2006-07-30

37.散歩する死者

中町信・TOKUMA NOVELS(used)
改稿後の創元推理文庫から出た「天啓の殺意」を先に読んでゐるので、その感想なんかは月刊彦七新聞HP=http://www6.ocn.ne.jp/~hiko7/omako.htmlで見て下さい。比べるまで気付かなかつたが、エピローグは「天啓の殺意」のはうが親切だつた。こつちで沸いた幾つかの疑問への答へがある。どうしても混乱するのは、どこまでが実際のことか、つていふこと。疑問はそこから発生する。この疑問は疑問として正解なのか、といふ混乱さへあるくらゐだ。旅館の女は誰か、仲居の証言とか、朝江の遺体確認をしたのが旅館の主人?とか。これ以上はネタバレなしでは書けない。P75上段の「消印は三月十一日の午後十二時から……」は「九月十一日」ではありませんか。九月の話をしてんですから。誤植ですかね。雑誌名が「小説世界」(「散歩する死者」)から「推理世界」(「天啓の殺意」)になつてゐるのは恐らく、「小説世界」といふのは実在した雑誌名だからではないか。怪しい記憶で言ふと、島崎藤村だつたか、田山花袋だつたかが、さういふ名前の雑誌に発表してたやうに思ふ。題名の「散歩する死者」は理由がよく解らない。「天啓の殺意」のはうがいいかも知れない。

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