2007-11-26

90.西瓜糖の日々

リチャード・ブローティガン/藤本和子・河出文庫
「アメリカの鱒釣り」が滞つてしまつたので、こつちから読むことにした。読みをはつたのは一昨日。西瓜糖とはなにか。なんの象徴か、意図はなにか、言葉の再定義を迫つてゐるのか、と考へて込んでしまふと「鱒釣り」の二の舞だ。そこで不明なものはそのままに、解らないことはそのままにして先へ行かう、みたいな気分で読み進めることにした。さうしたら、ますむらひろしのアニメ(原作は宮澤賢治だけど)「銀河鉄道の夜」みたいに、或はムーミンみたいにこの世界を見ればいいんぢやねえの?と気づいたらスラスラと読めてしまつた。自分を含めた身のまはりにゐる人間として登場人物を捉へなくたつていいワケだ、と、まあ、ひらきなほつたやうなもんだ。動物だつて、いい。さうすりや、目のまへで自分の親を食べてゐる虎とも話が出来るだらう。──さう、結構面白く読むことができた。ただまあ、西瓜糖の世界で暮らす、といふことの意味は呑み込めないけどね。ヒッピーとかフラワーチルドレンとか、ジェーファーソン・エアプレインとか、サイケデリックとか、流行は繰り返すから。

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