2018-01-21

737.凶刃 用心棒日月抄

藤沢周平・新潮文庫。P55、再会のとき「十六年も音信もなくほうっておかれたからと、寝首を掻くようなことはいたしませぬ」と佐知は言ふ。ほかにもある。言つてから頬を染めたりするところが堪らなく、いい。拾つてみよう。P69、「出来れば、わたくしがお食事をつくってさしあげられるといいのですけれども」P328、「今日は思いがけなく、小半日もご一緒出来てたのしゅうございました。こんなことはもう出来ないものと思っておりましたから」。嗅足組を解散したあとで尼になるといふ佐知は、数年の修行を終へたら国元の明善院の安寿になることが決まつてゐると言ふ。果報者よのう、青江又八郎は。

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