2009-08-24

アガサ・クリスティ/長沼弘毅訳「オリエント急行の殺人」創元推理文庫(214)を読んだ。トリックは知つてゐたので読み難かつた。たぶん映画──ビデオを借りて見てゐると思ふ。ショーン・コネリーが出てなかつたかな。発想は素晴らしいですよ。「そして誰も……」も、さう。さらに「アクロイド殺し」も。しかし、古い。赤川次郎が「そして誰も……」の解説で触れてたけど、誰でも携帯電話を持つてる現在の生活では、起らない犯罪だね。訳も古くて(「訳者あとがき」が1959年9月)、P278の5行目「その前にまず、のんべんだらりと小田原評定と来る」なんて台詞をポワロの友人で国際寝台車会社の重役といふ設定のブーク氏が発言するんだ。「小田原評定」?──「いつまでたってもきまらない相談▷北条氏が豊臣秀吉に攻められた時、小田原城で、戦うか降伏するかの相談がなかなかきまらなかったことから。」(岩波国語辞典第三版)──ほかの言ひ方はなかつたのかね。日本人ぢやないんだから。まるで時代劇だぜ。1934(昭和9)年に出た本だからねえ。当時は気が効いてゐて、逆に斬新だつたのかね。

0 件のコメント: