2006-08-07

40.無茶な人びと

中野翠・文春文庫(used)
中野翠氏の本は図書館で借りて何冊か読んでゐる。メディアに対するコラム、メディアを通した事件についてのコラム以外はお気に入りの芸人(古今亭志ん朝、中村勘九郎、高田文夫、浅草キッドなど)についての話。これまではそれほどでもなかつたが今回は特に、事件をめぐるコラムを読んで、ちよつとした違和感があつた。理解しよう、解釈しよう、位置付けしよう、といふ意思がある。それは事件によつては「なぜか」を強く感じるものもあるが、事件に限らず、発言の影には「解釈しよう」といふスタンスが感じられ、それが或る時は鼻に付いた。具体的に一箇所。P298の終りのはうからP299にかけて、「ことTVとマンガにかんしては私の世代はちゃっかりしてると思う。TVとマンガが一番ういういしく、イキオイがあり、激動していた頃に育った。黄金時代にいたと思う」といふ件。これは小林信彦氏の本で読んで呆れた「ヌーヴェル・バーグ以降の映画しか知らない世代は気の毒だ」(正確に覚えてないが、かういふ意味の発言だつた)と同じだね。特権階級なんだね。志ん生、文楽、円生を知らない世代は可哀相、さう言つてるのと同じだし。誰でも幾らでも言へることで、たぶん世代の差だらう、と片付けてしまはう。氏は団塊の世代らしい。だからかなあ、……。

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