2009-11-09

これは再読扱ひにするかどうか迷つたけど、以前にも「散歩する死者」と「天啓の殺意」は別にした経緯があるので同様に。中町信「高校野球殺人事件」徳間文庫(232・used)読了。9月にたぶん朝倉のBookOffで発見。早速購入。これを元にした改稿決定版が「空白の殺意」。トリックも犯人も判つたうへで読んだわけだが、3年もまへだし、殆ど忘れてゐたけれども、幾つか2作の違ひに気がついた。第五章で被害者が発見されるが、発見された場所が「高校野球殺人事件」では太田市、「空白の殺意」では館林市。高崎を舞台にしたものなので、道路事情で都合が悪くなつたか、発表当時(1980年)とは環境がかはつてしまつたか。「(発見された)林は太田市の南端を縦断している県道から二、三百メートルはいった場所にあり、舗装された道路ぞいに細長くつらなり、広大な面積を有していた」と書いてあるが、この太田市をそのまま館林市にかへただけなので不思議。どの辺りのことだらう、と推測するが、ちつとも特定出来ない。土地勘のある、近所の話なのに。はつきりとは覚えてなかつたが、エピローグのをはりかたが違ふ気がして、比べてみたら違つてゐた。行替へや文字の変更も多い。脚音→足音、おるす番→お留守番、「リーコちゃんもすごく大きくなった」→「リーコちゃんもすごくかわいくなった」など。中町作品の中では、これが一番おとなしいかもね。「模倣の殺意」が好みのタイプだと物足りないかも。どつちにしても、かういふ初稿、改稿、決定稿など版の違ふものがある作品は細かく比べてみたいなあ。面白さうだな。発見があるかもしれない。先づはこの2作の比較から始めるかな。

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