2009-11-01

読まないうちから、てつきり新本格派と呼ばれる人たち(綾辻行人、有栖川有栖とか)の一人だと思ひ込んでゐたので手を出さなかつた姉小路祐の「刑事長(デカチョウ)」講談社NOVELS(229・used)を読んだ。実は「社会派」〈本人弁〉。プロフィールによれば、法学部卒で弁護士のシリーズを書いてゐるさうだ。解説は森村誠一。なかなか面白く読めたけど、気になつたこと。いつもの些細なことなんだけど、最初に発見される被害者の死亡した日、発見した日が何日なのか書いてない。P40の捜査会議の報告で「死亡推定時刻は九月七日の午前二時半から三時半」と出てゐるが、死体発見日とは書いてないから判らないまま読むことになる。そんなことは判るでせう、予想がつくでせう、午前の死亡推定時刻で、第一章の冒頭が夕方なんだから、……ぢやあ、聞くけど、そんなことを書くスペースもないほど込み入つた小説なのかと言へば、そんなことはない。警察機構に対する批評的な意見がクドいほど書かれてゐて、判つたよ、そんなこと、と、つい呟いてしまふくらゐだし、その次に死んだ人物についてはP154下段左から6行目に「※死亡推定時刻は本日(十月二十日)の午前一時から二時。」と書いてある。「本日(十月二十日)」と。この「本日」の2文字を書かない理由はなんですか?見落としてるのかと思つて何度も始めのはうを読み返した、その手間と時間が惜しい。ミステリで日時や季節がきちんと書いてないものはホントにイライラするんだよね。いつの話なんだよ、これはッ!と。新しい警察署長が赴任した日も、何日と書かない理由はなんですか?プロローグP15「貴船署長が着任してからちょうど十日目のことだつた」。自分で計算しろつてのかい?警察の人事は全く知らないけど、これで行くとさあ、8月の28日か29日に人事異動があつたことになるんだけど、ずゐぶん中途半端な時期だねえ。1日付けとか、さういふ人事異動ぢやないのかね。それと第6章からの展開で、「山本」を追つてる、と言へば、岩切刑事もこれほど孤立しないんぢやないか。敢て喧嘩を売つてるやうに思へるんだけど。最後に森村誠一の解説のをはりのはう、「若い刑事・川喜田がつぶやく」その台詞はP240婦警の鳥居理香の台詞です。その台詞にある「勤勉実直」は四字熟語なのだらうか。謹厳実直といふ四字熟語は知つてるが「勤勉実直」は知らない。試しに広辞苑と岩波国語辞典で調べたが、「勤勉」に「実直」を続ける例はないが、「謹厳」には「──実直」の例が挙げられてゐる。

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