2006-05-23

26.沈黙者

折原一・文春文庫(used)
BookOffで中町信を物色してた時に見付けたのだが、氏が書いた中町信の「空白の殺意」の解説を読んでたから買ふ気になつたので、えーと、あの、落語家が出て来るミステリー、思ひ出せないけど、あの作者とよく混同して避けてゐた。なんとか薫つて言ふんだけど、……さう、北村薫だ。この人はダメなんだねえ。なんとかの蝉(全然違ふかも知れない)とかいふのを図書館で借りて読まうとして一頁目から先に行けない。入れないんだね。拒絶反応。「マークスの山」(?)とおんなじ。兎に角驚きました、このトリック、と言ふか、作り方。正直な話がP325(全体でP383)の高山一家の登場まで「もしかしたら、かういふことか?」と思はなかつた。殺人事件のカラクリよりも「沈黙者」は誰かに気を取られてしまつた。かなり集中しないと面白さが存分に味はへないかも知れない。もう一度続けて読んでもいいかな、と思つたほどだが、難を言へば、……小姑みたいで気が引けるのは、文句の付けやうがないくらゐ丹念に書かれてゐるからだが、一言二言。「わが生涯最大の事件」の作者が67〜68才と推察されるのだが、年齢と言ひ回しに違和感がある。P284の「君は後悔の「航海」に旅立つ。駄洒落を言つても仕方ないんだけれどもね。」とか、P311「それでおしまい。ジ・エンド。」つていふ言ひ回しが相応しいかどうか。と、P379で「沈黙者」を「私」が調べてゐることを本人が知つたといふ風に書いてあるけど、確か「私」は声をかけてない筈なので、躊躇つた筈だから、どういふ経緯でそれが「沈黙者」に知れたのか、明確ではない。なんとなく、さうかも、では済まない重要なことだ。「沈黙者」が気付かなければ、接点がなければ起こらなかつた事件だから。20代後半から50近い年齢まで世間とは没交渉だつたわけだからねえ。最後に,息子の靴を履くのは尋常ではない、と感じました。

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