2006-01-26

1.西南西に進路を取れ

鮎川哲也・集英社文庫(used)
これは22日には読み終へてゐた。「フランドルへの道」とほぼ平行して読んでゐたもので、ほかにも幾つか読みかけがある。
氏の短篇集の一つなんだけど、もしかしたら読んだことがあるかも知れない。と言ふのは、20代の後半に氏のミステリィを読み漁り、文庫で手に入るもの(「死びとの座」は単行本)は長篇から短篇までほぼ凡てを読んでゐる、と頭のどこかに書いてあるからだが、中身をすつかり忘れてゐたので新鮮に読めた。吉田健一が大衆文藝時評で何度も氏を取り上げてゐる。だから鮎川哲也を贔屓にする、と言ふわけではなくて、それは寧ろ後で吉田氏の時評を読んで気付いたこと。ミステリィだなんだと言ふ前に、普通に小説として読めるもので、その小説の中でたまたま殺人事件が起こるに過ぎない、といふ風な説明だつたかな。

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