2012-03-18

ビル・S・バリンジャー/大久保康雄訳「歯と爪」創元推理文庫(447・used)。終りのはうが袋とぢになつてゐて、ここでやめられたら料金をお返しします、と書いてある。これは中古本なのに、袋とぢがそのままで105円だつたから買つたのだが、やめられた人はゐたのである。或はまつたく読まなかつたか。書店で換金できなければ、わざわざ出版社に送る人は少ないだらう。文庫だし。法廷場面と犯人、被害者と思はれる人たちの行動などが交互に書かれ、最後に一つの話になつてゐる。まへに読んだ煙で描いた肖像画もおんなじ作りだつた。意外なトリックだつたけど、袋とぢのまへでもやめられたやうな気がする。解説も、植草甚一の「雨降りミステリ」でも傑作といふ評価だけどね。

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