2011-09-25

西村京太郎「殺しの双曲線」講談社文庫(409・used)。実に面白かつた。一気に読んでしまつた。双子のトリックと予め書いてあり、小柴といふ双子の兄弟が出てきて、逆にそれで騙された。昔読んだ西村氏の作品、その後読んだものも含めて、一番面白かつた。忘れてるものもあるけど。

2011-09-23

夢枕獏「陰陽師」文春文庫(408・used)。映画にもなつた安倍晴明の話。東海林さだおみたいに文章が短いのと改行が早いので読みやすい。呪(しゅ、と読む)についての対話が面白い。名前も呪だと言う安倍晴明。正にさうだな、と思ふ。清明の家が草が生え放題の庭、といふので、吉田健一の金沢を思ひ出した。続篇があれば読みたいし、レンタルDVDで映画も見やうか。

2011-09-18

鮎川哲也「早春に死す」光文社文庫(407・used)。黒いトランクの別ヴァージョンを続けて読み返して以来、トリックの扱ひが矢鱈と気になる。ここにあるのは、どれもトリックが目立つて余り感心しなかつた。「急行出雲」なぜ容疑者を目撃者に合はせないのだらう。声が違ふんぢやないの? 「下りはつかり」セーターのトリックは無理があるのでは? 裏返したら、肩の編目とかが拡大すればわかつてしまふのではないか。ラグランショルダーですか? 4時間の空白が出来るけど、写真を撮つた奥さんが一緒だつた筈だから、どこで釣をしてゐたか、などを聞いたらアリバイが成立しないんぢやないの?

2011-09-07

滝沢解・作/池上遼一・画「モッブ」HMBホーム社文庫・集英社(406・used)。最後にどんでん返しがある。結末から振り返ると、全体がやや強引な気もする。大阪府警の、親ツさんと呼ばれる刑事は過剰なデフォルメでは?銀八の実家の洗濯機に書かれた血の文字は誰がいつ書いたのか。静はいつどうやつてガスマンこと木村光男の素性を知つたのか。また静はその後どうなつたのか。終盤はちよつと文学的で読み難かつた。しかし、それでも池上遼一の絵は素晴らしい。