2006-05-03

22.裁判官が日本を滅ぼす

門田隆将・新潮文庫(used)
日頃から新聞記事の中に裁判結果が報じられているのを目にして時折、勿論法律の専門家ではないけれども社会人として長く生活してゐれば或る程度の判断が出来るやうな事件の判決に耳を疑ふ、と言ふか目を疑ふことがあつたが、これを読んで氷解した。先づ、民事事件について日本の裁判官は一般常識がない。銀行に騙されてローンを組まれた事件について、判決は被害者に鞭を打つ。集団リンチ殺人事件の犯人である少年が仮名で報じられたのを名誉毀損で訴へた裁判も最高裁まで争はれる始末。殺人を犯して名誉毀損とは、どういふ神経なのかと訝る。山形で起きた「マット死事件」の犯人たちの供述は子どもを持つ親には読むに耐へないものだ。この事件は最高裁で有罪が確定したが、元少年たちは再審請求をしてゐるといふ付記を読み、絶句する。交通事故から奇跡的に命は取り留め、脳挫傷で重体だつた少年が必死の努力でリハビリを続け、定時制高校から全日制に合格した矢先に殺された事件など、犯人たちをぶツ殺してやりたい、と思ふに違ひない。犯人の少年たちは少年法のもとに庇護され、無期懲役や死刑の判決を受けることはない。ここに登場する裁判官たちは人間としてをかしい、狂つてゐる。判決だけでなく、法廷内での言動など、正気の沙汰ではないよ。

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