2007-12-05

91.アメリカの鱒釣り

リチャード・ブローティガン/藤本和子・新潮文庫
とても手子摺らされた小説だつたが、読みをはつて、意味が解る、つて実はどういふことなんだらう、と考へてしまつた。答へは簡単には出せさうもない。兎に角、解説も含めてオレにはよく解らなかつた。ただ、途中で躓いてしまつた「二十世紀の市長」から(兎に角最後まで読むことだと自分に言ひ聞かせながら)ボツボツ読み進めて行くうちに、さうか、これは作者が鱒釣りをしながら考へたこと、或は鱒釣りをしたときのおもひでみたいなことを書いてるんだな、と読むことにしたら、うまく行つた(この文章はブローティガン風かも知れないぞ!)。それから「ネルソン・オルグレン宛云々」のところを読んでたら、漸くわかつた(やうな気がする)。これはナンセンスなのだらう。駄洒落とか。意味で繋がつてゐる一括りの文章として書かれてはゐないんだ、と。比喩などはシュル・レアリスム風だけど、あつちは新たな意味付け、デペイゼされたものが産み出す、これまでとは違つた意味が目的だが、ブローティガンは違ふやうだ。どつちにしても、どうにか読みをはり、なかなか面白かつたな、といふ感想。もう一冊どうですか、と聞かれたら遠慮しとくけど。

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