2013-11-25

559.食卓の情景

池波正太郎・新潮文庫。鬼平(四)の解説を書いてゐる佐藤隆介といふ人がその解説で触れてゐた本である。この人、広告代理店のコピーライターを経て池波氏の書生をしてゐたさうな。いまどき書生も珍しいが、よほど心酔してゐたものと見える。この本の解説も書いてゐて褒めまくり。それはさておき。題名からも解るが食べ物を中心に昔の思ひ出が語られる。祖父、母、師長谷川伸のこと、親友井上留吉のことなどだ。子どもの頃の東京下町の風景や取材で出かけた京都の話、新国劇の話。それにしても健啖家といふべきだらう、池波氏、誠によく食べる。食べ物に興味がなければ作品にも食べ物の話は出ないだらう。

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