2015-04-24

597.医者の私ががんを消した食事法

中野重徳・中経出版。筆者は前立腺癌と診断された医師で、現在81歳。10年ほどまへにその診断を受けたといふ。前立腺内にとどまる癌であり、PSAも10以下、全摘出や放射線治療を受けずにホルモン治療を受けたのだが、副作用に悩まされ、食事療法に切り替へ現在に至つてゐるといふ。少しは参考になつたけど、違ひのはうが多かつた。PSAが10なんて、オレはまだ届かない、27だよ。しかもリンバ節に転移してるから摘出は無理。でも同じホルモン治療で、薬も同じなのにオレには筆者の言ふホットフラッシュ(まへぶれもなく体が熱くなる、動機が激しくなつて、顔がほてり汗が噴き出す)副作用はないんだよね。気づかないだけかね。いづれにしても筆者の年齢を考へると、加齢による小康状態にあるだけではないか、食事療法によるものとは思へない。食事の内容も、見事だな、と思へるやうな厳密さもないしね。因みに朝食のメニューは80歳の人が食べるものとは思へないほどの量です。蛇足ながら、P202「ジャガイモやトウモロコも野菜ですが」と。トウモロコシぢやないかなあ。こんな単純な誤植は出版社で気づかない?いいや。これはトウモロコシぢやなくてトウモロコなんだ、と言はれたら、なにも言へない。

2015-04-17

596.前立腺がん──治療法の選択のために──

順天堂大学医学部編・学生社。自分の病気についてインターネットや病院でくれる冊子の知識だけでなく、病院や医師が纏めたり書いたりしたものを読んで置かうと思つて購入。「はじめに」のところで順天堂大学の基本的な姿勢が書いてあつて、「自分の母親に対して、この治療が出来るのか」「自分の子供に対して、このメスを入れられるか」さういふ問ひを自らに発しつつ医療を行ふやうに教育してゐる、とある。これを仁の心と呼んでゐる。もう考へても仕方のないことだけど、……。改めて、向き合ふ心構へを。

2015-04-14

595.お客に言えない食べ物のウラ事情

㊙︎情報取材班・青春文庫(used)。「お客に言えない食べ物のカラクリ」と一緒に買つた。やはり食べ物についての雑学で、知らなくても生きて行くうへでは特に困らないだらう、といふ話。こつちは章立てが「人気食品のホントの裏側」、「身近な食べ物の意外な㊙︎事情」、「お客に言えない食品売り場の秘密」となつてゐて、立ち読みしたきには全然別の内容だらう、と検討を付けて一緒に買つたのだが、読んでみると三分の一くらゐは重複してゐるやうに思ふ。一つ一つ検証したワケぢやないから断定はできないが。こつちはイラスト付で、ページ数も多いのに値段が安い(本体543円+税で、あつちは本体619円P+税、どつちも108円税込で購入)のはなんでだらう、思つて奥付を見たら、こつちのはうが古くて2004年10月20日第一刷で、あつちは2014年2月20日第一刷。なのに、こつちはカバーの裏側の袖に「シリーズ第二弾」と書いてあつて、どつちが先?。
蛇足。あつちのP78にスーパーの「野菜だけは、消費期限も賞味期限も明示されていない」と書いてあるけど、もやしには期限が書いてなかつたかなあ?

2015-04-10

594.お客に言えない食べ物のカラクリ

㊙︎情報取材班編・青春文庫(used)。漸く始めから最後まで一冊の本を読むことができた。目出度いことだ。しかし、まだ油断はできない。なぜなら小説が読めないからだ。小説は書いてあることが頭に入らない。最初の一頁分くらゐで挫折してしまふ。それは兎も角読みをへた。食に関する雑学を纏めたものだ。例へば「ウナギ不足といいながら、かば焼きがまずまず出回っているのは?」に始まり、三元豚とはなにか、アイスクリームに賞味期限がないのはなぜか、コーヒー豆に新豆はあるか、ハチミツが腐らないのは本当か、メンマはどうやつて作るのか、といふ、まあ、どうでもいいやうな話がたくさん書いてある。暇つぶしにはちやうどいい。

2015-04-03

変な友達──吉田健一のこと──

白洲正子・新潮社「吉田健一集成別巻」所収。江國滋の「日本語八つ当たり」以降、もう一箇月近く新たに本を始めから読む、読み始めることができないでゐるのだが、そんな中で何度か繰り返して読んでゐるものの一つが、この白洲正子が集成別巻に書いてゐる吉田健一の話だ。例へば河上徹太郎や丸谷才一、篠田一士、清水徹といふ人たちが描く吉田健一の肖像とはすこし違ふ吉田健一がここにはゐる。或は当人が思つてゐたのとも違ふ吉田健一かもしれない。誰かがどこかで書いてゐて、それが誰でどこに書いてゐたのか、ちつとも思ひ出せないので書かうかどうしようか迷ふのだが、ちやつかり書いてしまふと、吉田健一は頻りに小林秀雄を褒めるけれども考へ方は相容れないのではないか、水と油ぢやないか、といふその辺をやはり白洲正子は書いてゐる。第一、小林秀雄のどこがそんなにが偉いのか、ちんぷんかんぷんで、それが文学といふものなら、オレは文学なんか判らなくても一向に構はない。ただ、ここにゐる吉田健一のはうが人間として魅力的だし、現実味がある(現実味なんていふ言葉はない、と吉田健一は言ふかなあ)。P340(あの、敗戦後に「いつそ国語をフランス語にしたらどうか」なんていふ正気の沙汰とは思へない発言をした「小説の神様」!である)志賀直哉が卵が割れないことで笑つたといふ話に「育ちがいいので卵が割れないと思うのは間違っている。育ちと卵とはぜんぜん違う話なのだ」と切つて捨てる。ほかにもあるが、書きたくなつたら書かう。34人が「吉田健一・人と文学」といふ括りで書いてゐるが、この白洲正子と吉田暁子の「まっすぐな線──父のこと」は何度読み返しても好い。ほかの人は伝説回路に嵌つてゐる。