2016-05-18

九つの殺人メルヘン

鯨統一郎・光文社文庫(×2)。失くしたと思つてゐたら、棚を整理してゐて見つけて読み始めたら最後まで読んでしまつた。2007年3月に読んでゐる。思はず吹き出したり、にやりとする会話のやり取りが面白い。第六話、P229「千賀かほるの娘が将来、宇多田ヒカルになるなんて夢みたいだね」と書いてあるんで、藤圭子だろ、と思ふと、そのあとで地の文に「夢だよ」つて書いてある。それが間違つてるよ、なのか確かにね、なのか判断できない。普通に読むと後者なんだけど。始めに枕の如きものが九話凡てにあり、酒の蘊蓄だけでなく、そこでの会話に出て来る映画やテレビ番組、テレビ・コマーシャルからCMソング、歌謡曲など世代が近いので懐かしい。最後の第九話の冒頭、「僕」と入れ替り店を出て行く天才歴史学者の美女は氏のデビュー作「邪馬台国はどこですか?」の早乙女静香なのだらう。直接内容とは関係ないので意味不明。この話での桜井さんの推理は強引なんだけど、どうもそれが当たつてゐたといふのが、ちよつと興醒め。P359の九つ目の殺人事件は「悪い僕を抹殺してくれた」といふ、この「僕」は妙に子どもつぽい、厄年なんだけど。

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