2013-04-17

中町信「浅草殺人風景」徳間文庫(534・used)どうしてかう、読んだ後の印象に違ひが出るのか。下の「悪魔のやうな女」では人物の印象が薄くて、話の筋を慌しく追つて行く骨組みだけの小説に思へた(専業作家になつて以降の作品には残念ながらかうした印象を受けるものが多い)のに、これは人物が生き生きしてゐる。浅草が舞台だから、といふわけでもないだらう。P16〜P17にかけて、浅草の三社祭の初日死んだ人物の名前がかはつてしまふので、誤植かと思つたら、さうではないことが読み進めるうちに解るのだが、これはもう少し説明を付けてもネタバレにはならないでせう。それともオレだけが、さう読んでしまつたのか。最後の真相の部分はもうちよつと書き込んでほしかつた。真犯人の心境とか、連続殺人の方法とか。この浅草のシリーズは2作しかない。まへの「浅草殺人案内」のときにも書いたけど、鮨芳は一体いつネタを仕入れに行くんだらう。河岸に行かなくても馴染みの業者があつて、届けてくれるのだらうか。

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