2007-05-09

73.煙で描いた肖像画

ビル・S・バリンジャー/矢口誠訳・創元推理文庫
これは1950年に刊行されたもので、古典と読んでいいかどうか、ベストテン式に挙げられるミステリー作品はこの頃に書かれたものが多い。或はポオとか、ホームズものなど、もつと古くなる。逆にここ10年くらゐのあひだに書かれた海外のミステリーを読む機会のはうが少ないワケだ。翻訳する人がゐないと読めない。あれだ、パトリシア・コーンウェルなんかは最近の人だ。確か、オレと同い年くらゐの筈。……ま、そんなことはどうでもいい。主人公のクラッシーが17才で手にする美人コンテストの賞金が100ドル。その賞金を作るために地方新聞社の経営者が処分した車の代金が75ドル。クラッシーの婚約者バッカムが抱へたカード負債額1,200ドル。2007年5月の為替レートだと1ドル=120円かな。賞金12,000円、車が7,500円、負債144,000円。しかし、1950年代の物価はどうだつたか、ちよつと調べた。凡そ10分の1。大卒の初任給(公務員)が10,000円に満たない。とすると、賞金120,000円→公務員給料1年分、負債1,440,000円→これは10年分ぢやないか。ちよつと実感があるかな。内容と関係ない話をしてるが、主人公のダニーとクラッシー、この二人の行動が交互に描かれ、最後に一つになる。そこで(後から考へればそれほど意外ではない)クラッシーの行動がダニーを窮地に追ひ込む。事件は解決してないが、ここで終つてほしい。

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