2016-01-18

638.8の殺人

我孫子武丸・講談社文庫(used)。いしかわじゅん繫がりで読んでみるかなあ、と思つて朝倉のBookOffで探したら、ちやうどデビュー作のこの本が108円で見つかつたので買つて読んだ。一気に読めた。どこが「いしかわじゅん繫がり」かといふと、なにかの記事で我孫子氏がいしかわじゅんのファンを公言してゐるといふのを読んだからだ。名前を知つてゐたのは、確か島田荘司が数人の本格推理小説の書き手を推してゐて、綾辻行人とか歌野晶午とか法月綸太郎とか有栖川有栖とか(「とか」連発!)、その中の1人としてだつた(講談社のメフィスト賞の受賞者とごつちやになつてるかもれしない。)。全員の作品は読んでないくせに、こんなことを言ふのは不遜だけど、正直いま一つだつたのはトリックが勝ちすぎてゐて、小説としての面白さが足りない気がした。その辺はこの本の解説で島田荘司が書いてるけど同感ですね。島田荘司の話をすると長くなるやうな気がするので端折る。で、読んでみて面白かつた。かういふのは好きだね。話の始めからトリック優先な犯罪と犯人が断つてるし、クスクス笑へるとこもあつた。折原一の「七つの棺」みたいな感じかな。
一つだけ、最初の犯行(と言つても殺人事件は二つしか起こらない)でP48、弟の慎二が兄の速水恭三警部補との会話の中でかう言ふ「時間は二時間も余裕があったわけだしね」と。事件が起こつて発見され警察に通報されるまで二時間あつた、と言ふのだが、それまでの頁に事件が起こつた午前一時以降、いつ発見されて何時に警察に通報したのか記述がない。読み返したけど、見つからない。だからどう、といふ問題でもないんだけど、こつちは、え?なんで二時間つて判るんだ?と思つた。P71になつて被害者の母親、蜂須賀民子の口から「三時に起こされるまでぐっすりと眠って」いたといふ箇所を読んで漸く読者はそれを知ることになる、といふのは、オレはイヤだね。

2016-01-16

637.東京で会おう

いしかわじゅん・角川文庫(used)。漸く読むことができた本だ。漸く、つたつて、どうしても読みたいと思へば探して手に入らないほどではないだらうから(絶版になつてゐるとか、例へば後藤明生だつて、それなりのお金を使へば買へないワケではない、といふ意味で)、ちと大袈裟だつた。「ロンドンで会おう」と同じく北方謙三をモデルにしたと言はれる南畑剛三が主人公の、まあ、ハードボイルド、或はドタバタ・ナンセンス、少しばかりエログロで痛快な連作短篇集だ。題名の「〜で会おう」つてのは、なにかの洒落、パロディなのかもしれないが、いまのところ不明。

2016-01-09

吉祥寺探偵局

いしかわじゅん・角川文庫(×2)。正月早々、かういふ只管笑へる小説の再読は、これでいいのか、と思はせるけど、これでいいのだよ。ホントに笑つた。角川で手に入る「東京で会おう」も中古で見つけて注文し、けふ届いた。「ロンドンで会おう」つていふバカバカしくて笑へるハードボイルドを先に読んでるので、いまからワクワクしてる。序でに「漫画の時間」つていふ、とつてもためになる漫画の本を氏は書いてゐて、ときどき拾ひ読みしてるのだが、その続篇「漫画ノート」も注文してしまつたが、それも一緒に届いてゐた、楽しみだ。