2007-06-25

77.忘れられた日本人

宮本常一・岩波文庫
これは網野善彦の本で知り、すぐに手に入れ(探し始めた初日にヨークベニマルのくまざは書店で見つけた)ずつと、ゆつくり読んでた。この本の題名を含めた著作が網野善彦にはある。ここには確かに忘れられた日本人がゐて、それはオレの祖父や親父の代までは当たり前の人たちだつたのだ。同じだとは言はないけれども、繋がつてゐたのが解る。民俗学は馴染めなかつたが、これは面白く読めた。次から次へとページを捲らずにはゐられない面白さとは質が違ふが。中の「土佐源氏」は確かに創作だと思ふ人もゐよう。田中小実昌の小説を思ひ出した。もう一度ゆつくり読まうと思つてゐる。それは網野善彦の本もさう。実際コメント出来るほど解つてないから。これは凄いことが書いてあるぞ、つてのを感じるだけだから。

2007-06-11

76.日本の歴史をよみなおす(全)

網野善彦・ちくま学芸文庫
ヨークベニマルの本屋で立ち読みしてゐて、ワクワクした。十四世紀、中世の日本で大きな転換期があつた、と言ふ。つまり、明治維新から現代へ、といふ繋がりではない、十五世紀から現代までは一繋がりだと言ふワケだ。なぜさうなのか。それがこれには書かれてゐる。まだ読み終へたばかりで頭の中のあちこちに散らばつてるから説明出来ないけれども、先づ、これだけは書いて置かう。百姓=農民ではない、といふこと。水呑は田畑を持たない小作以下の農民だけを指すのではない。飢饉は農民の少ない土地で起つた。それを知つただけでも1,260円(税込)は安い。ほかにもたくさん、これこそ正に目からウロコが落ちる。網野善彦をもつと知りたい。……続けて二冊読んで、要するに小説が読めなかつたんだ、と漸く気がついた。去年、食べ過ぎたかもなあ。

2007-06-09

75.タバコ有害論に意義あり!

名取春彦、上杉正幸・洋泉社新書
統計やグラフなどのデータを見る時は、鼻から疑つて掛かる、と言ふか、そこに出てゐる数字をあんまり信用しないやうにしてゐる。だいぶ前にチラと見た、たぶん大泉図書館で借りたか、立ち読みしたか、タバコが肺癌の原因であるといふのは捏造か、都合の良い統計結果に過ぎない、と書いた本があつて、それが頭にあつたからベニマルの本屋でこれを見つけてパラパラと捲るうち買ふ気になつたのだらう。通称「タバコ白書」(「喫煙と健康──喫煙と健康問題に関する報告書」1987)のデータが実はご都合主義の産物だ、と告発してゐるのだ。要は「白書」を中心になつて纏めた平山雄つて学者が掲げたデータへの言及で、うんうん、さうさう、と納得する。前半の名取氏の部分が特に面白い。タバコの煙は水蒸気やタールの粒子だから肺に蓄積することはなく、肺が真つ黒になるなんてウソだとか、死亡率や発ガン率の根拠になつてゐるグラフや表の杜撰な解釈にも言及してゐて、小気味いい。もちろん害がないワケはないけど、肺癌よりも喉頭癌で、受動喫煙なんて根拠がないし、吸はない人に不快な思ひをさせないやう注意を払へばいいのだ。ほぼ一日で一気に読んでしまつた。

2007-06-01

74.目からウロコの近現代史

河合敦・PHP文庫
やはり、もとに戻すことにした。前の形に慣れてしまつたせゐか自分が読み難いので。
特に目からウロコは落ちなかつたが、兎に角いま読んでるところのエピソードが時代の流れでどの辺になるのか解り難くて往生した。取り上げる話題で前後するのは仕方ないが、これぢやあ摑めないやね。意外性なんかよりも、かう、歴史がどう動いてゐたか、動いて来たか、だ。時々入つて来る個人的な感想、私的な記述は邪魔。解釈が読みたいのではなく、歴史の事実を知りたいんだから。「数学の広場」のはうはまだ単位で躓いて「分数と小数」に行けない。練習問題で「なんで?」が解決しない。