2007-11-16

89.野獣死すべし

ニコラス・ブレイク/永井淳訳・ハヤカワ文庫
同じ題名の大藪春彦のはうは読んだことがある。内容はあまり覚えてないが、伊達邦彦とかといふ主人公だつたかな。面白かつたから、続けて何冊か大藪春彦を読んだのだ。1938年に書かれたものだから、当然こつちのはうが先。この題名は江戸川乱歩が付けたものだ、と解説で植草甚一が言つてるけど、大藪春彦も江戸川乱歩とかかはりがあるんぢやなかつたかな。それは兎も角、ニコラス・ブレイクはペンネームでセシル・デイ=ルイスといふのが本名で、詩人でもある。俳優のダニエル・デイ=ルイスは息子だとwikipediaには出てたけど、顔が思ひうかばない。この「デイ」のところを「デル」、「デル=ルイス」と、どうも読んでしまふんだな。理由は解らない。ブレイクについては植草甚一の「雨降りだからミステリーでも勉強しよう」の中で、ちやうどシムノンについて書いてあるところの少しまへで触れてゐる。この「雨降り」には実は珍しく(線を引くことも滅多にしないし、書き込みも殆どしないで読むタチなのだが)幾つも付箋が貼つてある。こんど、この本についてhiko7 newsで書いてみよう。話が逸れてしまつた。……大筋で言ふと、息子を交通事故で失つた父親フィリクス・レインが復讐するといふ話なのだが、第一部が「フィリクス・レインの日記」になつてゐて、これが入り難かつた。何度か読み始めたけど、乗れなかつた。今回は20頁くらゐ、スイスイと読めて、それからは一気だつた。ミステリーだから、とかトリック云々なんて考へないで素直に読んでも充分面白く読める。具体的には挙げられないが、凝つた表現や、人物の言ひまはしなども面白かつた。

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