2009-10-19

ジョナサン・キャロル/浅羽莢子訳「パニックの手」創元推理文庫(225)を読みをへたのは一昨日のことだ。11の短篇がはいつてゐる。最初の「フィドルヘッド氏」。ああ、かういふ小説を書く人なんだ、と。ファンタジーと言ふんだらうね、かういふ展開は。で、次の「おやおや町」。これは長くて読むのに時間が掛かつた。その次の「秋物コレクション」が一番好きだ。全部に言へること。書き出しの軽妙さ、言ひまはしにも工夫がある。比喩は凝つてゐるけど、嫌味な感じもなく、クドさも鬱陶しさも感じなかつた。短篇だけぢや判らないが、サキとか、ロアルト・ダールとか、似てるかも知れない。それよりもオレは村上春樹に似てると思つたんだけど、ハズレかな。それとヴォネガット、カーヴァー、或はブローティガン。訳文が読み難い、と言ふか意味が取れないところがあつた。控へなかつたので挙げない。「フィドルヘッド氏」の中にこんなところがある(P20)ポルシェのことが書いてあつて、「〈風呂桶〉って呼ばれてるやつ」と。あとの文章も含めて考へると、たぶん356スピードスターのことだらう。しかし、これは〈バスタブ〉と呼ぶことはあつても、わざわざ日本語にして〈風呂桶〉なんて呼んでないと思ふよ、一般的には。

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