2006-08-05

38.昔話にはウラがある

ひろさちや・新潮文庫(used)
ひろさちや。太田のほんだらけの棚で見付け、聞いたことある名前だな、と思つた時は、まどみちおと勘違ひしてたかも知れない。兎に角、表紙がよかつた。山本タカトといふ人の絵で、浦島太郎だと思ふが(海中でカメの背に乗つてるんだから他に考へやうがないだらう!)、実に怪しく美しい。これだけで買つたやうなもの。だから中身は期待してなかつたが、期待しないでよかつた。昔話の自己流の解釈で、興味深い解釈もあるが、概ね妄想と呼んだはうがいい。「アリとキリギリス」は確かに岩波文庫の「イソップ寓話集」にはないけど、仰るやうに「蝉と蟻たち」だけでなく「蟻と甲虫」といふのも参考にして作られたと思ふのです、私は。蛇足ながら。──序でに、どうせ読むなら佐野洋子の「嘘ばつか」(講談社文庫)のはうが桁違ひに面白い。06.08.13

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