2006-02-08

3.本陣殺人事件

横溝正史・角川文庫(used)
横溝氏の本も幾つか読んでる。「八つ墓村」「犬神家の一族」「悪魔の手毬唄」「悪魔が来りて笛を吹く」、それと「恐ろしき四月馬鹿」つていふデビュー作の入つた短篇集とか。角川映画で取り上げられてた頃かなあ。ただ、あんまり好きぢやなかつたのは、道具立てといふか、おどろおどろしい作りが鬱陶しかつた。別に論理的なのがいいとか、都会的な、現代風なのが好き、とかいふ意味ではなくて道具立てに凝り過ぎた感じがするのがイヤなのだ。凝るのはいいけど、それが見えてしまつたら野暮だ。この「本陣殺人事件」は都筑道夫の「黄色い部屋はいかに改装されたか?」つていふ本で取り上げられてたから、いつか読んでみよう、と頭の隅にあつたのだ。これまで読んだ氏の作品の印象と違つてたのは、他の作品の内容を殆ど忘れてゐるせゐか。でも、いつのまにかゐなくなつた金田一さんが、読んでるこつちには一切知らされないところで何か調べて来て「実は」つてやる、それはなかつた。勿論、奇怪な雰囲気はあるんだけど、ずうつと論理的な印象。これには他に二篇入つてゐて、それもなかなか面白く読んだけれども、「本陣」が一番面白かつた。いまだにメインのトリック、どうやつて殺したかはよく飲み込めないけど。次はいづれ「獄門島」を読まうと思つてる。

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