2014-02-12

568.Y列車の悲劇

阿井渉介・講談社文庫(used)。これまで聞いたことがない作者。走行中の列車から乗客がゐなくなるといふ事件。しかもその乗客たちがゐた寝台車で殺人事件が起こるといふのだから、期待するでせう。期待は裏切られない。この人には不可能犯罪といふシリーズがあるらしく、これもその一つ。余計なことかもしれないが、人物の容姿に関する記述が殆どないので、どんな人物なのか見えにくい。P67で鶴見刑事が平田といふ人物を調べてゐて、その平田が仙台にゐるといふ報告を上司である牛深(ウシブカと読むんだらうね、ルビないけど)にする。その後で「帰京の予定はいつだ」と牛深。「明日です」「一度こっちに戻ったほうがよくないか」「そうします」と続く会話になる。誰が戻るのか一瞬わからなかつた。P164「娘分の道子とも」といきなり登場する道子つて誰?ま、そんなことは些細なことだ。なかなか面白く読んだ。他の作品にも手を延ばすかどうかは微妙だね。

2014-02-09

567.バスが来ない

清水義範・徳間文庫(used)。読んだことがあるやうな気がしてたけど、覚えてないから読んでないのだらう。カバーの後ろには抱腹絶倒と書いてあるけど、クスクス笑ひだつた。表題の「バスが来ない」「マイルド・ライト・スペシャル」「戦慄の寒冷地獄」が面白かつた。筒井康隆に似てるかもしれない。

2014-02-01

566.裁きの街

キース・ピータースン/芹澤恵訳・創元推理文庫(used)。ウェルズ・シリーズ、愈々最後の作品。原題はRough Justice。もつと続きが読みたいなあ、解説にあるやうにランシングを主人公にしたらど面白さうだ。ウェルズは今度は殺人者として警察に追はれる身に。しかも宿敵といふか、もつとも嫌ふワッツに追ひ詰められる。守らうとする新しい女編集長と我らがランシング。最後に姿をみせるゴットリーブもなかなかいい味を出してゐる。遂にランシングとウェルズは、……読んでない人のために書かないでおかう。本格ミステリのネタばらしなんかよりも、してはいけない大事なことだ。