2017-12-20

732.用心棒日月抄

藤沢周平・新潮文庫。始めて藤沢周平を読みました。面白かつたなあ。次の「弧剣」を直ぐにでも読みたい。赤穂浪士との絡みもいい。おりんと佐知がこれだけで終るとは思へない。いや、終つてほしくない。

2017-12-07

730.731.フロスト始末 上下

R・D・ウィングフィールド/芹澤恵訳・創元推理文庫。これが最後のフロストだ。前作「冬のフロスト」を読んだのが2014年の5月。今年の8月に近くのTSUTAYAで見つけて購入したものの、なかなか読み始められなかつた。500頁近いのが2冊だから。今回はジョン・スキナーといふ面倒な仕事はやらないくせに手柄だけは持つて行くといふ呆れた上司に振り回される。キャロル・リドリーといふ新任の検屍官と上手く行きさうなのだが、どうなるのか。もう続きは読めないからなあ。下巻の解説によれば巡査部長時代のフロストを書いた長篇が既に4冊出てゐるらしい。邦訳が手に入るなら、ちよつと読みたい気もする。

2017-11-25

729.「坊っちゃん」の時代

関川夏央、谷口ジロー・双葉社(吉岡町図書館)。これは漫画で、1998年の第2回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞してゐる。因みに第1回は「ドラえもん」。「坊つちやん」が書かれた明治38年〜39年を中心に漱石をめぐる話で、元にしてゐるのは太田西涯著「明治蹇蹇匪躬録」だと最初に書いてあるが、著者の太田西涯は作中人物で「坊つちやん」のモデルになつたといふ架空の人物、太田仲三郎。なので「明治蹇蹇匪躬録」そのものも架空のものであるやうだ(wikipedia)。鷗外や樋口一葉、啄木、藤村、平塚雷鳥なども登場する。漱石の月収と石川啄木の月収の差に驚いた。漱石の年齢は明治の年号と同じなので明治38年、38歳の漱石の月棒は150円くらゐ(帝大講師として年棒800円、一高講師として年棒700円、明大講師で月棒30円)。大工の一日の手間が1円だと書いてあるから、大工は月30日丸々働いても30円。一方、明治39年、20歳の石川啄木は渋民村尋常小学校の代用教員になり、月棒8円。啄木は19歳で結婚してゐるから、これぢやあ暮らせないよなあ。

2017-11-06

728.癒しのホメオパシー

渡辺順二・地湧社。リサイクル図書。アンドルー・ワイルの本でも取り上げられてゐるホメオパシーについて興味があつて、別の入門書のやうなものは借りて読んだが、どうもしつくりしなかつたことは既に他のところで書いたし、この本のことにも触れたかもしれない。
いま調べたら、hiko7 newsの今年の8月10日の記事に、読み終りさうもないので、と書いてあつたが、どうにか読了。一縷の望みとしてホメオパシーを記憶しよう。

2017-11-03

727.前立腺がんを生きる

NPO法人健康と病いの語りデイペックス・ジャパン編著・海鳴社。インターネット上でサイトを閲覧したこともある、前立腺癌体験者48人へのインタビューを纏めた本。9月に購入し、少しづつ読んできた。半分くらゐ読んで、自分と照らして先行きの不安からページが進まないこともあつたし、身につまされて目が潤んでしまひ本を閉じたこともあつた。強くならねば。信じなければ。

2017-10-15

726.病気は脳がつくっていた

田中一・現代書林。副題「動物脳を解放すれば、健康になる!」。最近、e-クリニックといふネットの診療所、といふか相談所といふか、そこの会員になつたのだが、会員登録したら、小冊子やDVDと一緒にこの本が送られて来た。簡単に、大雑把に要約すれば、病は気から、といふことだ。治るためには、頭を抜く、脳の癖を治して感じ方や考へ方、行動を変へることで、大脳新皮質よりも古い脳、動物脳を優先させることだと言ふ。やつてみませう、少しづつ。

2017-10-10

725.スロージョギング健康法

田中宏暁・朝日新聞出版(吉岡町図書館)。ガリレオを返却した帰りに入口自動ドア付近にディスプレイされてゐたのが目について借りた。宣告以来、走ることは極端に減り、専らウォーキングだつたが、ウォーキングは実は物足りなかつた。走ることで生じる体への負担を軽くするつもりで歩いてゐたのだが、もうそろそろ走りたいと思つてゐたところだつた。たまに走つてゐたけど、月に1回とか、そんなものだつた。だから再開するに当たつて、無理のないやうに流行りのスロー・ジョグから、と思つたワケだ。ところがこれがなんとも怪しい、不可解な代物で、時速4〜5kmで走るのが目安だといふのだが、時速4kmつて1時間に4kmだよ、ペースで言ふと、1kmを15分。不断、普通に歩く速度だらう。5kmだつて、1kmを12分。やや早歩きだけど。ところが読み進むと、これでフルマラソンが走れるやうになる、と話が飛躍する。待つてよ、1時間に4kmぢやあ、フルマラソン完走までに10時間を超えてしまふでせう。ホノルル・マラソン以外は大抵、制限時間が5〜6時間だ。失格しちやふでせうに。「となりのスロージョガー①」といふコラムに60歳の男の人の例が挙げられ「だんだんスロージョギンクのスピードも上がつてきました。そして3か月後には、ついにハーフマラソン」を完走し、「走り始めてまだ5か月目」フルマラソンを走り「見事に完走」しかも「3時間42分」だつた、と。はあ?これぢやあ、ちつともスロージョギングぢやねえだろ。筆者は知つてると思ふけど、敢へて言ふと、1kmを5分以内(時速12km以上)で走らないと4時間は切れないからね。これ、けして簡単なことぢやないから。オレは1km6〜7分(時速8〜10km)で走るのが、やつと、だつたからね。スロージョギングつて、フルマラソンを早く走るための練習法なの?と聞きたくなる。だつたら、健康法なんて言はないで、きちんとさう書けばいい、サブ・タイトルでもいいよ、「いかにフルマラソンを早く走るか」と。(因みに、スロージョギング向けの靴の話で、筆者が関はつた靴の宣伝もあつたりする。)

2017-10-09

724.虚像の道化師

東野圭吾・文藝春秋(吉岡町図書館)。といふワケで、続けてガリレオを読んだ。サブ・タイトルみたいに「ガリレオ7」とある。これが7作目といふことか。長篇が3作(「容疑者Xの献身」「真夏の方程式」「聖女の救済」かな)あつて、短篇集が「探偵ガリレオ」、「予知夢」「ガリレオの苦悩」で、これが7作目か。といふことはガリレオは最新の「禁断の魔術」を除いて凡て読んだといふことだな。確か、もともと湯川学は佐野史郎をイメージしてると、作者本人の発言だつたか、文庫のどれかの解説に書いてあつたと思ふが、最近は福山雅治が湯川役なので読んでゐて福山の顔がチラ付いて鬱陶しかつた。オレのイメージとは違ふんだよなあ、と言つて佐野史郎でもないし。第三章「偽装う」には救ひがある。

2017-10-04

723.ガリレオの苦悩

東野圭吾・文藝春秋(used)。Book Offで30円で売つてゐた。ガリレオのシリーズは過去に何冊か読んでるが、もしかしたら読んだことがあるかも、と思つたが、30円なので、それなら処分すればいい、と購入。30円で購入は烏滸がましいか。カバーがない単行本だが、状態は良い。やはり東野圭吾は読ませるねえ。黒川博行もさうだけど、途中で、あれ、と思はせない。グイグイ引き込む。読みをはつてから、うーん、あそこはちよつと、と首を傾げることも偶にあるが、最後まで読ませる。続けて読みたくなる。

2017-09-30

722.名画は嘘をつく

木村泰司・ビジュアルだいわ文庫(吉岡町図書館)。フェルメールの本(小林賴子「フェルメール──謎めいた生涯と全作品」角川文庫)を1/3くらゐ読んだところで滞つてゐるせゐもあつて、以前TSUTAYAで見かけたことがある、この本を借りて読んだ。目次の表記に先づ驚いた。横書なのは別に構はないが、見開きの右頁のはうに常に若い頁が来るのは戸惑ふね。開け方が逆ならいいんだけど。名画と呼ばれるものの意外な一面を知ることができて面白つた。書き下ろしといふことだが、雑誌のコラムのやうな印象。

2017-09-29

721.捨てる力

羽生善治・PHP文庫(吉岡町図書館)。気持ちを切り替へたい、いまあるモヤモヤしたものを捨てたい、そんな気持ちがあつて、図書館で見つけて読んでみた。やつぱり将棋の話でした。構成が変つてゐて、読み難かつた。

2017-09-25

692.〜720.名探偵コナンVOLUME①〜VOLUME㉙

青山剛昌・少年サンデーコミックス(used)。現在93巻まで刊行されてゐるさうだが、いまも週刊少年サンデーに連載中といふことなので、生きてゐるうちに全巻読むのは到底不可能だらうし、その気もないので、ここで取り上げて読み続けるのをやめる。もう2回以上通して読んでゐるから、読み切つたワケではないが、いいことにしよう。ベルモットがこれからコナンや灰原にどう関はるのか、興味はあるけれども、キリがない。2015.04.14のHIKO7 NEWSにブログ記事があるが、なんだかんだと文句を言ひつつ寝付けないときなど蒲団の中で読んでゐたワケです。

2017-08-15

691.9割の医者はがんを誤解している!

岡本裕・飛鳥新社(used)。まへに同じ著者の「9割の病気は自分で治せる」といふのを読んで、これは一度読み返したし、いまでもときどき拾ひ読みする。要するにオレは自己治癒力で病状を少しでも改善したいと思つてゐるからだ。だからホメオパシーにも興味があるのだが、ホメオパシーにはまだ疑問と言ふか、納得できないところがある。それでワイルの本を読み始めてゐたのだが、Amazonのお薦めか何かでこの本が挙げられてゐたので中古で買つて読んだ。
「食べて動けて眠れれば、人は死なない」と帯の裏に書いてある。確かにさうなんだらう。癌そのもので人は死なない、と他の本にも書いてあつたし、癌が原因で他の臓器に夥しい支障が出て死に至るといふ経緯らしい。
内容ではなく、書き方についてコメントすると、筆者が関はつてゐるe-クリニックの宣伝めいた記述が目立つこと、生還者の例を挙げた部分は重複が多くないか。
結局、自己治癒力を上げるためには、これまでの生活習慣を変へろ、考へ方を変へろ、といふことになるんだが、生活習慣の何が、考へ方の何が原因で癌が発病したのかは本人にはまるで判らない。つまり、肝心のところは判らない。人それぞれ、だから。癌にも種類があるから。
かういふ風にしませう、といふ例は挙げられてゐる(例へば、いい人をやめる・自己中になる・他人に振り回されない・自立する・環境を変へる・毎チームを作る、など)。けれども、仕事をしてゐれば出来ること、出来ないことはあるワケで、気持ちの持ち方としてなら実行可能だといふ程度だね。読んで少しは精神的に楽になつたけど。

2017-06-19

690.バールのようなもの

清水義範・文藝春秋。吉岡町図書館は年に何度か蔵書を処分する「リサイクル」といふのがあり、希望者に自由に持ち帰つてよい日といふのを設けてゐる。これまでに2回あつた。一人2冊まで、といふ制限が始めはあるけれど在庫が少なくなると、ご自由に、となる。これはそのときに貰つ本だ。もう一冊、佐野洋の珍しいSF短篇集も持ち帰つたが、まだ最初の一篇しか読んでない。序でに言ふと、その次のときに小島信夫の「暮坂」と「うるわしき日々」を見つけて持ち帰り、「暮坂」を1/3くらゐ読んで、そのままになつてゐる。
この本には、志の輔の落語ネタになつてゐる「バールのようなもの」と「みどりの窓口」が入つてゐるが、原作者には申し訳ないけれど、落語のはうが面白い。志の輔の高座はYou Tubeで見ることが出来るので興味のある人は是非見てください。抱腹絶倒とまでは行かなくても、爆笑間違ひなし。目当ての2作を読んでしまつてから、億劫になつて、漸く半年掛かつて読了。

人間椅子

江戸川乱歩。続けてこの「人間椅子」と「毒草」を読んだ。発想は面白いけど、椅子の座面、鞣し革1枚ですぐに太腿、といふのは無理があるだらう。勿論、そのはうが猥褻だし気味が悪いけど、実際の話が体格のいい欧米人の男がどかんと乗つたら、余程鍛へてないと耐へられないだらうし、座つたはうも生暖かい感触がしてをかしいと思ふんぢやないかなあ。それから佳子の使用してゐる椅子の形状について手紙の差出人はどこからその情報を得たのだらう。「毒草」は覚えてゐた。結末は予想がつくけれど、この郵便局員の女房は怖い。

2017-06-14

お勢登場

春陽文庫の江戸川乱歩名作集の5巻「人間椅子」の中に入つてゐる。奥付を見ると昭和46年6月20日第21刷発行とあるから、その頃買つて読んだものだらう。45年も前の話だ。なかなか本が読めなくて、これまで図書館で何冊か借りてきたが、最後まで読めずに返却してゐる。添加物の話のつづきやドナルド・キーンの作家の思ひ出。ちよつと期待したキーンの本は年譜をなぞつてゐるやうで、読む気が失せた。永六輔の対談とか、ごはんをめぐるエッセイなんかも借りたが、気力が持たない。それで押入れを物色してゐて、これを見つけた。
池上遼一の漫画で読んで、いつか原作を読みたいと思つていたが、実は昔読んでゐたのだつた。漫画のはうがいいなあ。兎に角、題名がいい。屋根裏の散歩者もさうだが、かういふ題名の付け方は江戸川乱歩は上手いと思ふ。

2017-05-27

689.赤めだか

立川談春・扶桑社(吉岡町図書館)。(以下、「師匠」省略。)談春の噺は実は一度も聞いたことがない。テレビドラマになつてたと思う。談志がビートたけし、談春は嵐の二宮君だつたと思ふ。途中から見たような気がする。連続ものだったのか、一話限りだったのかも定かでない。
例によつて、談志の弟子が書いたものは、みーんな談志愛に満ちてゐる。談四楼も、志の輔もさうだつた。最後の章で、談志が小さんの没後語つた言葉が書いてあつて、葬式に出なかったことについて「葬式、つまり儀式を優先する生き方を是とする心情はオレの中にはないんです。そんなことはどっちでもいい。……何故なら、オレの心の中には、いつも小さんがいるからだ。」ちょっとウルウルきた。
蛇足ながら、最初は志ん朝のはうが好きでした。あるとき偶然、談志の「二階ぞめき」をテレビで見て圧倒された。以来、志ん朝と並んで贔屓の噺家さんになつた。

2017-05-11

ひげのある男たち

結城昌治・徳間文庫(×2)。松本清張を読んだら、渋川の物置に入つてゐる古いミステリを読み返したくなつた。すぐ目の届くところに結城昌治のこの本があつたので読んだ。内容はやはり覚えてなかつたね。1982年、34年前に買つたものだ。日本のミステリを読んだことがないまま書いたさうだ。書き方が斜に構へた感じで面白い。
古い文庫は文字が小さくて難渋する。第二作「長い長い眠り」も続けて読まうと手に取りパラパラめくつたけど、文字サイズで断念。

2017-05-05

688.食品の裏側

安部司・東洋経済新報社(吉岡町図書館)。副題に「みんな大好きな食品添加物」と書いてある通り、食品添加物の話。冒頭、数十個の白い粉の小瓶を混ぜ合せて「とんこつラーメン」のスープを作る話から、コーヒー用のポーションは水とサラダ油と添加物から作られ、健康飲料にはサボテンに寄生する虫をすりつぶした染料が使はれてゐるとか、パックのサラダが実は殺菌剤のプールで何度も消毒されたものだとか、ミートボールが廃棄寸前のクズ肉の再生品であるとか、読み進むと添加物のない食べ物はないんぢやないか、と気が滅入る。
なるべく少ないものを選ぶ以外に自衛手段はない、といふことだ。食品の裏表示を見る習慣はあるけど、添加物は種類が多くて覚え切れない。そこで秘訣。台所にないものは添加物と見做せ。これが一番簡単だと言ふ。
例へば幕の内弁当に、アミノ酸等、Ph調整剤、グリシン、赤102号、リン酸、乳化剤、ソルビン酸カリウム、増粘多糖類、亜硝酸ナトリウム、なんて書いてあつたら、それらはみーんな添加物だ。パンにはブドウ糖果糖液糖が、インスタントラーメンにはたんばく加水分解物が屢々含まれてゐる。特に気をつける食品は、明太子、漬物、練り物、ハム・ソーセージの類ひ。
この本には続篇がある。

2017-04-24

ゼロの焦点

松本清張・新潮文庫(×2)。続けて読んでみた。やつぱり内容は覚えてなかつた。購入は1978年5月9日、サカモト書店と書いてある。どこにあつた本屋だらう。裏表紙の紹介記事がネタばれで、2008年以降は訂正されたさうだ。疑問が幾つかあるので列記する。鵜原憲一と曽根益三郎とが同一人物だと判るところがはつきりしない。ネームを入れた上着をそれぞれ一着しか持たない営業がゐる?連載当時の昭和33年頃はそんなものだつたのかね。青酸カリの入手経路は?解説の平野謙も書いてるが、義兄宗太郎と本多を殺す理由が判らない。田沼久子も殺さなくてもいいのでは?鵜原憲一だつて殺さなくても良いのではないか。それだとミステリにならないけど。過去を知られたくないのは判る。でもそのことで強請られたわけでもないんだから。

2017-04-19

点と線

松本清張・新潮文庫(×2)。再読と言つても、もうずゐぶんまへに読んだので、奥付を見ると1978.5.6前橋西武と購入した日が鉛筆で書き込んである。買つて直ぐ読んだらうから、ほぼ40年前だ。細かいところは覚えてなかつた。トリックもちよつと勘違ひしてゐた。解説が平野謙で、電車のトリックについてコメントしてる。都筑道夫がエッセイで、バナナの皮に滑つて転び間に合はなかつたらどうするのか、と書いてたのは、もしかしたらこの「点と線」なのかなあ。四分間といふギリギリのトリックで、もしタクシーが遅れたら、お店の支払ひに手間取つたら、ホームで相手が気づいて振り向いたらどうするか、ちよつと無理があるよなあ。種明かしが手紙といふのは、やつぱり戴けない。

2017-04-12

687.薬のやめどき

長尾和宏・ブックマン社(吉岡町図書館)。新刊書のコーナーにあつて、パラパラとめくつてゐたら「抗がん剤のやめどき」といふのがあつて、借りて読んだ。「腫瘍マーカー(PSA)は下がらないが、できるところまで抗がん剤をやろうと主治医が言つたとき」がやめどきの一つにあつた。「できるところまでやろう」とは言はなかつたし、オレの気持ちを尊重してくれて休むことになつたが、腫瘍マーカーは下がらなかつたので、ちやうどやめどきだつたのだらう。基本、薬は減らせといふ話。5種類、或は6種類。種類が増えてしまふと副作用の原因が特定できないこともあるさうだ。因みに母は8種類の薬を飲んでゐる。染色体の末端部分テロメアが寿命を決めるといふ話が出て来て、どこかで読んだ気がするが、思ひ出せない。

2017-04-09

686.手袋を買いに

新美南吉・iBook。「にいみなんきち」だといふことは判つてゐるのに、つい「しんびなんきち」と読んでしまふ。29歳で亡くなつたさうだ。よく知つてる(つもりの)「ごん狐」とは違つて、狐が酷い目に遭はないところがよい。眩しくて目になにか刺さつた、といふのは巧いなあ。

2017-02-16

685.がん治療革命「副作用のない抗癌剤」の誕生

奥野修司・吉岡町図書館。黒川氏の本を返しに行つて偶然見つけた。新刊本のところだつたか、返却されたばかりの本が置かれたところだつたか忘れたが、タイトルがパッと目に飛び込んで来た。副作用がない、つまり髪が抜けることもなく、白血球数の減少と促進薬での苦痛もない薬があるといふ。
P-THPといふ薬剤である。P=ポリマー、THP=ピラルビシン。ピラルビシンといふ古いタイプの抗癌剤に高分子のポリマーをくつ付けることで、通常細胞ではなく癌細胞などの腫瘍組織に蓄積されて効果を上げる、腫瘍そのものを狙ひ撃ちにする薬剤だといふ。しかも前立腺癌に効果があるといふ。完治ではないが、寛解する(見かけ上、消滅してゐる状態)といふ、夢のやうな薬だ。開発したのは崇城大学の前田浩教授。
いまのところ前田教授の研究室で作られてゐるだけなので、当然、製薬会社も絡んでゐないし、保険適用もないし、一体どのくらゐの治療費がかかるのか不明で、どこでこの治療を受けられるかも解らない。ネットで調べても直接、研究室に問合せするしかないらしい。
いまオレは抗癌剤治療をやめてゐるが、これからどうするか考へてゐたところなので、この薬についてもつと知りたいと思ひ、返却日が来たけど、もう一度借りて来た。買へばいいんたげどさ。この薬は抗癌剤の治療を続けて来た人には癌のはうに耐性ができてしまふさうで効果が出にくいといふ。

2017-02-01

684.破門

黒川博行・角川書店(吉岡町図書館)。ちやうどいま、劇場公開されてゐる映画の原作。疫病神シリーズだ。桑原は破門されるのか。映画製作にからんだ詐欺事件を追ふ桑原と二宮。ジェイソンばりの不死身さを持つ桑原だが、さすがに上部組織とのイザコザには無敵ではない。「後妻業」の記憶もあつて、これに出て来る探偵と四課の中川とがダブつてしまつた。

2017-01-23

683.後妻業

黒川博行・文藝春秋(吉岡町図書館)。結婚相談所を利用して老人を騙し、果ては殺人を犯す人たちの話。更に探偵事務所の元刑事や家族の思惑が絡んで展開する。自業自得といふか、最後には天罰が下る。欲張つた分だけ非道い目に遭ふ。読みをはつて不快な思ひが残らないのがいい。

2017-01-11

682.国境

黒川博行・講談社文庫(used)。いやあ、面白い。暮れから読み始め、漸く読み終へた。半分くらゐ読んだところで一休みした。なにしろ長い。830頁、厚さ3cm余りの文庫だ。他の出版社からも文庫が出てゐて、そつちは2冊に分冊。もともとは1冊ものなので、こつちを選んだ。相変はらずの桑原が堪らなくいい。
北朝鮮を舞台に疫病神コンビが詐欺師を追ひ掛ける。北朝鮮の事情も書いてあつて、悲惨といふか、適当な言葉が見つからない。誰のせゐかはつきりしてるのに、ひつくり返すことが出来ない。公開処刑と餓死と賄賂。
この疫病神シリーズの「破門」は2015年にスカパーでドラマになつてゐるので、それを観たいと思つた。映画にもなつてるけど、ドラマのはうが観たい。ドラマは桑原が北村一輝で、二宮が濱田岳。濱田岳はauのCMで金太郎役の人だ。二宮のイメージに近い。ただ桑原は極道だけど、もう少し神経質さうな人物のイメージで読んでる。と言つて映画の佐々木蔵之介ではないよなあ。なんたつて、凶暴だから。その辺りは北村一輝のはうが近いかなあ。
この「国境」は2001年の第126回直木賞の候補になつたが受賞しなかつた。因みにその時の受賞者は唯川恵氏と山本一力氏。黒川博行は2014年に「破門」で受賞。「破門」も疫病神シリーズだ。

2017-01-05

681.あずまんが大王 3年生

あずまきよひこ・小学館(used)。寝るまへに屢々蒲団の中で読み返してゐる、と書いたが、偶然「3年生」を見つけた。猫好きなのに咬まれてばかりゐる榊さんがなんとイリオモテヤマネコに好かれるといふ展開。よかつたねえ、榊さん。