2014-04-16

569.中途半端な密室

東川篤哉・光文社文庫(used)。まへの「Y列車の悲劇」から、ほぼ2箇月間、新たに1冊の本を読み上げることが出来なかつただけでなく、1冊の本を読み返すことすら出来なかつた。短篇を一つ二つ読み返しはした。また吉田健一の単行本未収録集の文庫「おたのしみ弁当」講談社文芸文庫を半分くらゐ読んではゐるが、読み終へた本は、ない。
ところで、講談社文芸文庫は矢鱈に価格が高いのだが、なぜだらう。たとへば「おたのしみ弁当」は270頁の本で税別1,400円もする。因みに創元推理文庫のR・D・ウィングフィールド「冬のフロスト」上巻は500頁あつて税別1,300円。新潮文庫のヘミングウェイ「移動祝祭日」は300頁で税別590円。直接、この東川篤哉の本とは関係ないのだが、まへから気になつてゐたので書いてみた。以前にも書いたかも知れないが。
で、この短篇集は去年だか一昨年だつたかずゐぶん評判になつた「謎解きはディナーのあとで」の作者のデビュー作を含めた作品集で、最初のものであるらしい。といふのも、長篇デビュー作が「密室の鍵貸します」で、どつちもデビュー作といふ言ひかたをしてゐるので判り難い。
いづれにしても、収録された5篇凡てが安楽椅子探偵もので、気楽に読めて、意外性もあつて、面白く読めた。