2013-11-29

560.木野塚探偵事務所だ

樋口有介・創元推理文庫(used)。岡嶋二人の「なんでも屋大蔵でございます」を思ひ出した。あつちはハードボイルドではないが。ユーモア・ハードボイルド連作5篇。続篇(長篇)と一緒に購入した。始めのはう、奥さんとのやりとりが実に面白い。P140、「しかしここは東京のどまんなかなのだ」。どまんなか、かあ。

2013-11-25

559.食卓の情景

池波正太郎・新潮文庫。鬼平(四)の解説を書いてゐる佐藤隆介といふ人がその解説で触れてゐた本である。この人、広告代理店のコピーライターを経て池波氏の書生をしてゐたさうな。いまどき書生も珍しいが、よほど心酔してゐたものと見える。この本の解説も書いてゐて褒めまくり。それはさておき。題名からも解るが食べ物を中心に昔の思ひ出が語られる。祖父、母、師長谷川伸のこと、親友井上留吉のことなどだ。子どもの頃の東京下町の風景や取材で出かけた京都の話、新国劇の話。それにしても健啖家といふべきだらう、池波氏、誠によく食べる。食べ物に興味がなければ作品にも食べ物の話は出ないだらう。

2013-11-24

558.「今はひとりがいい」というキッパリ!とした生き方

鴨下一郎・新講社(used)。なんとも長くて奇妙なタイトルの本なのだが、Book Offでウロウロ(鬼平を中心に池波正太郎、黒川博行の文庫を物色)してゐたら目について、読みたいと思つたのだ。なぜだらう、読み終はつたら、余計わからない。20日に読み終はり、「マーフィーの法則」と同じく読まなかつたことにしようと思つたほど、なにも書くことがない気がしてゐたのだが、ちよつと整理して置きたくなつた。なぜこの本を買つたのか、について。
要するに、自分がいま孤立無援の状態にあると勝手に思ひ込んでゐて、そこから一つ飛び抜けたい、乗り越えたい、さういふ思ひがあるのだらう。その手助けになるかもしれない、読むことで何かが見えるかもしれない、そんなところか。実際は期待外れだつたわけだが、恐らくこれは女性を対象にした恋愛や会社、友人などの対人関係の悩みへの心理学者のアドバイス本なのだらう。

2013-11-15

雨に殺せば

黒川博行・文春文庫(×2)。これには創元版があり、そこにはなぜ黒田憲造が黒木憲造になつたのか、といふ説明があるらしい。シェ・モアのママと黒さんがどうにかなつたらいいのになあ、と思ふ。

2013-11-05

二度のお別れ

黒川博行・創元推理文庫(×2)。なんとなく読み返したくなつたのはなぜだらう。黒マメコンビの大阪弁のやり取りが読みたかつた、黒川博行の本が読みたかつた、どつちでもいいことだ。読み返して、事件の内容は思ひ出したが、どんな風に書かれてゐたかは曖昧だつた。読み終へてから次の「雨に殺せば」も読み返さうか、と書き出しを読んだら、「二度のお別れ」によく似てるのだ。事件そのものは違ふけれども、主人公が帰宅して上司からの電話を受ける。「努めて平静な口調で喋ってはいたが、眼と眼の間がせまくなり、唇がへの字に曲るのまで隠す必要はなかった。」これがおんなじ。ここでは所帯持ちの黒田憲造、「雨」は独身の黒木憲造。ま、そんなことはどうでもいい。兎に角、黒マメコンビは面白いのだ。まへに読んだときにも書いたが、解説の人が言ふやうに最後はマメちやんの名推理で解決してほしかつた。