2015-08-23

609.鳴るは風鈴

木山捷平・講談社文芸文庫。木山さんは気に入つてゐて、邑楽町の図書館で借りて来たこともある。これにも入つてる「下駄の腰掛」が好きで、それでこれを買つたのだが、いまは講談社の文芸文庫でないと手に入らないかもね。高いんだよね、これ。単行本並みだ。まあ、絶版などを復刻してくれるのは有り難いけど、高い。木山捷平は井伏鱒二の弟子みたいな関係なんでせうかね。似てると思ふ。小説つぽい「コレラ船」、「柚子、「御水取」もいいんだけど、表題にもなつてる「鳴るは風鈴」や「下駄の腰掛」みたいなはうが好きだなあ。井伏さんも「夜ふけと梅の花」とか「岬の風景」「シグレ島叙景」とか「丹下氏邸」がいいなあ。小沼丹もいいんだけど(小沼さんも井伏さんと近いみたいで創元推理文庫の「黒いハンカチ」も面白かつた)、この人の復刻も講談社の文芸文庫なんだよねえ。

2015-08-19

608.ゆで卵の丸かじり

東海林さだお・文春文庫。些細なことに固執してるところは面白いんだけど、最後まで読むのは根気が要る。なんで買つたかと言へば、冒頭の「ラーメンに海苔は必要か」といふ問題に対して、海苔は好きだがラーメンには不要だとの立場から是非読んで置かう、と。苺を潰して食べた話、懐かしいなあ。牛乳と砂糖を入れて、潰して食べたもんだよ、いまの子どもにや判らないだらうなあ。コンビニのおでんの大根はセブンイレブンもサンクスもローソンも直径6cm、厚さ3cmなのださうだ。そして縁の面取りもない、なぜ?これはまだ誰も言つてない気がするが、コンビニのおでんの茹で卵、黄身が異常に大きくないかい?オレはまへから言つてるんだけど、あんまり興味ないんだらうね、茹で卵。茹で卵についての回もあつて、オレの場合は反対に最後に白身のとこだけ食べるやうに心掛けてます。もちろん一口食ひは理想だ。

2015-08-13

夜の来訪者

プリーストリー/安藤貞雄訳・岩波文庫(×2)。寝るまへになんとなく手に取つて、どんな話だつたかなあ、と読み始めたら、結局最後まで読んでしまつた。短い戯曲だし、人物も場面も限られてゐる。誰にもありさうな、どこかで誰かを傷つけてゐる、まあ、さういふ風に読んだ、階級とか、差別とか、さらには戦争とか、いろいろ込めてあるやうだけど。間違つてはゐないでせう。警部は本物か、寓意的な象徴か。