2008-12-31

区切りといふことをhiko7newsで言つてたくせに敢へてこつちはズルズルと「Ⅱ」に移行することを選んでみた。またこの際だから「才」は「歳」と正しい字にした。「一日一生」はほぼ半分ほど読み進んだところで、本で知つた阿闍梨について先づ控へておくと、阿闍梨とは天台宗比叡山を約7年かけて1,000日間、回峰巡拝する千日回峰行を成し遂げた人に与へられる尊称であり、大行満大阿闍梨と呼ばれる。記録に残る阿闍梨は(織田信長の比叡山焼き討ち以前は記録が残つてゐないが、それ以降の)400年間で49人。戦後、1945年以降で12人。但し、酒井阿闍梨は1980年(54歳)、1987年(61歳)と続けて二度満行した。二千日回峰行を成し遂げたのは400年間で僅かに3人しかゐない。100年に一人ゐないわけだ。しかも、最高齢だといふ。更に、酒井阿闍梨は40歳で得度するといふ坊さんとしてのスタートが非常に遅いのだ。だからまあ、ぜひとも読んでみたいと思つたわけだが、やはりお坊さん特有の説教、講話的なものが多いのだが、なにしろ坊さんになるまでの紆余曲折が半端ではないので説得力がある。
この本を探してるあひだ娘と一緒にゐることが多く、いろいろ阿闍梨とはどんな人で、と説明してゐたのだが、念仏を唱へて人を救ふといふことが呑み込めない。医者みたいに病気を治せないのなら、なにができるのか、と聞かれて答へられない。つまりオレには坊さんのことも宗教のことも、ましてや阿闍梨なんてまるで解つてゐないといふことなのだ。

2008-12-30

きのふの朝刊の一面、下のはうに書籍の紹介があつて、そこに天台宗大阿闍梨、酒井雄哉著「一日一生」といふ朝日新書の記事があつた。ぜひ読みたい、と思つて2箇所(渋川からの帰途に寄つた大胡町と足利市朝倉)の文真堂に寄つたけれども在庫なし。遅くなつたので、明日にしよう、と。
それでけふ、新しくできた「スシロー」で昼を食べた帰り、近いから寄つてみたハーヴェスト・プレイスの本屋にも置いてない。太田イオンの喜久屋に行くしかないか、いや待て、アピタのくまかは書店は結構揃つてるから、と覗いたらあつた。まだ読み始めてないんだけど、どうやら聞き書きを纏めたものらしい。生まれ変はる「読書日記」の最初に相応しいかも知れない。これを読みながらブログを書いてくつもりなので、どんな風になるだらう。

2008-12-28

176.ループ

鈴木光司・角川書店(used)
文庫が出回つてないのか見掛けないので単行本で105円だつたから買ふことにした。三部作の最後、解決篇とでも呼べばいいのか。なにがなんだか、……。物語形式のPHP文庫なんかでよくある最新科学情報ダイジェストみたいな感じかな。全体の構想に作者のマッチョな腕力を感じる。あとがきに「物語がどう展開するかなんて、作者であるぼくにもまったくわからなかった」と書いてあるけど、嘘でせう。きつちりストーリーが出来てゐて、そのうへを人物が動いてるとしか思へない。ホントに蛇足ながら、第三章に入つてすぐ、主人公の馨がウェインスロックといふ砂漠の中の廃墟でバイクを降り、廃屋に辿り着いて42時間パソコンを見るといふ展開になるのだが、P200の6行目、バイクのエンジンを切つてないんだよ。このまま42時間戻らない。600ccのXLRはガス欠にならないのだらうか?

2008-12-23

175.仄暗い水の底から

鈴木光司・角川ホラー文庫(used)
短篇のはうが読み易いかも知れない。「リング」「らせん」よりも面白く読めた。

2008-12-20

174.日本史集中講義

井沢元彦・祥伝社黄金文庫
読み物としては充分面白かつた。歴史に関する本としても、副題にある「点と点が線になる」まではいかなくても、因果関係が説明されるので流れとして摑める。が、やつぱり網野善彦の「日本の歴史をよみなおす」の驚きには及ばない。

2008-12-17

173.不完全犯罪

広瀬隆・集英社文庫(used)
さう、あの「東京に原発を」の広瀬隆の短篇小説集。ほんとに短い18篇。サキを連想したのだが、もつとビアスに似てゐるかもしれない。なかなかの皮肉な(ときに残酷な)結末。ペダンチックといふか、凝つた文章ではある。その分古臭く見える。

2008-12-16

172.貨客船殺人事件

鮎川哲也・光文社文庫(used)
読者に挑戦する犯人当ての短篇集。9篇。ちよつと時代的な古さを感じた。「黒いトランク」のうがよつぽど古いんだけど、なぜだらう。一番古いのが昭和42年、新しいのが昭和59年、ほかは昭和45年が4篇、46年1篇、47年1篇、不明1といふ具合。因みに全問正解とは行かなかつた。

2008-12-14

171.文学的商品学

斎藤美奈子・文春文庫(used)
小説以外のものが読みたくなつて、立ち読みしてたら面白さうだつたのは、「第2章ファッション音痴の風俗小説」の中で渡辺淳一の「失楽園」と丸谷才一の「女ざかり」を取り上げてゐたからで、渡辺淳一の本は一冊も読んだことがないのでなんとも言へないが、丸谷才一はたぶん「裏声で歌へ君が代」だつたと思ふんだけど、確か主人公の男がエレベーターを逆走するシーンで始まつて、そのときの服装をいかにも美術商(だつたかなあ、あとで調べて置かう)らしいセンスのいい服、みたいな説明が地の文にあり、思はず「どこが」と突つ込みを入れたくなつたのだが、ストーリーとか登場人物よりも余計な些細なことにばかりに気になるタチなので、アプローチが面白くて楽しめた。

2008-12-12

御乱心(再読)

三遊亭円丈・主婦の友社(used)
出版されて直ぐに寝床の会の誰か(荻野君か塩田君)に借りて読んでゐる。BookOffで他の本を探してゐたら、とつぜん棚のこの本のタイトルが目に入つた。それは買へといふことだな、もう一度読めといふことだな、と閃いた。そして買つて読んだ。なんとも円楽、呆れ果てる。談志も、……。志ん朝はやつぱり恰好いい。弟子のために頭を下げる。まあ、円丈が見た真実だと「まえがき」にあるけれど、芸一筋で云々と庇つてゐるが、円生は弟子のことは二の次だつたワケだから。

2008-12-10

170.らせん

鈴木光司・角川ホラー文庫(used)
正に「リング」の続篇。かうした○部作ものは、単独では読めないものなのかどうか。少なくともこれは前作の内容をしつかり引き継いでゐるから、いきなりこれを読んだら入つて行けなかつたらう。「リング」よりも話の展開はゆつくりしてゐる。DNAによる再生のネタは映画「ジェラシック・パーク」がさうだつたが、これには原作があつて先日亡くなつたマイクル・クライトンで、どつちが先なんだらう。仕掛けは面白い。「パラサイト・イヴ」みたいに科学用語が頻出するからSF的でもあり、謎解きの要素もあるからミステリ的でもある。ホラーとも、ファンタジーとも読めるから、ジャンルを超えた、と称されてゐるのだが、どうも奇想天外なストーリー展開に寄り掛かり過ぎてゐる気がして、確かに面白いんだけどいま一つ小説を読んだといふ満足感がない。さらに「ループ」があつて、それが完結篇であるといふのだが、もういいかな。重箱の隅を一つ。P14死亡推定時刻が11時49分と正確なのはなぜか、と高野舞が呼ばれるが、その説明がないこと。と、安藤医師はスケベ過ぎないか?

2008-12-05

169.リング

鈴木光司・角川ホラー文庫(used)
1991年に刊行されたものだといふから、17年まへ。ベストセラーは手が出し難いタチなので、いまさら読んだ。「らせん」も一緒に買つたから、続けて読むつもりだ。VHSかDVDのレンタルで映像のはうを見てゐるが、内容はよく覚えてゐないのだ。凡そ一週間の物語なのである。そのせゐかひどく慌ただしい。第二章まで読んでも怖さが物足りないので、ホラーとしてよりも、ひたすら動きまくる浅川と高山のアクションものとして読んだ。後ろのカバーに「ホラー小説の金字塔」とあるし、解説でも絶賛されてゐるのだが、どこがそんなに凄いのか解らない。重箱の隅を三つ。1.三浦記念館での貞子の特定が簡単すぎないか。次に進むには、ここで判明してないと都合が悪いんだらうけど。2.P249の1行目、長尾医院の看護婦の名前がいきなり「藤村」と出て来る。P246から登場してゐて、そこでは看護婦としか書かれてないのに。このあとで長尾医師が名前を呼ぶことになるから、ここでとつぜん名前が付いたのだらうか。3.P288、といふより第四章、最終章の冒頭、浅川が眼鏡をかけてゐることが漸く解る。近眼なのか、乱視なのかどうかは判断できないが。ここから遡り、浅川が眼鏡使用でないと困ることがあるのだらうか、と読み返すのも一興かと思つたが、億劫なので止めた。序でにP274で高山がベンチプレス120kgだといふ説明が入るのだが、なんで?

2008-12-01

168.どこかの事件

星新一・新潮文庫(used)
いやあ、ずゐぶん久し振りの星新一。中高生の頃によく読んだものだ。それ以来。懐かしかつた。ミステリー風の21の話が入つてる。発想の転換が素晴らしい。「その女」はその典型。「ポケットの妖精」は落語みたいなオチがある。買つて直ぐ1/3くらゐ読み、半月くらゐまへに半分ほど読み進んでゐたもの。