2017-05-27

689.赤めだか

立川談春・扶桑社(吉岡町図書館)。(以下、「師匠」省略。)談春の噺は実は一度も聞いたことがない。テレビドラマになつてたと思う。談志がビートたけし、談春は嵐の二宮君だつたと思ふ。途中から見たような気がする。連続ものだったのか、一話限りだったのかも定かでない。
例によつて、談志の弟子が書いたものは、みーんな談志愛に満ちてゐる。談四楼も、志の輔もさうだつた。最後の章で、談志が小さんの没後語つた言葉が書いてあつて、葬式に出なかったことについて「葬式、つまり儀式を優先する生き方を是とする心情はオレの中にはないんです。そんなことはどっちでもいい。……何故なら、オレの心の中には、いつも小さんがいるからだ。」ちょっとウルウルきた。
蛇足ながら、最初は志ん朝のはうが好きでした。あるとき偶然、談志の「二階ぞめき」をテレビで見て圧倒された。以来、志ん朝と並んで贔屓の噺家さんになつた。

2017-05-11

ひげのある男たち

結城昌治・徳間文庫(×2)。松本清張を読んだら、渋川の物置に入つてゐる古いミステリを読み返したくなつた。すぐ目の届くところに結城昌治のこの本があつたので読んだ。内容はやはり覚えてなかつたね。1982年、34年前に買つたものだ。日本のミステリを読んだことがないまま書いたさうだ。書き方が斜に構へた感じで面白い。
古い文庫は文字が小さくて難渋する。第二作「長い長い眠り」も続けて読まうと手に取りパラパラめくつたけど、文字サイズで断念。

2017-05-05

688.食品の裏側

安部司・東洋経済新報社(吉岡町図書館)。副題に「みんな大好きな食品添加物」と書いてある通り、食品添加物の話。冒頭、数十個の白い粉の小瓶を混ぜ合せて「とんこつラーメン」のスープを作る話から、コーヒー用のポーションは水とサラダ油と添加物から作られ、健康飲料にはサボテンに寄生する虫をすりつぶした染料が使はれてゐるとか、パックのサラダが実は殺菌剤のプールで何度も消毒されたものだとか、ミートボールが廃棄寸前のクズ肉の再生品であるとか、読み進むと添加物のない食べ物はないんぢやないか、と気が滅入る。
なるべく少ないものを選ぶ以外に自衛手段はない、といふことだ。食品の裏表示を見る習慣はあるけど、添加物は種類が多くて覚え切れない。そこで秘訣。台所にないものは添加物と見做せ。これが一番簡単だと言ふ。
例へば幕の内弁当に、アミノ酸等、Ph調整剤、グリシン、赤102号、リン酸、乳化剤、ソルビン酸カリウム、増粘多糖類、亜硝酸ナトリウム、なんて書いてあつたら、それらはみーんな添加物だ。パンにはブドウ糖果糖液糖が、インスタントラーメンにはたんばく加水分解物が屢々含まれてゐる。特に気をつける食品は、明太子、漬物、練り物、ハム・ソーセージの類ひ。
この本には続篇がある。