない。)

2015-11-01

612.9割の病気は自分で治せる

岡本裕・中経の文庫(used)。自然治癒力、自己治癒力といふものへの興味から、どうしてもかういふ本を読んでしまふ。自分の病気の先にあるもの、仮に抗がん治療へ移つたとしても、その先には何もない。それ以降の、更に効果的な治療はない。とすれば、自分で治す、完治しないまでも生き抜くためには、治癒力を高めるしかない。なによりも先づストレスを減らして、とすれば定年はよい時期だとも言へる。P178に書いてある、嫌なことはしない(NO)、したいことだけする(WANT)、いい加減に(SOSO)、を大切にしませう、なんてことは勤め人には無理な相談だから。同様の本の中では示唆が多い。アンドルー・ワイルみたいなタレント性は乏しいけど。因みに著者は医師。