2006-05-19

24.殺人投影図

結城恭介・祥伝社NON NOVEL(used)
Book Off の棚で見付けて、読んでみるかな、と思つたわけはタイトルに「新探偵小説」と添へられてゐるからではなくて、氏の名前を知つてゐたからで、それはデビュー作で第一回小説新潮新人賞受賞作「美琴姫様騒動始末」を読んだことがあるからだ。当時は筒井康隆が絶賛で文庫の解説も書いてたやうに思ふ。それで読まうかと思つたわけだが、どこが「新」探偵小説なんだか、解りませんでした。先づ、あの、非常に中に入りづらかつた。頁が進まないんだね、言葉の問題で。面倒だから読まないでBook Off に出しちやはう、と何度か思つた。突然、池波正太郎みたいな言ひ回し(池波正太郎のそれがイヤだといふ意味ではないのです)が出て来るのは意図してやつてるのか、意図してるなら読み難くなるだけで、失敗してる。今から12年前に書かれたものだが、携帯電話も出て来るし、当時の風俗や言葉遣ひが扱はれてる中に、「困った愛想笑いを返すさやかである。」(説明するまでもないでせうが、さやかは名前です)なんて書き方が混つてるのは変だよ。馴染めないねえ、オレは。作者と出版社が狙ふ「新」は、少なくともオレには感じなかつた。ミステリーとしても、どうでせう。

0 件のコメント: