2012-11-10

黒川博行「蒼煌」文春文庫(480・used)日本画壇の内部が描かれてゐる。金と名誉に突き動かされる老齢の画家たち。取り巻く弟子、画商など。芸術院会員を狙ふ室生を中心に描かれる。室生は果して会員になれるのか、といふのがミステリ的な要素と言へるかも知れないが、敢てミステリと呼ばなくても充分楽しめる。人物が生きてゐる。室生の師匠の妻・船山淑、夏栖堂の殿山、弟子の大村、対抗するライバル稲山とその家族など、見事だと思ふ。表紙は奥さんの黒川雅子。

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