2016-08-06

ジガ蜂

島木健作。漸く読みをへた。3篇収録されてゐる短篇の中でも一番短いものである。ジガ蜂の細かい観察に驚く。また実にこの蜂が美しく見える。「黒猫」「赤蛙」「ジガ蜂」の3篇は後ろの年譜で見ると昭和19年、短篇集の補充のために書き下ろしたものと書いてある。ほかに「蒲団」「むかで」があるやうだ。みなさんご存知とは思ふが、島木健作はペンネームで、本名は朝倉菊雄といふ。島木健作は翌20年8月17日42歳で没してゐる。ずつと肺結核だつたやうで、農民運動に加はり投獄、転向、入退院。敗戦の報を受け、「これからやり直しだ」と語り、死んで行つたといふ。ちよつと自分を重ねてしまふ。
織田作之助の「木の都」の読み返しは後でいいや。

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