2013-10-15

555.鏡の国のスパイ 灰姫

打海文三・角川書店(used)。手に入らないもの、と半ば諦めてゐたから探す気にもならなかつたが、amazonで検索したら古本が見つかつた。送料を含めても定価より少し安いので思ひ切つて買つた。状態はとても良かつたが、なかなか読めない。入つて行けない。最初のはう、P18くらゐまでで何度も挫折。誰が主人公だかわかんないし、符牒が飛び交ふ。読み難い。北朝鮮絡みのスパイ活動や情報作戦などの記述がちつとも頭に入らない。これは横溝正史賞の優秀作に選ばれた打海氏のデビュー作で、最後に作者のあとがきと選評が載つてゐる。強く推してゐるのは夏樹静子で、批判的なのは先日亡くなつた佐野洋。「はいひめ」と読んでしまふが「キム・チエヒ」と本文中にルビがある。灰姫はシンデレラかと思ふが、どう繋がるのか、無関係なのか、わからない。人物の関係も判り難いので、主人公に寄り添ふ恰好で物語に入れない。この次に「時には懺悔を」が書かれたワケだ、と思ふと、その後の作品を読んでゐるものにとつては貴重だ。

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