2016-07-05

655.人生の自由時間

藤本義一・岩波書店(used)。ほぼ新品のやうな状態だつたので驚いた。定年になつて、どうするか、なんてことに関心があつたので買つたのだつた。「あとがき」の中にかうある。「時間を自分で管理して、その時間の中に自分を置く」ことができるのが「定年後だと思う」と。「時間に追いかけられる自分」から「時間を追いかける自分を確かめる」とも。前回書き忘れたが、氏が11PMの司会をしてゐた頃、広瀬隆に原発の危険性について話を聞いたときのことが書いてあつた(「無条件幸福論」P169〜)。広瀬隆が原発の危険性を縷々述べ始めるとディレクターから「広瀬の顔を映すな」とか「原発の話題を打ち切れ」といふ指示が出たさうだ。しかし、氏は断固拒否して最後まで番組を続けたといふ。電力会社はテレビにとつて有力なスポンサーであり、スポンサーに不都合な事実は避けるといふ、いまも続くテレビや新聞などのマス・メディアの体質がよく出てゐるし、それを拒否した藤本義一の姿勢に共感する。福島原発の事故は天災ではなく人災であり、想定外などといふ言葉では済まされないと憤ることにも共感する。バランスの取れた感覚の人だつたんだなあ、と改めて思ふ。

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