2006-03-16

9. 不可解な使者

佐野洋・光文社文庫(used)
「約束」をテーマにした連作短篇集。雑誌連載時は「約束の果て」といふタイトルだつた、と解説にある。一つ読み終へる度に思はず唸つてしまふ。上手いなあ。約束絡みの事件や犯罪に読み手を導いて行く、その持つて行き方が上手い。それと最後の解決の仕方も、よく作られてゐるのに作為を感じない。爽快なミステリーだね。20代の頃、軽井沢で別荘の管理人をしてゐた頃に矢鱈とミステリーを読み漁つてゐて、かなり佐野洋と結城昌治を読んだけど、貴重な酒をチビチビ飲むみたいに読みました。蛇足だが、解説に「当を得ていてかつ洒落ている」と書かれてましたが、「的を射て」ではありませんか?

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