2011-08-20

岡嶋二人「なんでも屋大蔵でございます」新潮文庫(405・used)。この語りで井伏鱒二の「駅前旅館」を思ひ出した。柊元旅館の番頭、生野次平が思はせぶりたつぷりに喋りまくる「駅前旅館」は面白い。これももちろん面白かつたが、森繁とフランキー堺の映画のはうを先に見て原作が井伏だと知り買つて読んだのだ、たぶん。映画のはうはもう内容をよく覚えてゐないけれども、原作はいつでも読み返せるやうに手の届くところにある。──さう、岡嶋二人の小説の話だつた。第一話「浮気の合間に殺人を」は偶然雑誌掲載時に見たことがある。読んではゐない。ほかの目的で買つたのだらう。そこに載つてた記憶がある。全5編。なかなか。