2017-11-03

727.前立腺がんを生きる

NPO法人健康と病いの語りデイペックス・ジャパン編著・海鳴社。インターネット上でサイトを閲覧したこともある、前立腺癌体験者48人へのインタビューを纏めた本。9月に購入し、少しづつ読んできた。半分くらゐ読んで、自分と照らして先行きの不安からページが進まないこともあつたし、身につまされて目が潤んでしまひ本を閉じたこともあつた。強くならねば。信じなければ。

2017-10-15

726.病気は脳がつくっていた

田中一・現代書林。副題「動物脳を解放すれば、健康になる!」。最近、e-クリニックといふネットの診療所、といふか相談所といふか、そこの会員になつたのだが、会員登録したら、小冊子やDVDと一緒にこの本が送られて来た。簡単に、大雑把に要約すれば、病は気から、といふことだ。治るためには、頭を抜く、脳の癖を治して感じ方や考へ方、行動を変へることで、大脳新皮質よりも古い脳、動物脳を優先させることだと言ふ。やつてみませう、少しづつ。

2017-10-10

725.スロージョギング健康法

田中宏暁・朝日新聞出版(吉岡町図書館)。ガリレオを返却した帰りに入口自動ドア付近にディスプレイされてゐたのが目について借りた。宣告以来、走ることは極端に減り、専らウォーキングだつたが、ウォーキングは実は物足りなかつた。走ることで生じる体への負担を軽くするつもりで歩いてゐたのだが、もうそろそろ走りたいと思つてゐたところだつた。たまに走つてゐたけど、月に1回とか、そんなものだつた。だから再開するに当たつて、無理のないやうに流行りのスロー・ジョグから、と思つたワケだ。ところがこれがなんとも怪しい、不可解な代物で、時速4〜5kmで走るのが目安だといふのだが、時速4kmつて1時間に4kmだよ、ペースで言ふと、1kmを15分。不断、普通に歩く速度だらう。5kmだつて、1kmを12分。やや早歩きだけど。ところが読み進むと、これでフルマラソンが走れるやうになる、と話が飛躍する。待つてよ、1時間に4kmぢやあ、フルマラソン完走までに10時間を超えてしまふでせう。ホノルル・マラソン以外は大抵、制限時間が5〜6時間だ。失格しちやふでせうに。「となりのスロージョガー①」といふコラムに60歳の男の人の例が挙げられ「だんだんスロージョギンクのスピードも上がつてきました。そして3か月後には、ついにハーフマラソン」を完走し、「走り始めてまだ5か月目」フルマラソンを走り「見事に完走」しかも「3時間42分」だつた、と。はあ?これぢやあ、ちつともスロージョギングぢやねえだろ。筆者は知つてると思ふけど、敢へて言ふと、1kmを5分以内(時速12km以上)で走らないと4時間は切れないからね。これ、けして簡単なことぢやないから。オレは1km6〜7分(時速8〜10km)で走るのが、やつと、だつたからね。スロージョギングつて、フルマラソンを早く走るための練習法なの?と聞きたくなる。だつたら、健康法なんて言はないで、きちんとさう書けばいい、サブ・タイトルでもいいよ、「いかにフルマラソンを早く走るか」と。(因みに、スロージョギング向けの靴の話で、筆者が関はつた靴の宣伝もあつたりする。)

2017-10-09

724.虚像の道化師

東野圭吾・文藝春秋(吉岡町図書館)。といふワケで、続けてガリレオを読んだ。サブ・タイトルみたいに「ガリレオ7」とある。これが7作目といふことか。長篇が3作(「容疑者Xの献身」「真夏の方程式」「聖女の救済」かな)あつて、短篇集が「探偵ガリレオ」、「予知夢」「ガリレオの苦悩」で、これが7作目か。といふことはガリレオは最新の「禁断の魔術」を除いて凡て読んだといふことだな。確か、もともと湯川学は佐野史郎をイメージしてると、作者本人の発言だつたか、文庫のどれかの解説に書いてあつたと思ふが、最近は福山雅治が湯川役なので読んでゐて福山の顔がチラ付いて鬱陶しかつた。オレのイメージとは違ふんだよなあ、と言つて佐野史郎でもないし。第三章「偽装う」には救ひがある。

2017-10-04

723.ガリレオの苦悩

東野圭吾・文藝春秋(used)。Book Offで30円で売つてゐた。ガリレオのシリーズは過去に何冊か読んでるが、もしかしたら読んだことがあるかも、と思つたが、30円なので、それなら処分すればいい、と購入。30円で購入は烏滸がましいか。カバーがない単行本だが、状態は良い。やはり東野圭吾は読ませるねえ。黒川博行もさうだけど、途中で、あれ、と思はせない。グイグイ引き込む。読みをはつてから、うーん、あそこはちよつと、と首を傾げることも偶にあるが、最後まで読ませる。続けて読みたくなる。

2017-09-30

722.名画は嘘をつく

木村泰司・ビジュアルだいわ文庫(吉岡町図書館)。フェルメールの本(小林賴子「フェルメール──謎めいた生涯と全作品」角川文庫)を1/3くらゐ読んだところで滞つてゐるせゐもあつて、以前TSUTAYAで見かけたことがある、この本を借りて読んだ。目次の表記に先づ驚いた。横書なのは別に構はないが、見開きの右頁のはうに常に若い頁が来るのは戸惑ふね。開け方が逆ならいいんだけど。名画と呼ばれるものの意外な一面を知ることができて面白つた。書き下ろしといふことだが、雑誌のコラムのやうな印象。

2017-09-29

721.捨てる力

羽生善治・PHP文庫(吉岡町図書館)。気持ちを切り替へたい、いまあるモヤモヤしたものを捨てたい、そんな気持ちがあつて、図書館で見つけて読んでみた。やつぱり将棋の話でした。構成が変つてゐて、読み難かつた。

2017-09-25

692.〜720.名探偵コナンVOLUME①〜VOLUME㉙

青山剛昌・少年サンデーコミックス(used)。現在93巻まで刊行されてゐるさうだが、いまも週刊少年サンデーに連載中といふことなので、生きてゐるうちに全巻読むのは到底不可能だらうし、その気もないので、ここで取り上げて読み続けるのをやめる。もう2回以上通して読んでゐるから、読み切つたワケではないが、いいことにしよう。ベルモットがこれからコナンや灰原にどう関はるのか、興味はあるけれども、キリがない。2015.04.14のHIKO7 NEWSにブログ記事があるが、なんだかんだと文句を言ひつつ寝付けないときなど蒲団の中で読んでゐたワケです。

2017-08-15

691.9割の医者はがんを誤解している!

岡本裕・飛鳥新社(used)。まへに同じ著者の「9割の病気は自分で治せる」といふのを読んで、これは一度読み返したし、いまでもときどき拾ひ読みする。要するにオレは自己治癒力で病状を少しでも改善したいと思つてゐるからだ。だからホメオパシーにも興味があるのだが、ホメオパシーにはまだ疑問と言ふか、納得できないところがある。それでワイルの本を読み始めてゐたのだが、Amazonのお薦めか何かでこの本が挙げられてゐたので中古で買つて読んだ。
「食べて動けて眠れれば、人は死なない」と帯の裏に書いてある。確かにさうなんだらう。癌そのもので人は死なない、と他の本にも書いてあつたし、癌が原因で他の臓器に夥しい支障が出て死に至るといふ経緯らしい。
内容ではなく、書き方についてコメントすると、筆者が関はつてゐるe-クリニックの宣伝めいた記述が目立つこと、生還者の例を挙げた部分は重複が多くないか。
結局、自己治癒力を上げるためには、これまでの生活習慣を変へろ、考へ方を変へろ、といふことになるんだが、生活習慣の何が、考へ方の何が原因で癌が発病したのかは本人にはまるで判らない。つまり、肝心のところは判らない。人それぞれ、だから。癌にも種類があるから。
かういふ風にしませう、といふ例は挙げられてゐる(例へば、いい人をやめる・自己中になる・他人に振り回されない・自立する・環境を変へる・毎チームを作る、など)。けれども、仕事をしてゐれば出来ること、出来ないことはあるワケで、気持ちの持ち方としてなら実行可能だといふ程度だね。読んで少しは精神的に楽になつたけど。

2017-06-19

690.バールのようなもの

清水義範・文藝春秋。吉岡町図書館は年に何度か蔵書を処分する「リサイクル」といふのがあり、希望者に自由に持ち帰つてよい日といふのを設けてゐる。これまでに2回あつた。一人2冊まで、といふ制限が始めはあるけれど在庫が少なくなると、ご自由に、となる。これはそのときに貰つ本だ。もう一冊、佐野洋の珍しいSF短篇集も持ち帰つたが、まだ最初の一篇しか読んでない。序でに言ふと、その次のときに小島信夫の「暮坂」と「うるわしき日々」を見つけて持ち帰り、「暮坂」を1/3くらゐ読んで、そのままになつてゐる。
この本には、志の輔の落語ネタになつてゐる「バールのようなもの」と「みどりの窓口」が入つてゐるが、原作者には申し訳ないけれど、落語のはうが面白い。志の輔の高座はYou Tubeで見ることが出来るので興味のある人は是非見てください。抱腹絶倒とまでは行かなくても、爆笑間違ひなし。目当ての2作を読んでしまつてから、億劫になつて、漸く半年掛かつて読了。

人間椅子

江戸川乱歩。続けてこの「人間椅子」と「毒草」を読んだ。発想は面白いけど、椅子の座面、鞣し革1枚ですぐに太腿、といふのは無理があるだらう。勿論、そのはうが猥褻だし気味が悪いけど、実際の話が体格のいい欧米人の男がどかんと乗つたら、余程鍛へてないと耐へられないだらうし、座つたはうも生暖かい感触がしてをかしいと思ふんぢやないかなあ。それから佳子の使用してゐる椅子の形状について手紙の差出人はどこからその情報を得たのだらう。「毒草」は覚えてゐた。結末は予想がつくけれど、この郵便局員の女房は怖い。

2017-06-14

お勢登場

春陽文庫の江戸川乱歩名作集の5巻「人間椅子」の中に入つてゐる。奥付を見ると昭和46年6月20日第21刷発行とあるから、その頃買つて読んだものだらう。45年も前の話だ。なかなか本が読めなくて、これまで図書館で何冊か借りてきたが、最後まで読めずに返却してゐる。添加物の話のつづきやドナルド・キーンの作家の思ひ出。ちよつと期待したキーンの本は年譜をなぞつてゐるやうで、読む気が失せた。永六輔の対談とか、ごはんをめぐるエッセイなんかも借りたが、気力が持たない。それで押入れを物色してゐて、これを見つけた。
池上遼一の漫画で読んで、いつか原作を読みたいと思つていたが、実は昔読んでゐたのだつた。漫画のはうがいいなあ。兎に角、題名がいい。屋根裏の散歩者もさうだが、かういふ題名の付け方は江戸川乱歩は上手いと思ふ。

2017-05-27

689.赤めだか

立川談春・扶桑社(吉岡町図書館)。(以下、「師匠」省略。)談春の噺は実は一度も聞いたことがない。テレビドラマになつてたと思う。談志がビートたけし、談春は嵐の二宮君だつたと思ふ。途中から見たような気がする。連続ものだったのか、一話限りだったのかも定かでない。
例によつて、談志の弟子が書いたものは、みーんな談志愛に満ちてゐる。談四楼も、志の輔もさうだつた。最後の章で、談志が小さんの没後語つた言葉が書いてあつて、葬式に出なかったことについて「葬式、つまり儀式を優先する生き方を是とする心情はオレの中にはないんです。そんなことはどっちでもいい。……何故なら、オレの心の中には、いつも小さんがいるからだ。」ちょっとウルウルきた。
蛇足ながら、最初は志ん朝のはうが好きでした。あるとき偶然、談志の「二階ぞめき」をテレビで見て圧倒された。以来、志ん朝と並んで贔屓の噺家さんになつた。

2017-05-11

ひげのある男たち

結城昌治・徳間文庫(×2)。松本清張を読んだら、渋川の物置に入つてゐる古いミステリを読み返したくなつた。すぐ目の届くところに結城昌治のこの本があつたので読んだ。内容はやはり覚えてなかつたね。1982年、34年前に買つたものだ。日本のミステリを読んだことがないまま書いたさうだ。書き方が斜に構へた感じで面白い。
古い文庫は文字が小さくて難渋する。第二作「長い長い眠り」も続けて読まうと手に取りパラパラめくつたけど、文字サイズで断念。

2017-05-05

688.食品の裏側

安部司・東洋経済新報社(吉岡町図書館)。副題に「みんな大好きな食品添加物」と書いてある通り、食品添加物の話。冒頭、数十個の白い粉の小瓶を混ぜ合せて「とんこつラーメン」のスープを作る話から、コーヒー用のポーションは水とサラダ油と添加物から作られ、健康飲料にはサボテンに寄生する虫をすりつぶした染料が使はれてゐるとか、パックのサラダが実は殺菌剤のプールで何度も消毒されたものだとか、ミートボールが廃棄寸前のクズ肉の再生品であるとか、読み進むと添加物のない食べ物はないんぢやないか、と気が滅入る。
なるべく少ないものを選ぶ以外に自衛手段はない、といふことだ。食品の裏表示を見る習慣はあるけど、添加物は種類が多くて覚え切れない。そこで秘訣。台所にないものは添加物と見做せ。これが一番簡単だと言ふ。
例へば幕の内弁当に、アミノ酸等、Ph調整剤、グリシン、赤102号、リン酸、乳化剤、ソルビン酸カリウム、増粘多糖類、亜硝酸ナトリウム、なんて書いてあつたら、それらはみーんな添加物だ。パンにはブドウ糖果糖液糖が、インスタントラーメンにはたんばく加水分解物が屢々含まれてゐる。特に気をつける食品は、明太子、漬物、練り物、ハム・ソーセージの類ひ。
この本には続篇がある。

2017-04-24

ゼロの焦点

松本清張・新潮文庫(×2)。続けて読んでみた。やつぱり内容は覚えてなかつた。購入は1978年5月9日、サカモト書店と書いてある。どこにあつた本屋だらう。裏表紙の紹介記事がネタばれで、2008年以降は訂正されたさうだ。疑問が幾つかあるので列記する。鵜原憲一と曽根益三郎とが同一人物だと判るところがはつきりしない。ネームを入れた上着をそれぞれ一着しか持たない営業がゐる?連載当時の昭和33年頃はそんなものだつたのかね。青酸カリの入手経路は?解説の平野謙も書いてるが、義兄宗太郎と本多を殺す理由が判らない。田沼久子も殺さなくてもいいのでは?鵜原憲一だつて殺さなくても良いのではないか。それだとミステリにならないけど。過去を知られたくないのは判る。でもそのことで強請られたわけでもないんだから。

2017-04-19

点と線

松本清張・新潮文庫(×2)。再読と言つても、もうずゐぶんまへに読んだので、奥付を見ると1978.5.6前橋西武と購入した日が鉛筆で書き込んである。買つて直ぐ読んだらうから、ほぼ40年前だ。細かいところは覚えてなかつた。トリックもちよつと勘違ひしてゐた。解説が平野謙で、電車のトリックについてコメントしてる。都筑道夫がエッセイで、バナナの皮に滑つて転び間に合はなかつたらどうするのか、と書いてたのは、もしかしたらこの「点と線」なのかなあ。四分間といふギリギリのトリックで、もしタクシーが遅れたら、お店の支払ひに手間取つたら、ホームで相手が気づいて振り向いたらどうするか、ちよつと無理があるよなあ。種明かしが手紙といふのは、やつぱり戴けない。

2017-04-12

687.薬のやめどき

長尾和宏・ブックマン社(吉岡町図書館)。新刊書のコーナーにあつて、パラパラとめくつてゐたら「抗がん剤のやめどき」といふのがあつて、借りて読んだ。「腫瘍マーカー(PSA)は下がらないが、できるところまで抗がん剤をやろうと主治医が言つたとき」がやめどきの一つにあつた。「できるところまでやろう」とは言はなかつたし、オレの気持ちを尊重してくれて休むことになつたが、腫瘍マーカーは下がらなかつたので、ちやうどやめどきだつたのだらう。基本、薬は減らせといふ話。5種類、或は6種類。種類が増えてしまふと副作用の原因が特定できないこともあるさうだ。因みに母は8種類の薬を飲んでゐる。染色体の末端部分テロメアが寿命を決めるといふ話が出て来て、どこかで読んだ気がするが、思ひ出せない。

2017-04-09

686.手袋を買いに

新美南吉・iBook。「にいみなんきち」だといふことは判つてゐるのに、つい「しんびなんきち」と読んでしまふ。29歳で亡くなつたさうだ。よく知つてる(つもりの)「ごん狐」とは違つて、狐が酷い目に遭はないところがよい。眩しくて目になにか刺さつた、といふのは巧いなあ。

2017-02-16

685.がん治療革命「副作用のない抗癌剤」の誕生

奥野修司・吉岡町図書館。黒川氏の本を返しに行つて偶然見つけた。新刊本のところだつたか、返却されたばかりの本が置かれたところだつたか忘れたが、タイトルがパッと目に飛び込んで来た。副作用がない、つまり髪が抜けることもなく、白血球数の減少と促進薬での苦痛もない薬があるといふ。
P-THPといふ薬剤である。P=ポリマー、THP=ピラルビシン。ピラルビシンといふ古いタイプの抗癌剤に高分子のポリマーをくつ付けることで、通常細胞ではなく癌細胞などの腫瘍組織に蓄積されて効果を上げる、腫瘍そのものを狙ひ撃ちにする薬剤だといふ。しかも前立腺癌に効果があるといふ。完治ではないが、寛解する(見かけ上、消滅してゐる状態)といふ、夢のやうな薬だ。開発したのは崇城大学の前田浩教授。
いまのところ前田教授の研究室で作られてゐるだけなので、当然、製薬会社も絡んでゐないし、保険適用もないし、一体どのくらゐの治療費がかかるのか不明で、どこでこの治療を受けられるかも解らない。ネットで調べても直接、研究室に問合せするしかないらしい。
いまオレは抗癌剤治療をやめてゐるが、これからどうするか考へてゐたところなので、この薬についてもつと知りたいと思ひ、返却日が来たけど、もう一度借りて来た。買へばいいんたげどさ。この薬は抗癌剤の治療を続けて来た人には癌のはうに耐性ができてしまふさうで効果が出にくいといふ。

2017-02-01

684.破門

黒川博行・角川書店(吉岡町図書館)。ちやうどいま、劇場公開されてゐる映画の原作。疫病神シリーズだ。桑原は破門されるのか。映画製作にからんだ詐欺事件を追ふ桑原と二宮。ジェイソンばりの不死身さを持つ桑原だが、さすがに上部組織とのイザコザには無敵ではない。「後妻業」の記憶もあつて、これに出て来る探偵と四課の中川とがダブつてしまつた。

2017-01-23

683.後妻業

黒川博行・文藝春秋(吉岡町図書館)。結婚相談所を利用して老人を騙し、果ては殺人を犯す人たちの話。更に探偵事務所の元刑事や家族の思惑が絡んで展開する。自業自得といふか、最後には天罰が下る。欲張つた分だけ非道い目に遭ふ。読みをはつて不快な思ひが残らないのがいい。

2017-01-11

682.国境

黒川博行・講談社文庫(used)。いやあ、面白い。暮れから読み始め、漸く読み終へた。半分くらゐ読んだところで一休みした。なにしろ長い。830頁、厚さ3cm余りの文庫だ。他の出版社からも文庫が出てゐて、そつちは2冊に分冊。もともとは1冊ものなので、こつちを選んだ。相変はらずの桑原が堪らなくいい。
北朝鮮を舞台に疫病神コンビが詐欺師を追ひ掛ける。北朝鮮の事情も書いてあつて、悲惨といふか、適当な言葉が見つからない。誰のせゐかはつきりしてるのに、ひつくり返すことが出来ない。公開処刑と餓死と賄賂。
この疫病神シリーズの「破門」は2015年にスカパーでドラマになつてゐるので、それを観たいと思つた。映画にもなつてるけど、ドラマのはうが観たい。ドラマは桑原が北村一輝で、二宮が濱田岳。濱田岳はauのCMで金太郎役の人だ。二宮のイメージに近い。ただ桑原は極道だけど、もう少し神経質さうな人物のイメージで読んでる。と言つて映画の佐々木蔵之介ではないよなあ。なんたつて、凶暴だから。その辺りは北村一輝のはうが近いかなあ。
この「国境」は2001年の第126回直木賞の候補になつたが受賞しなかつた。因みにその時の受賞者は唯川恵氏と山本一力氏。黒川博行は2014年に「破門」で受賞。「破門」も疫病神シリーズだ。

2017-01-05

681.あずまんが大王 3年生

あずまきよひこ・小学館(used)。寝るまへに屢々蒲団の中で読み返してゐる、と書いたが、偶然「3年生」を見つけた。猫好きなのに咬まれてばかりゐる榊さんがなんとイリオモテヤマネコに好かれるといふ展開。よかつたねえ、榊さん。

2016-12-27

9割の病気は自分で治せる

岡本裕・中経の文庫(×2)。9月以降、あまり本を読んでゐない。いまも新たに本を読み始める気になかなかならない。それで自分の病気のことに多少関係する本をペラペラとめくることが多い。これもその一つで、到頭最初から最後まで読んでしまつた。P133「西洋医学が主流の日本では、手術や抗がん剤治療などの初期治療のあとは、基本的に放置するのみです。」つまり、手詰まり。いま仮に他の抗癌剤に替へても効果がなければ、それで終りといふことだ。気が滅入る話ばかりだ。

2016-11-08

680.江戸はスゴイ

堀口茉純・PHP新書。時間潰しにTSUTAYAをウロウロしてゐて見付け、まあ1日あれば読み切つてしまふだらう、と高く括つて買つたが、仕事で時間が取れず漸くけふ凡そ10日振りに読みをへた。図版がたくさんあるし、明治以降の江戸時代はヒドイ時代だつた、といふデマから自由に書いてあるので面白かつた。著者は女優で史上最年少で江戸文化歴史検定一級を取得してゐるさうだが、まつたく知らなかつた。

2016-10-20

679.清水町先生

小沼丹・ちくま文庫。副題に「井伏鱒二氏のこと」とある。これは去年復刻された文庫である。井伏鱒二について書いたものが殆どだが、太宰治に触れたものもある。その中で太宰はこんなことを言つた、と書いてある。「芥川龍之介の自殺を、独身のとき、自分は無礼なことだと思つてゐた。妻子を残して勝手に死ぬとは無責任極まると思つてゐた。しかし、自分が結婚して子供も出来てみると、却つて安心して死ねる気がして来た。芥川の自殺を肯定出来るやうな気がして来た」と。妻子を残して勝手に死ぬとは無責任だ、までは普通。そのあとが違ふなあ。昔、NHKの番組で見てVHSに録画もした井伏氏の飄々とした雰囲気はここにもたくさん出てくる。読み返さうかなあ。VHSが見たいなあ。

2016-09-15

678.刑事長(デカチョウ)


姉小路 裕・講談社文庫(used)。僅か300頁のミステリなのに読むのに時間がかかつた。先を読みたいといふ気持ちにならない。現在の警察機構に対する批判が随所に書き込まれてゐて、それがちよつと五月蝿いといふか、くどい。作者の批判はよく解る。が、そのせゐで話がよく見えない。半分、第五章まで読むのに半月近くかかつてしまつた。読みをへてみると、なかなかの読み応へではあつたが、岩切がちよつと極端な気がして鼻白むところもある。デレビの時代劇みたいだな、と。
続篇があるやうなので、Book Offで見かけたら買つて読むかもしれない。

2016-09-03

677.あずまんが大王 2年生

あずまきよひこ・小学館(used)。「あずまんが大王」といふ一冊本かと思つてゐたら、「2年生」があつた。「榊」さんはカッコいいね。「大阪」と「とも」ちやんは笑はせてくれるし、飛び級して高校生になる「ちよ」ちやんなんてホントにゐるのかね。眼鏡をかけた「よみ」が常識線でせうかね。いづれにしても担任の「谷崎ゆかり」先生の言動には適はない。今回「黒沢」先生のクラスから「神楽」といふ、大阪、ともに近い子が加はつた。「3年生」を見つけたら、手に入れたい。いまでも寝るまへに拾ひ読みしてゐて笑つてしまふ。女子高生を主な主人公にして、健康的な青春もののギャグ漫画です。

2016-08-24

657〜676.日本一の男の魂 1〜19

喜国雅彦・小学館(used)。1巻を買つて読んだのは、七、八年まへぢやないだらうか。十年はたつてないと思ふが、ずつと手に入らなかつた18巻を漸く購入し読んだ。相変はらずの下ネタ。スパイのシリーズとか、くだらなくて笑へるものばかり。ルーズ・ソックスの女子高生といふ、時代を感じるねえ。

2016-08-07

656.いなか、の、じけん

夢野久作・Kindle。Kindleだけど実は青空文庫なので、もともと無料なのでせう。もしかしたら、hiko8さんは本を持つてるかもしれない。なにを読んだのか忘れたが、夢野久作は読んだことがある。あの、独特の饒舌体で書かれたものではないが、カタカナが意外なところで使はれてゐて、やつぱり夢野久作だなあ、と思つた。最後に「備考」があつて、実際に新聞記事になつてゐたものを書いたことになつてゐるが、どうなんだらう。短い奇妙な話を幾つか集めたもの。大正時代を感じるんだけど、的外れかも。推理小説が探偵小説と呼ばれてゐた時代、江戸川乱歩の時代、かな。

2016-08-06

ジガ蜂

島木健作。漸く読みをへた。3篇収録されてゐる短篇の中でも一番短いものである。ジガ蜂の細かい観察に驚く。また実にこの蜂が美しく見える。「黒猫」「赤蛙」「ジガ蜂」の3篇は後ろの年譜で見ると昭和19年、短篇集の補充のために書き下ろしたものと書いてある。ほかに「蒲団」「むかで」があるやうだ。みなさんご存知とは思ふが、島木健作はペンネームで、本名は朝倉菊雄といふ。島木健作は翌20年8月17日42歳で没してゐる。ずつと肺結核だつたやうで、農民運動に加はり投獄、転向、入退院。敗戦の報を受け、「これからやり直しだ」と語り、死んで行つたといふ。ちよつと自分を重ねてしまふ。
織田作之助の「木の都」の読み返しは後でいいや。

2016-07-15

赤蛙

島木健作。さうさう、序でに書いておくと、まへに読んだ「黒猫」の中にかういふ場面がある(P316下段)。捕まへた黒猫をどうするか、「私」と「その妻」の会話。「お母さんはどうするつもりなんだ?」「無論殺すつもりでせう。若いものは見るものではないといつて、わたしを寄せつけないやうになさるんです。」いま、かういふ話し方の出来る女の人がゐるだらうかといふ話ではない。猫を殺すところを、猫ら限らないかも知れないが、昔は殺生をするとき、若いもの、特に女の人には見せない、さういふ仕来り、風潮があつたんだなあ、と思つた。なぜか。それは知りません。
で、この「赤蛙」。志賀直哉の短篇みたいな感じがした。「城の崎にて」がこんな感じの短篇ではなかつたか。手元にないし、調べるのも億劫なので、そのままにする。
修善寺へ療養がてら出掛けるが、一人客なので悪い部屋を当てられる。不機嫌になつて散歩に出る。桂川の所で休んでゐると頻りに川を渡らうとしては失敗してゐる赤蛙を見つける。蛙は本能的に、もつと楽に渡れるコースが解るはずなのに、敢てその難しいコースに挑んでゐるのではないか。軈て力尽きて流されて行く蛙を見て、力の限り戦ひ最後に運命を受け入れた姿に「私」は打たれる。そして自然界の神秘、宇宙といふものを考へる。
なかなか面白い短篇だつた。もう一つ、やはり短いもので「ジガ蜂」といふのがあるので、それも読んでみよう。

2016-07-05

655.人生の自由時間

藤本義一・岩波書店(used)。ほぼ新品のやうな状態だつたので驚いた。定年になつて、どうするか、なんてことに関心があつたので買つたのだつた。「あとがき」の中にかうある。「時間を自分で管理して、その時間の中に自分を置く」ことができるのが「定年後だと思う」と。「時間に追いかけられる自分」から「時間を追いかける自分を確かめる」とも。前回書き忘れたが、氏が11PMの司会をしてゐた頃、広瀬隆に原発の危険性について話を聞いたときのことが書いてあつた(「無条件幸福論」P169〜)。広瀬隆が原発の危険性を縷々述べ始めるとディレクターから「広瀬の顔を映すな」とか「原発の話題を打ち切れ」といふ指示が出たさうだ。しかし、氏は断固拒否して最後まで番組を続けたといふ。電力会社はテレビにとつて有力なスポンサーであり、スポンサーに不都合な事実は避けるといふ、いまも続くテレビや新聞などのマス・メディアの体質がよく出てゐるし、それを拒否した藤本義一の姿勢に共感する。福島原発の事故は天災ではなく人災であり、想定外などといふ言葉では済まされないと憤ることにも共感する。バランスの取れた感覚の人だつたんだなあ、と改めて思ふ。

2016-06-28

654.無条件幸福論

藤本義一・ベスト新書。タイトルが面白さうだつたのでamazonで購入。オレたちの年代だと11PMの司会者といふ印象が先づ、ある。で、小説家で映画の脚本も書いてゐて、「幕末太陽伝」の監督川島雄三に私淑してゐる、といふくらゐの知識。実際の小説は申し訳ないが読んだことがない。だつて、本屋に藤本義一の本はないでせう。
自己紹介みたいな自伝の部分と絡めて幸福とは何かに就いて書かれたもの。定年後、働いてないといふ後ろめたさがあつて、つい、かういふ本を買つてしまふ。気がつくと、休んでゐるつもりが、遊んでゐるに掏り替はる自意識の過剰さ。これぢやあ、ちつとも自分のやりたいことをやる、なんて出来ないよ。まはりの目が気になるうちは無理だ。

2016-06-26

653.軟弱者の言い分

小谷野敦・晶文社(used)。これは作者名だけは知つてた。amazonのレビューで何度か見掛けて、wikiで調べたことがある。どこかの大学の教授だか助教授だか助手だかの肩書きだつたかなあ。違つた、現在明大の講師つて書いてある。雑な印象では反蓮實重彦みたいな発言だつたと思ふので記憶してゐる。
最近、三島賞を受賞して、これは傑作ぢやない、とかワケの解らねえことを言つてる蓮實重彦つて年寄りがゐる。候補を辞退すりやいいだろ、と思ふんだけど、サルトルだつてノーベル賞候補辞退したろ。なにもサルトルと比べなくたつていいんだけどさ。この人がどうも好きになれなくて、顔が先づダメで、何冊か館林の図書館で借りて読んだことがあるんだけど、言つてることがよく解らない。序でに言ふと柄谷行人つて人もよく解んねえんだけと。何言つてるか。
まあ、いいや。これはエッセイで、BookOffで物色してたら見つけて、パラパラめくつてたら金井美恵子に就いての一文があつたので立ち読みしようかと思つたけど、108円なんで、買つた。ほぼ斜め読み。覚えてることの中で、あれ、と思つたことを書く。
筆者は吉村昭を尊敬してるさうだ(P264)。で、吉村氏は小説家志望だつたが、敢へて新人賞に応募せず同人誌に書いて来た人だ、と(P59)。氏の「私の文学漂流」を元にさう書いてゐるやうだが、念のためこの本の一応最初から最後まで、吉村昭に関する文章を探して調べたけど、どうも本当にさう思つてゐるらしい。
と言ふのも、オレの記憶では吉村昭は確か太宰治賞を取つてデビューした人だと思つてゐたからだ。ちよつと自信がなかつたので確認したけど、やつぱり「星への旅」で1966年第2回の受賞である。佳作が加賀乙彦。第3回が金井美恵子だ。なんでこんな簡単な間違ひをするんだらう。尊敬してるなら、尚更だ。

黒猫

島木健作の短篇。筑摩書房の日本文学全集44巻「武田麟太郎・島木健作・織田作之助集」収録。筑摩書房からは判型の違ふ日本文学全集が出てゐるが、これは四六版と呼ばれる普通の単行本のサイズで黒塗りの装幀。この全集が高校のとき図書館にあつて、借りては見るが読む気にならないで、いろんな人の巻を借りて来ては返却してゐた。何度も借りては読まずに(精々短篇一篇くらゐしか読まないで)返してゐたものとして記憶にあるのが幾つかあつて、これはその一つ。因みに他には29巻「宇野浩二・葛西善蔵・牧野信一集」(ここに入つてる葛西善蔵の「哀しき父」が好きなのだ)、35巻「梶井基次郎・堀辰雄・中島敦集」(堀辰雄の「美しい村」はこれで読んだので、最後の「坂の途中で倒れた女の子が花ざかりの灌木のやうに見えた」といふ場面が記憶にあつて、解説が吉田健一なのだつた)、51巻「永井龍男・田宮虎彦・梅崎春生集」(永井龍男の「黒い御飯」と「蜜柑」「一個」を読んだ覚えがある)と揃へてしまつた。装幀とか手に持つた感じが好きだつたし、仮名遣ひだけは原本通りなのが。どれも税別100円だつた。で、この巻では織田作之助の「木の都」といふ短いのだけ読んでゐた。
23日にコインランドリーで洗濯物を乾燥させてるあひだに読まう、と、なんとなく思ひ立つて本棚から出したのだ。不意にさう思つて、これもなぜか島木健作の「黒猫」を読むことにした。
30分乾燥をまはして、後で考へると20分でも充分だつたなと思つたけど、20分まはしたときに一度靴下の先が湿つてゐたことがあつて、ほぐして入れるんだけど、たまにさういふことがあると勿体ないとは思ひつつ余計にまはしてしまふのだ。
ちやうど25分くらゐで読み終はつた。樺太オホヤマネコの話から近所の野良猫の話になる。家に入り込むやうになつた黒い猫との顛末だけなんだけど、面白いなあ、と思つた。
いま島木健作なんて言つても本屋に本がないよね。尤も、上に挙げた著者名で本屋で見掛けるのは恐らく梶井基次郎くらゐだらう。堀辰雄も、ないな。島木健作はたぶん学校で国語の授業で名前が出るんぢやないだらうか。プロレタリア文学とかなんとか。「生活の探求」はベストセラーになつたさうだし。「生活の探求」も勿論収録されてる。でも読む気にはならない、いつかね、と思つてるけど。

2016-06-19

652.日本は悪くない 悪いのはアメリカだ

下村治・文春文庫。けふamazonから届いて一気読み。仕事してないと、かういふことが出来る。しかし、経済には疎い(ほかにも疎いものはたくさんあるが)ので、もう一度ゆつくり読まうと思ふ。これも失業してるからこそ。解説の中で宇沢弘文氏の名前が出て来るが、オレは館林の三の丸芸術ホールにゐた頃に、氏の講演会を聞いたことがある。嗜好品に対する課税率を下げるのはをかしいと言つてゐたことが記憶にある。当時、ノーベル賞級の経済学者で次期東大の学長だとも。で、館林の元宇沢整形外科のお兄さんでした。この本に就いてはもう一度読んでから書きます。

2016-06-06

651. 交換殺人には向かない夜

東川篤哉・光文社文庫(used)。「完全犯罪に猫は何匹必要か?」と一緒に買つたもので、続けて読んだ。「猫」のはうはいま一つだつたが、これは面白い。すつかり騙された。プロローグとエピローグがあり、人物名で章立てがしてあつたり、あれ、もしかしたら、これは中町信か、と薄々は感じてゐたのだが。劇場型と呼ぶのかね、解決部分での、謎解き早変はりは苦手だなあ。オペラとかミュージカルみたいでせう。でも、これは烏賊川市もの、鵜飼杜夫・戸村流平シリーズでは一番気に入つた。この次にもう一冊「ここに死体を捨てないでください!」といふのがあるらしい。

2016-06-04

650.完全犯罪に猫は何匹必要か?

東川篤哉・光文社文庫(used)。400頁を超える長さで、ちと疲れたね。うろ覚えで言ふのだが、このまへの「密室に向かって撃て!」に舞台設定が似てるやうな気がする。東屋で起こる殺人とビニールハウスで起こる殺人を別の建物、或は周辺から目撃する。猫がポイントになつてゐるのだが、強引な感じもした。笑ひも悪巫山戯のやうに取れるところもあつて、別に悪巫山戯は嫌ひぢやないし、ダメだとも思はないけど、気になつた。

2016-05-23

649.叶えられた祈り

トルーマン・カポーティ/川本三郎訳・新潮文庫。読み終へるのに、かなり時間が掛かつた。頁数にして270頁。普通なら三日、時間がなくて少しつづでも一週間もあれば読める長さだ。それが4月の上旬、定年になつて直ぐ読み始めて凡そ一箇月半。60歳になる直前に亡くなつたカポーティの最後の本。面白いところもあるが、概ね退屈だつた。未完成なまま中断した作品なので、どこがどう繫がつて行くのか解らないといふこともあるだらう。三つの章から出来てゐるが、「カメレオンのための音楽」の中の「モハーベ砂漠」も始めはこの「叶えられた祈り」の第二章として書かれたものだといふ。それはまだ読んだことがないので、いづれ機会があつたら読むことにしよう。
1999年の12月に刊行されたので、もしかすると大泉の図書館で単行本を借りて読んでゐるかもしれないと思ひつつ読んだけど、勘違ひかもしれない。
「遠い声遠い部屋」は内容は殆ど覚えてゐないけど、読んだ後の印象がずつと尾を引いてゐる(古い文庫は活字が小さいのと日に焼けて文字が薄くなつたので2014年の12月にこの本と一緒に買ひ足したくらゐだ)し、「ティファニーで朝食を」も「冷血」も、いつかもう一度読みたい本として残してある。作品数が少ないので、けして無理な話ではないだらう。

2016-05-20

648.光る砂

佐野洋・講談社文庫(used)。2013年に亡くなつた佐野洋の連作短篇集。新興住宅地のタウン誌編集部を舞台にしてゐる。気楽に読めてミステリとしても充分に面白い。かういふ小説を書く人はいまゐるんだらうか。ユーモア・ミステリを書く人はゐるけど、思ひ浮かばない。内容には触れないが、余計な知識なんて要らない。ただ読めばいいんです、そのはうが面白く読める。

2016-05-18

九つの殺人メルヘン

鯨統一郎・光文社文庫(×2)。失くしたと思つてゐたら、棚を整理してゐて見つけて読み始めたら最後まで読んでしまつた。2007年3月に読んでゐる。思はず吹き出したり、にやりとする会話のやり取りが面白い。第六話、P229「千賀かほるの娘が将来、宇多田ヒカルになるなんて夢みたいだね」と書いてあるんで、藤圭子だろ、と思ふと、そのあとで地の文に「夢だよ」つて書いてある。それが間違つてるよ、なのか確かにね、なのか判断できない。普通に読むと後者なんだけど。始めに枕の如きものが九話凡てにあり、酒の蘊蓄だけでなく、そこでの会話に出て来る映画やテレビ番組、テレビ・コマーシャルからCMソング、歌謡曲など世代が近いので懐かしい。最後の第九話の冒頭、「僕」と入れ替り店を出て行く天才歴史学者の美女は氏のデビュー作「邪馬台国はどこですか?」の早乙女静香なのだらう。直接内容とは関係ないので意味不明。この話での桜井さんの推理は強引なんだけど、どうもそれが当たつてゐたといふのが、ちよつと興醒め。P359の九つ目の殺人事件は「悪い僕を抹殺してくれた」といふ、この「僕」は妙に子どもつぽい、厄年なんだけど。

2016-05-16

647.刑事の墓場

首藤瓜於・講談社文庫(used)。なかなか面白かつた。作者の名前は知つてゐた。珍しい名前で、苗字は兎も角、瓜於が本名かどうか知らないが、江戸川乱歩賞を受賞した「脳男」といふのを本屋で文庫を見たことがある。カバーの絵が気味が悪く、土屋隆夫の「影の告発」に迫るものがあつて、見送り。
これは刑事物で、基本的に警察小説、刑事物は好きなので購入。一気に読んだ。刑事の墓場と呼ばれる動坂署が舞台。この動坂署が始め愛宕市にあるのかと思つてゐたら、そこから電車で少し離れた吉備津市にあるのだつた。愛宕といふ地名が出て来るのだが、これは「おたぎ」と読む。どうも架空の地名らしいのでどう読んでも構はないのだらうが、ちつとも覚えられなくて、出て来る度に「あたご」と読んでしまひ、あれ、違ふんだ、なんだつけと最初にフリガナがある頁に付箋を貼る始末。人物名も風変りなのが多く、被害届を出す若い女は小須田里香といふ。「こすだりか」。コスタリカか。その相手は相磯均で「あいそひとし」と読む。鹿内と書いて「しかない」、蝶堂(ちようどう)、鶴丸、主人公は雨森。意図的にをかしな名前にしてゐるのだらう。
前半は男女の些細な痴話喧嘩のすゑの傷害事件と人物紹介やらでのんびり展開する。最初の傷害事件が後で殺人事件になつて、上辺だけなぞつてゐた刑事たちの経歴等も書き込まれ、ペースが上がる。
以前書いたことがあるが、一体いつの話なんだ、といふのが矢鱈に気になるタチで、P19の最後から2行目「外に出ると、二月の寒さが身に沁みた」で解るのだが動坂署に赴任して一箇月といふ始まり方なので、5月頃かと思つてゐたら、P13に「底冷えのする当直室で」といふで混乱したり、ほかにも幾つか気になることはあるのだが、それでも面白く読んだ。
気になることを挙げると長くなるんだけど、P21で動坂署の署長桐山がパンをたくさん買つたらしいのだが、この後で一切言及されない。P259捜査会議で鮎川(県警本部の管理官)に雨森は散々絞られた後で、夜食をとらうとするのだが、鮎川に散々絞られるのはこの後、P280〜286までだ。P458最後のところで豪華な調度や大量の書物で埋まつた書架、高価な陶磁器、剥製のある部屋(この部屋の詳しい説明はP165にある)で雨森は「なぜか同じ光景を前にも一度どこかで見たような気がした」と書いてある。ええ、読み落としたか、と何度もパラパラ捲つて探したけど、その部屋には雨森はそれまで一度も入つたことはないし、似たやうな部屋が誰かの家にもあつたかと探したけれども見つからない。動坂署の刑事課全員が集まる場面は(最後の場面を除いて)2回あるがP259は刑事部屋だし、P297も刑事部屋と書いてある。それからこれはネタばらしになるかも知れないが、地下に温泉が湧き出してゐる敷地にある建物で「底冷えのする当直室」はないんぢやないか。
この気になる箇所の確認だけで半日潰れてしまつたけれども、それでもまあ、面白い小説だつたね。

2016-05-11

646.もたない男

中崎タツヤ・新潮文庫(used)。BookOffへ「じみへん」を探しに行つたら、1冊だけあつて、でもかなり状態が悪かつたので諦め、代りにこれをamazonで検索してゐて見つけたので購入。古本だけど状態は「非常に良い」。ほぼ新品。読んでゐて最近のオレ自身の心境に近いものを感じた。持ち物を整理したい、減らしたい、といふ気持ちが、この頃強いので。まあ、中崎氏の場合は極端で、持たないのではなく、ほしいものは購入するワケだから、寧ろ捨てたい、片付けたいといふ思ひのはうが強いのでせう。幾つか感じたこともあつたけど、特に付箋も付けずに読みをへてしまつたから、捨てないで、またあとで読み返さう。

2016-04-12

645.がんを告知されたら読む本

谷川啓司・プレジデント社。amazonで見つけて注文。翌日に届いたので直ぐ読み始めた。免疫細胞療法を研究する医師の著作。終盤、免疫細胞療法についての記述が増えるのはご愛嬌。癌そのものに対する知識は得られたし、気持ちも少しは楽になつたかな。

2016-04-08

644.密室に向かって撃て

東川篤哉・光文社文庫(used)。いま一番気楽に読めるかなあ。笑へるし、謎解きもあるし、で。ちよつと物足りない気もするけど、笑へる、つてところが助かる。またBookOffで見つけたら買はうと思つてる。

2016-03-18

643.バ・イ・ク

柳家小三治・講談社文庫。読んだらどうせ乗りたくなつちやふから、と後回しにしてたんだけど、ほかに読みたいものがなく(本はある、たくさん。死ぬまでに読み切れるのか、つていふくらゐにある、ほしい本つていふのはあるんだ、いま読めなくても)、手に取つたらやめられない。前半のツーリングの部分よりも先に後半、バイクが寄席にやってきた!から読み始めた。そしたら腹が痛くなるほど可笑しい。笑つた、笑つた。バイクに乗り始めのところは大爆笑。それから前半に戻つて、けふ読了。うーん、バイク乗りたい、バイクほしい。

2016-03-04

続・一日一生

酒井雄哉・朝日新書(×2)。続けてもう一度読みました。

2016-02-23

642.続・一日一生

酒井放哉・朝日新書。けふ買つて一気に読んだ。アピタの本屋に行つたら置いてなくて、WonderGooで見つけた。ほんとに普通のことしか言つてないんだけど、滲みる。大阿闍梨の言葉だから、といふのも勿論あるけど。まへの「一日一生」は2009年の1月から、2010年、2011年、2012年、2015年の1月に合計5回読んでゐる。これも繰り返し読むことになるだらう。

2016-02-15

641.夜の床屋

沢村浩輔・創元推理文庫(used)。これは面白い。偶然見つけたのだが、あの、東川篤哉を思ひ出した。短篇集なのに全体が一つの謎を作つてゐるといふ面白い仕掛け。仕掛けの出来上がりは兎も角、楽しめた。

2016-02-06

640.隠蔽捜査

今野敏・新潮文庫(used)。警察小説が好きで、この本の名前と作者名は知つてゐた。いつか機会があれば読みたいと思つてゐたところ、朝倉のブックオフで見つけた。確かテレビドラマになつてゐて、番組そのものは見たことがないけれども新聞のテレビ欄で見た覚えがある。警察庁のキャリアの話。主人公の竜崎はなんとも変はつた男だ。周りにゐたら、ちよつと傍迷惑だらう。読み易いのだが、なんだかスカスカな印象がある。警察官による連続殺人事件の発表をまへにして伊丹のマンションでの竜崎とのやりとりも、緊迫した場面なのは伝はるが、なにか物足りない。続篇が幾つか書かれてゐるのて、また見つけたら買ふかもしれないなあ。

2016-02-02

639.一夢庵風流記

隆慶一郎・新潮文庫(used)。こんなに読み始めるのに時間が掛かるとは思はなかつた。去年の4月に購入し、最初の50頁くらゐで頓挫。名前が読めない、覚えられない。誰が誰か判らない、人物の関はりが判然としない、年齢が判らない、など、先へ進まない。なので暫く目に付かない処に仕舞つてゐた。幾つか読みかけの本(フランドルの冬だのマルーシの巨像だの、後藤明生の雨月物語だの、グレアム・グリーンの見えない日本の紳士たちといふ短篇集だの、いしかわじゅん漫画ノート、ムーンライダーズ・ブックだの)を引つ張り出したが読み続ける気力といふか、かう気持ちが入つて行かない、気が散つてる感じで無理。そこでただ活字を追ふ、意味なんか判らなくてもいいから、といふつもりで、なるべく厚い本がいいので、これを読み始めた。そしたら、今度はどんどん、ずんずん読めた。理解しよう、とか、判らう、といふやうな助平根性があると本は読めないんだなあ、と改めて勉強しました。
漫画でも花の慶次といふ名前で知られてゐるやうで、生憎そつちは読んだことがないけれども、ずゐぶん若く書いてあるのはネット上でその絵を見たことがあるからだが、調べた限りでは前田慶次郎利益は1532年又は1533年から1541年の生まれとなつてゐて、これは没年がはつきりしないのでなんとも言へないが、慶長17(1612)年に73歳で没したといふ説を一応基準にすると、昔のことだから数へ年なのだらうから72歳だつたとして、1540年の生まれになる。それでこの小説の主な舞台となる年代はと言ふと、P18の天正15(1587)年8月の養父前田利久の死を始まりと考へれば、このとき前田慶次郎は37歳。漫画とはだいぶイメージが変る。読んでると前田利家はもつとずつと年上みたいに感じるが1538年の生まれらしいから2歳年上でしかない。前田まつは1547生まれで慶次郎より7歳下になる。
いづれにしても、下の我孫子武丸の処で書いたけど、かういふ些細なこと、何時に警察に通報したか、とか、季節はいつなのか、とか、主人公は何歳なのか、といふ単純で簡単なことを曖昧にしてゐる小説は好ましくないんだよなあ、意図的に知らせず話を進める意味がないでせう、読んでるうちにだんだんいろんなことが判つて来るといふ面白さもあるけどさあ。
それと時代小説つて、どうしてかう講談みたいに見て来たやうなことを平気で書けるのかねえ。史実として残つてゐるものもあるだらうけど、それにしたつて誰が誰とがいつどんな会話をしたかまで具体的なことは残つてないでせうに。それが時代小説の醍醐味なんでせうが。

2016-01-18

638.8の殺人

我孫子武丸・講談社文庫(used)。いしかわじゅん繫がりで読んでみるかなあ、と思つて朝倉のBookOffで探したら、ちやうどデビュー作のこの本が108円で見つかつたので買つて読んだ。一気に読めた。どこが「いしかわじゅん繫がり」かといふと、なにかの記事で我孫子氏がいしかわじゅんのファンを公言してゐるといふのを読んだからだ。名前を知つてゐたのは、確か島田荘司が数人の本格推理小説の書き手を推してゐて、綾辻行人とか歌野晶午とか法月綸太郎とか有栖川有栖とか(「とか」連発!)、その中の1人としてだつた(講談社のメフィスト賞の受賞者とごつちやになつてるかもれしない。)。全員の作品は読んでないくせに、こんなことを言ふのは不遜だけど、正直いま一つだつたのはトリックが勝ちすぎてゐて、小説としての面白さが足りない気がした。その辺はこの本の解説で島田荘司が書いてるけど同感ですね。島田荘司の話をすると長くなるやうな気がするので端折る。で、読んでみて面白かつた。かういふのは好きだね。話の始めからトリック優先な犯罪と犯人が断つてるし、クスクス笑へるとこもあつた。折原一の「七つの棺」みたいな感じかな。
一つだけ、最初の犯行(と言つても殺人事件は二つしか起こらない)でP48、弟の慎二が兄の速水恭三警部補との会話の中でかう言ふ「時間は二時間も余裕があったわけだしね」と。事件が起こつて発見され警察に通報されるまで二時間あつた、と言ふのだが、それまでの頁に事件が起こつた午前一時以降、いつ発見されて何時に警察に通報したのか記述がない。読み返したけど、見つからない。だからどう、といふ問題でもないんだけど、こつちは、え?なんで二時間つて判るんだ?と思つた。P71になつて被害者の母親、蜂須賀民子の口から「三時に起こされるまでぐっすりと眠って」いたといふ箇所を読んで漸く読者はそれを知ることになる、といふのは、オレはイヤだね。

2016-01-16

637.東京で会おう

いしかわじゅん・角川文庫(used)。漸く読むことができた本だ。漸く、つたつて、どうしても読みたいと思へば探して手に入らないほどではないだらうから(絶版になつてゐるとか、例へば後藤明生だつて、それなりのお金を使へば買へないワケではない、といふ意味で)、ちと大袈裟だつた。「ロンドンで会おう」と同じく北方謙三をモデルにしたと言はれる南畑剛三が主人公の、まあ、ハードボイルド、或はドタバタ・ナンセンス、少しばかりエログロで痛快な連作短篇集だ。題名の「〜で会おう」つてのは、なにかの洒落、パロディなのかもしれないが、いまのところ不明。

2016-01-09

吉祥寺探偵局

いしかわじゅん・角川文庫(×2)。正月早々、かういふ只管笑へる小説の再読は、これでいいのか、と思はせるけど、これでいいのだよ。ホントに笑つた。角川で手に入る「東京で会おう」も中古で見つけて注文し、けふ届いた。「ロンドンで会おう」つていふバカバカしくて笑へるハードボイルドを先に読んでるので、いまからワクワクしてる。序でに「漫画の時間」つていふ、とつてもためになる漫画の本を氏は書いてゐて、ときどき拾ひ読みしてるのだが、その続篇「漫画ノート」も注文してしまつたが、それも一緒に届いてゐた、楽しみだ。

2015-12-28

636.前立腺ガン 最善医療のすすめ

藤野邦夫・実業之日本社。全325頁中、該当する箇所、我が身に照らして参考になる部分はおしまひのほんの40頁足らず、これで税別1,500円は高いか安いか。少なくともこの先で待つてゐることを知ることはできたのだから、良しとしよう。根治治療が可能なケースを読み続けるのは半ば苦痛でもあつたから、Amazonから届いて読み始めたのは今月の7日で読みをへるのに20日も要したのは仕事が立て込んでゐただけではない。更にもう一冊、具体的な治療法を医師の立場から書いた本も購入したが、こちらも全190頁中、該当する箇所は20頁に充たない。拾ひ読みして心臓が痛くなるやうな記述を見て気が重くなり読み始める気になれない。ちよつと気晴らしをして、ちやんと向き合へるまで待たう。
因みに筆者は医師ではない。

2015-12-23

635.もひとつ・ま・く・ら

柳家小三治・講談社文庫。いやあ、また笑つてしまつた。アハハ〜クスクスまで。仕事でイヤなことがあつても、寝るときに枕元で読んでクスクスやつてるうちにそんなことは忘れて眠れるくらゐ面白い本でした。Amazonのレビューにもあつたけど、「笑子の墓」これはいい話ですね。挙げたら、これもこれもとなつてしまふけど、おしまひのはうの「バソコンはバカだ!!」にかういふところがありました。
パソコンはどうバカなのか。
「パソコンはね、言われたことしかわからない。」「われわれ人間はね、一を知って十を知る。」「パソコンは一を知ったら一しか知らない。言われたことしかわからない。」「あたしよりすぐれているとこはたった一つ。一度覚えたら忘れないってこと。」「つまりパソコンは知恵はないの。」「いくら物覚えがよくても知恵のない人はバカってんですよ。」
その通りですね。ここまで打ち込むあひだにどれだけ変換に梃子摺つたか。どうしてさういふ変換するかなあ、つて。候補の最初にこれが出るかい?の連続。でもまあ、これで打たないと記事が書けないんだから仕方がない。
因みに解説は小沢昭一でした。
※ 蛇足ながら、小三治師匠の喋りのおしまひのところに、よく対談なんかにある(笑)と書いてあるけど、(爆笑・拍手)といふのもあるので、どうもこれは客席の笑ひのやうです、紛らはしいんですが。

2015-11-29

634.ま・く・ら

柳家小三治・講談社文庫。腹が痛くなる程笑つた。小三治師匠が見たい、聞きたい。たまたまAmazonのレビューを見たら、殆ど★五つか四つなんだけど、1人だけ★二つといふ評価の人がゐて、文字にすると面白くない、といふんだけど、いやあ、ちやんと伝はりますよ。それは実際に見たはうが更に面白いだらうとは思ふけどね。続篇のはうがもつと面白い、つていふ人もゐて、それなら是非とも続篇を読みたいものだと思つたくらゐです。

633.医学常識はウソだらけ

三石巌(祥伝社黄金文庫)。分子生物学が明かす「生命の法則」といふサブ・タイトルがあります。岡本裕といふ医師の本に続けて、また現代の医療に批判的な立場の人が書いたものを読んだのだが、この本はなにが言ひたいのかよくわからなかつた。立場がよくわからない。まあ、一般向けに、オレみたいな人間にも理解し易くするために砕いて書いたものなんでせうが、そのせゐかなあ。もともと物理学者で「還暦を機に医学に造詣を深め、分子生物学に基づいた分子栄養学を創設」(カバー裏袖の人物紹介による)した人で、95歳で亡くなつてゐる。
こつちが似たやうな見方、考へ方をネットや別の本で頭に入れてゐたせゐもあるだらう、高血圧は塩分の摂り過ぎが原因ぢやない、とか、卵はコレステロールの元なんてウソだ、とか。タイトル通り、あれもウソこれもウソ、あれもダメこれもダメの連発で、痛快と言へば痛快なんだけど、細かいところをほじくると、人間の意志とか、向上心といふか、努力なんてものは無駄で余計なことだと、ジョギングやゴルフやダンベル体操なんて活性酸素を大量に発生させるだけだし、ジョギングなんてそれで死んだ人が何人もゐる、と言ひたい放題。でも自分でやつてるスキーはいいんだとさ。なんだそれ、でせう。
それで、肝心な、かうすればいい、といふ点が曖昧。「薬と違つて副作用の心配がない」「活性酸素を除去する物質を」「スカベンジャーと呼」ぶさうなのだが、これがビタミン類を始めとして数千種類あると言ふクセに具体的にこの数千のスカベンジャーの一覧なり、説明は書いてないんだよね。P67に「スカベンジャーとなる食品」といふ表はある。ほかにも「主なビタミンのはたらきと性質」といふ表もある。でもこんな表はどうでもいいので、三石理論(さういふ画期的な理論があるらしい)の根幹となるビタミンとタンパク質とスカベンジャーといふ三種の神器の「スカベンジャー」がまつたくわからない、謎のまま終る。その辺、読み落としてるかもしれないから、もう一度読みますけどね。P280、一番最後で「本書で紹介されている栄養補完食品についてのお問い合わせは、左記に」とあつて、会社名とホームページのアドレスが書いてある。早速、スカベンジャーとはなにかを知るべくHPを覗いてみると、三石理論に基づいた「ヒト・フード」と称する健康食品の販売会社でした。アンドルー・ワイルもさうだし、寺山心一翁もさうだし、セルフケアの野本篤志もさう、岡本裕(e-クリニックといふサイトがあつて、そこでも氏の本で触れてゐる安心できる、信頼できるベース・サプリメントを販売してゐるのだ)もさう、みんな商売なんですね、新興宗教みたいなんですね、だからどれを読んでもどこかで自分に都合のいい結論に持つていく、さういふ印象がある。ちよつと長くなつたけど、もうこんなもんかなあ、かういふ手の本は満腹、ゲップが出さう。(さう言ひつつもアンドルー・ワイルだけは違ふ、と思ひたいんだけど、……。)

2015-11-28

613.〜632.JIN-仁- 1〜20

村上もとか・集英社(used)。たまたま再放送の第一回を見て、面白さうだと思つた。テレビドラマを全部見るのは鬱陶しいので漫画を読むことにしたのだが、全巻揃へるのに手間取つたから二三箇月掛かつたかなあ。やつぱり連載の長い漫画はサイドストーリーが余計だなと感じるものがある。20世紀少年にも、モンスターにもあつたし、古いところではドラゴンボールか。別に目くじら立てるほどのことでもないが。スリの女の子が岡つ引きの親分に陵辱されるところは要らないと思ふ。そもそもかういふシーンが嫌ひで、裸の絵は好きだし、気取つてると思はれると心外なんだけど、人間として許せない行為は見たくないといふだけのことだ。明治維新にかかはるところも、もう少しダイエットしてほしいかな。坂本龍馬に肩入れし過ぎでないかい。白けるね。最後で解せないのは同じ人間が二人存在することになるといふことですね。これを認めたらなんでもありでせう。フィクションだから、漫画だから許されるんですかねえ。こないだhiko8さんにそのことを言つたら多元宇宙といふことでせう、とのこと。章のタイトルにちやんと「その4 二人の仁」つて書いてあるよ、と。確かに。さういふところ読まないんだよね、オレは。漫画の小見出しみたいなものは殆ど読まないので、失礼しました。もう一度読みたいと思ふ作品でした。(「め組の大吾」と「鋼の錬金術師」と古谷実の本を読み返したいんだけど、時間が取れない。)

2015-11-01

612.9割の病気は自分で治せる

岡本裕・中経の文庫(used)。自然治癒力、自己治癒力といふものへの興味から、どうしてもかういふ本を読んでしまふ。自分の病気の先にあるもの、仮に抗がん治療へ移つたとしても、その先には何もない。それ以降の、更に効果的な治療はない。とすれば、自分で治す、完治しないまでも生き抜くためには、治癒力を高めるしかない。なによりも先づストレスを減らして、とすれば定年はよい時期だとも言へる。P178に書いてある、嫌なことはしない(NO)、したいことだけする(WANT)、いい加減に(SOSO)、を大切にしませう、なんてことは勤め人には無理な相談だから。同様の本の中では示唆が多い。アンドルー・ワイルみたいなタレント性は乏しいけど。因みに著者は医師。

2015-10-17

611.追憶の殺意

中町信・創元推理文庫(used)。「自動車教習所殺人事件」の復刊といふべきなのか。中身の検証はしてないが、同じものだと思ふ。「○○の殺意」といふ創元推理文庫での中町作品は凡て、これに統一されてゐる。真犯人を勘違ひしてゐた。そんなに以前に読んだワケでもないのに。「とか」が多いねえ、ホントに。中町信を読み始めて直ぐに気になつて、ブログかホームページで書いた記憶がある。今度、調べてブログのはうで書かう。

2015-10-05

610.真夏の方程式

東野圭吾・文春文庫(used)。「容疑者Xの献身」もさうだつたが、ちよつと無理があるんぢやないか。面白いのは間違ひない。一気に読んでしまふ、やめられない。ただ読み終はつて、痼りのやうに残るのだ。読み手の期待、例へば意外な犯人、予想外の展開に応へようとしてゐないか。もちろんミステリは娯楽なので、読み手を楽しませるのが基本だといふのはわかるけど。なぜ川端成美は玻璃ヶ浦の海を守らうとするのか。おしまひのはうで説明されるが、なるほどね、とは思へなかつた。先づ、荻窪での殺人事件が胡散臭く思へてしまふ。杜撰な捜査ではないですか、結果を考へると。そして塚原の行動。公民館で初対面の成美に会釈してどうするのさ。軽率過ぎる。その晩、緑岩荘で顔をあはせたときなら、わかる。節子と成美はなぜ荻窪で暮らしてゐたのか。それも判然としない。社宅にゐたら、そのはうが自然だと思ふが、事件は起こらない可能性のはうが高い。その説明が書いてあつたかもしれないと思ひ、パラパラとめくつて探したが、みつからない。そしてネタバレになつてしまふかもしれないが、荻窪の事件は正直に警察に出頭しても、裁判では情状酌量の余地があつたんではないか、未成年だし。親にしてみたら、出生の秘密が表に出るとか、隠したいことはあるにしても。更に言ふと、塚原は殺さなければならなかつたのか。助かつたら、どうするつもりだつたのだらう。まあ、些細なことだけど。我慢できなくなつてDVDを借りて来てしまつた。映画の「はう」はどういふ「かたち」になつてゐるんだらう。

2015-09-15

偽りの群像

中町信。「偽りの殺意」光文社文庫所収。中町信のデビュー作だ。惜しくも賞は逃したものの雑誌に掲載された。群馬県の猿ケ京温泉が舞台になつてゐる。のちの「模倣の殺意」(「新人文学賞殺人事件」)でのトリックとは違ふオーソドックスなアリバイ崩し。続けて「急行しろやま」も読んだ。これは鉄道トリックで、いかにも鮎川哲也が好きだつた中町信らしい。こつちは第四回双葉推理賞を受賞した。この本にはもう一篇「愛と死の映像といふ長めの作品も収録されてゐるが、今回は見送り。

2015-08-23

609.鳴るは風鈴

木山捷平・講談社文芸文庫。木山さんは気に入つてゐて、邑楽町の図書館で借りて来たこともある。これにも入つてる「下駄の腰掛」が好きで、それでこれを買つたのだが、いまは講談社の文芸文庫でないと手に入らないかもね。高いんだよね、これ。単行本並みだ。まあ、絶版などを復刻してくれるのは有り難いけど、高い。木山捷平は井伏鱒二の弟子みたいな関係なんでせうかね。似てると思ふ。小説つぽい「コレラ船」、「柚子、「御水取」もいいんだけど、表題にもなつてる「鳴るは風鈴」や「下駄の腰掛」みたいなはうが好きだなあ。井伏さんも「夜ふけと梅の花」とか「岬の風景」「シグレ島叙景」とか「丹下氏邸」がいいなあ。小沼丹もいいんだけど(小沼さんも井伏さんと近いみたいで創元推理文庫の「黒いハンカチ」も面白かつた)、この人の復刻も講談社の文芸文庫なんだよねえ。

2015-08-19

608.ゆで卵の丸かじり

東海林さだお・文春文庫。些細なことに固執してるところは面白いんだけど、最後まで読むのは根気が要る。なんで買つたかと言へば、冒頭の「ラーメンに海苔は必要か」といふ問題に対して、海苔は好きだがラーメンには不要だとの立場から是非読んで置かう、と。苺を潰して食べた話、懐かしいなあ。牛乳と砂糖を入れて、潰して食べたもんだよ、いまの子どもにや判らないだらうなあ。コンビニのおでんの大根はセブンイレブンもサンクスもローソンも直径6cm、厚さ3cmなのださうだ。そして縁の面取りもない、なぜ?これはまだ誰も言つてない気がするが、コンビニのおでんの茹で卵、黄身が異常に大きくないかい?オレはまへから言つてるんだけど、あんまり興味ないんだらうね、茹で卵。茹で卵についての回もあつて、オレの場合は反対に最後に白身のとこだけ食べるやうに心掛けてます。もちろん一口食ひは理想だ。

2015-08-13

夜の来訪者

プリーストリー/安藤貞雄訳・岩波文庫(×2)。寝るまへになんとなく手に取つて、どんな話だつたかなあ、と読み始めたら、結局最後まで読んでしまつた。短い戯曲だし、人物も場面も限られてゐる。誰にもありさうな、どこかで誰かを傷つけてゐる、まあ、さういふ風に読んだ、階級とか、差別とか、さらには戦争とか、いろいろ込めてあるやうだけど。間違つてはゐないでせう。警部は本物か、寓意的な象徴か。

2015-07-31

潜在光景

松本清張の「影の車」といふ連作短篇集の第一話。第二話「典雅な姉弟」、第四話「鉢植を買う女」の3篇を続けて読んだ。「潜在光景」は小説よりも映画のはうを先に見てゐるかもしれない。映画の題名は「影の車」になつてゐるが、内容はこの「潜在光景」だけを扱つてゐる。加藤剛と岩下志麻が出てゐて、この映画の岩下志麻は特に好い。それで原作を探してこの短篇集に辿り着いたのだと思ふ。映画をもう一度見たいけど、TSUTAYAにあるかなあ。

2015-07-26

607.働かないアリに意義がある

長谷川英祐・メディアファクトリー新書(used)。あまり聞かない出版社。副題として「社会性昆虫の最新知見に学ぶ、集団と個の快適な関係」とある。表紙の右下には更に「身につまされる最新生物学」とも。ま、さういふ蟻や蜂の生態について描かれた本で、タイトルが面白さうだつたから買つたが、生物学の記述はやつぱり頭に入らないね。特に繁殖に関するところ。働かない蟻がゐること、反応の早さに個体差があること、まるで人間とおんなじだね。身近すぎて笑へないよ。

2015-07-20

606.怪笑小説

東野圭吾・集英社文庫(used)。9篇の短篇集。ハヅレはなく、どれも面白く読みました。電車の中でのやり取りはサキのトモバリーを思ひ出した。一徹おやじの結末はちよつと予想がつきました。動物家族は一番力が入つてる感じでしたね。めづらしく最後に「あとがき」があつて、その中で科学に就いてのご意見、ちよつと素直に聞き流せないところがありました。それは別のところ(hiko7 News)で書きます。

2015-07-13

605. 女には向かない職業 2 なんとかなるわよ

いしいひさいち・東京創元社(used)。藤原先生の続き。先生の高校時代に始まり、小学校の先生時代、ミステリ作家になつてから、まで。

2015-07-11

604.女には向かない職業

いしいひさいち・東京創元社(used)。P・D・ジェイムズに同じ題名のミステリがあるが、女には「わたし」とルビがあつた。新書サイズ。小学校の先生からミステリ作家になつてしまふ藤原瞳さんの四コマ漫画。続きもある。

2015-07-10

603.趣味は読書。

斎藤美奈子・平凡社(used)。斎藤さんの本はどのくらゐ読んでるだらう、この本も買ふまへに持つてるんぢやないか、(例へば図書館で借りて)読んだことがあるんぢやないかと思つた。それならそれでかまはない、覚えてないんだから。2003年刊行の書評集。当時のベストセラーを取り上げてゐる。作者名すら知らない本、恐らく買つて読むことはないだらうと思はれるものが半分くらゐ。具体的には、茨木のり子「倚りかからず」、高森顕徹「光に向かって100の花束」、中島義道「働くことがイヤな人のための本」。書名を見たことがある、著者の名前は聞いたことがある、ほかの作品を読んだことがある作者もゐた。五木寛之「大河の一滴」や浅田次郎「鉄道員」(両方とも読んだことはありません)を始め、石原慎太郎、天童荒太「永遠の仔」、」村上春樹「海辺のカフカ」、宮部みゆき「模倣犯」、ハリー・ポッター・シリーズ、「五体不満足」「だから、あなたも生きぬいて」、「世界がもし100人の村だつたら」などなど。あとタレント本。面白くスラスラ読める。著者の言ふ、売れる本の条件を満たしてゐると思ふのだが。

2015-07-09

602.あずまんが大王 一年生

あずまきよひこ・小学館(used)。立ち読みで笑つてしまひ購入。夕飯食べてから読み始め、やめられなくて一気読み。高校生の話で、担任の先生と主に女子生徒の4コマ漫画。いちいち説明すんのが面倒、兎に角、笑ひツ放しだつた。絵がケロロ軍曹の吉崎観音に似てると思ふ。

2015-07-04

601.がんが自然に消えていくセルフケア

野本篤志・現代書林。これまでは作品数でナンバーを付けてゐたのだが、なんだかずゐぶん読んだ本が少ないやうな気がして遡つてみると、コミックなどは例へば「20世紀少年」とか「鋼の錬金術師」などは20冊以上あつても1作品として数へてゐたワケだ。何冊読んだかな、と振り返るとき、ちよつと寂しいので休みの序でに1冊は1冊として数へ直してナンバーを付け直した(上下巻に分かれたものは2冊、その代り10冊読んでも全巻読んでなければ0冊、再読はこれまで通り数に入れない)。ほぼ半日の作業でした。もつと早く終ると思つてゐたのに、Bloggerの不具合が3〜4回起こつてしまひ、作業が中断したせゐもある。因みにこの本はこれまで通りの計算では431冊目になる。
あまり期待はしてなかつたが、心の持ち方といふ意味では為になつたと思ふ。癌になつたことを契機に、これまでやりたくても我慢してきたことに取り組んでみよう、といふ気持ちになつた。なにがどこまでできるかどうかは判らないけれども。残された時間を充てたいと思ふ。
アンドルー・ワイルの本に出てゐることと重複する部分があるのだが、本文ではワイルの名前は一度も出なかつた。付録の特別対談P215で漸く対談相手の帯津良一氏が触れる程度。またワイルと親しい寺山心一翁(ワイルの「癒す心、治る力」のP168「誰もが神なんだ」によれば、腎臓癌が自然退縮した例としてあげられてゐる人)についても、本書の終り近いP195(「おわりに」を含め全222頁)で触れてゐる。まあ、そんなことはたいしたことではないが、本全体の印象だが、ちよつと信仰めいたものを感じ、引いてしまつた。
それは寺山心一翁氏のホームページでも感じたことなのだが、仏壇やお墓で拝むといふ標準的な先祖供養の気持ちしか持ち合はせないオレのやうな人間には、宗教集団のやうに感じられるのはなぜだらう。オレがひねくれてるのだらうか。まあ、素直じやない、天邪鬼かも知れないが。

2015-06-30

迷宮の美術史 名画贋作

岡部昌幸(監修)・青春新書(×2)。空いた時間に、とパラパラ捲つてゐたら、結局最後まで読んでしまつた。本物だから価値がある、といふ理屈は判る。世界に一つしかないものだから?そつくりに作られた偽物だつて世界に一つかもしれない。版画、浮世絵、ウォーホルのマリリン・モンローはどうなる?

2015-06-24

600.鬼平犯科帳(七)

池波正太郎・文春文庫(used)。こつちはちと時間がかかつてしまつた。(六)のはうは買つて直ぐに読み始め、一気に読んでしまつたのだが。鬼平が実に好い。使ひのものへの心遣ひ、密偵五郎蔵と鶴吉への配慮など。解説を中島梓が書いてゐて、三島由紀夫の「文章読本」で読んだ鷗外の「水が来た」に触れてゐるのには、にんまりしてしまつた。さうなんだよねえ、これが頭の隅つこに残つてるんだよねえ。

2015-06-02

599.鬼平犯科帳(六)

池波正太郎・文春文庫(used)。漸く、小説が読めた。短篇は読み返したりしてゐたけれども、一冊をまへにすると、どうにも頁が進まない。けれども、鬼平のまへには、それも解決。やめられないのだよ。(七)と一緒に買つたのがよかつた。もう、次が読みたくてたまらない。(二)以降は新装版といふヤツで、活字が大きいのだ。確か、この中にある「狐火」はDVDで見たんぢやないかな。おまさがいい、なんてことをいひ始めると粂八も彦十もいい、伊三次も、与力同士も言ひ始めたらキリがない。そもそも平蔵がいいからね。この中のどの話のどこがいい、なんてことは鬼平を読む人には関係ないんだよなあ。判つてるんだ、だから鬼平を読むんだよ、きつと。平蔵の心遣ひとか、それに応へる密偵とのやりとりは堪らないね、ちよつと涙ぐんだりもしてしまふのだよ。これはやつぱり全部、本で手元にほしいね。

2015-06-01

598.犬は「びよ」と鳴いていた

山口仲美・光文社新書(used)。題名が面白さうだつたので購入。副題として「日本語は擬音語・擬態語が面白い」。わんわん、がたがたなどの擬音語、さらさら、べたべたなどの擬態語が日本語にはとても多くて筆者はそれに魅せられてしまつたといふ。草野心平や宮沢賢治は好きで使つてゐるけれども、逆に嫌ふ人もゐて、森鷗外や三島由紀夫は使はないやうにしてゐたのださうだ。その分類と日本語の歴史の中で、これがどう変化してきたか、そして動物の鳴き声の変化について書いてある。面白いけど、案外時間がかかつてしまつた。P105〜106にかけて「あっさり」と「さっぱり」の違ひを説明してゐるが、「あっさり」は「物や人の性質(属性)にのみ使う」のに対して、「さっぱり」は「それから受ける私たちの気持ちをも表す」と区別してゐて、なるほどと思つた。肝心の犬の鳴き声で、P120の「わんわん」の例は1642年の「古本能狂言集」所収の「犬山伏」の引用で、P124の「びよびよ」の例は1660年の「狂言集」からの引用なのだが、古いはうが「わんわん」なのはどういふことか。「びよ」が「わん」に変化した例になるのかなあ。それからこれはほんたうに些細なことだが、十返舎一九(ジッペンシャイックと読む、けしてジュッペンシャイックとは読まないやうにお願ひします、「十手」は「ジッテ」、「十戒」は「ジッカイ」です「ジュッテ」や「ジュッカイ」とは読まないこと)の「東海道中膝栗毛」の引用でP158のネズミの鳴き声のところでは「弥次さん喜多さん」と地の文では書いてゐるが、引用文では「北八」になつてゐる。それがP194の馬の鳴き声でも同じ「東海道中膝栗毛」から引用があり、そこでは地の文でも「おなじみの弥次さん北さん」と書いてある。なんでだらう。

2015-04-24

597.医者の私ががんを消した食事法

中野重徳・中経出版。筆者は前立腺癌と診断された医師で、現在81歳。10年ほどまへにその診断を受けたといふ。前立腺内にとどまる癌であり、PSAも10以下、全摘出や放射線治療を受けずにホルモン治療を受けたのだが、副作用に悩まされ、食事療法に切り替へ現在に至つてゐるといふ。少しは参考になつたけど、違ひのはうが多かつた。PSAが10なんて、オレはまだ届かない、27だよ。しかもリンバ節に転移してるから摘出は無理。でも同じホルモン治療で、薬も同じなのにオレには筆者の言ふホットフラッシュ(まへぶれもなく体が熱くなる、動機が激しくなつて、顔がほてり汗が噴き出す)副作用はないんだよね。気づかないだけかね。いづれにしても筆者の年齢を考へると、加齢による小康状態にあるだけではないか、食事療法によるものとは思へない。食事の内容も、見事だな、と思へるやうな厳密さもないしね。因みに朝食のメニューは80歳の人が食べるものとは思へないほどの量です。蛇足ながら、P202「ジャガイモやトウモロコも野菜ですが」と。トウモロコシぢやないかなあ。こんな単純な誤植は出版社で気づかない?いいや。これはトウモロコシぢやなくてトウモロコなんだ、と言はれたら、なにも言へない。

2015-04-17

596.前立腺がん──治療法の選択のために──

順天堂大学医学部編・学生社。自分の病気についてインターネットや病院でくれる冊子の知識だけでなく、病院や医師が纏めたり書いたりしたものを読んで置かうと思つて購入。「はじめに」のところで順天堂大学の基本的な姿勢が書いてあつて、「自分の母親に対して、この治療が出来るのか」「自分の子供に対して、このメスを入れられるか」さういふ問ひを自らに発しつつ医療を行ふやうに教育してゐる、とある。これを仁の心と呼んでゐる。もう考へても仕方のないことだけど、……。改めて、向き合ふ心構へを。

2015-04-14

595.お客に言えない食べ物のウラ事情

㊙︎情報取材班・青春文庫(used)。「お客に言えない食べ物のカラクリ」と一緒に買つた。やはり食べ物についての雑学で、知らなくても生きて行くうへでは特に困らないだらう、といふ話。こつちは章立てが「人気食品のホントの裏側」、「身近な食べ物の意外な㊙︎事情」、「お客に言えない食品売り場の秘密」となつてゐて、立ち読みしたきには全然別の内容だらう、と検討を付けて一緒に買つたのだが、読んでみると三分の一くらゐは重複してゐるやうに思ふ。一つ一つ検証したワケぢやないから断定はできないが。こつちはイラスト付で、ページ数も多いのに値段が安い(本体543円+税で、あつちは本体619円P+税、どつちも108円税込で購入)のはなんでだらう、思つて奥付を見たら、こつちのはうが古くて2004年10月20日第一刷で、あつちは2014年2月20日第一刷。なのに、こつちはカバーの裏側の袖に「シリーズ第二弾」と書いてあつて、どつちが先?。
蛇足。あつちのP78にスーパーの「野菜だけは、消費期限も賞味期限も明示されていない」と書いてあるけど、もやしには期限が書いてなかつたかなあ?

2015-04-10

594.お客に言えない食べ物のカラクリ

㊙︎情報取材班編・青春文庫(used)。漸く始めから最後まで一冊の本を読むことができた。目出度いことだ。しかし、まだ油断はできない。なぜなら小説が読めないからだ。小説は書いてあることが頭に入らない。最初の一頁分くらゐで挫折してしまふ。それは兎も角読みをへた。食に関する雑学を纏めたものだ。例へば「ウナギ不足といいながら、かば焼きがまずまず出回っているのは?」に始まり、三元豚とはなにか、アイスクリームに賞味期限がないのはなぜか、コーヒー豆に新豆はあるか、ハチミツが腐らないのは本当か、メンマはどうやつて作るのか、といふ、まあ、どうでもいいやうな話がたくさん書いてある。暇つぶしにはちやうどいい。

2015-04-03

変な友達──吉田健一のこと──

白洲正子・新潮社「吉田健一集成別巻」所収。江國滋の「日本語八つ当たり」以降、もう一箇月近く新たに本を始めから読む、読み始めることができないでゐるのだが、そんな中で何度か繰り返して読んでゐるものの一つが、この白洲正子が集成別巻に書いてゐる吉田健一の話だ。例へば河上徹太郎や丸谷才一、篠田一士、清水徹といふ人たちが描く吉田健一の肖像とはすこし違ふ吉田健一がここにはゐる。或は当人が思つてゐたのとも違ふ吉田健一かもしれない。誰かがどこかで書いてゐて、それが誰でどこに書いてゐたのか、ちつとも思ひ出せないので書かうかどうしようか迷ふのだが、ちやつかり書いてしまふと、吉田健一は頻りに小林秀雄を褒めるけれども考へ方は相容れないのではないか、水と油ぢやないか、といふその辺をやはり白洲正子は書いてゐる。第一、小林秀雄のどこがそんなにが偉いのか、ちんぷんかんぷんで、それが文学といふものなら、オレは文学なんか判らなくても一向に構はない。ただ、ここにゐる吉田健一のはうが人間として魅力的だし、現実味がある(現実味なんていふ言葉はない、と吉田健一は言ふかなあ)。P340(あの、敗戦後に「いつそ国語をフランス語にしたらどうか」なんていふ正気の沙汰とは思へない発言をした「小説の神様」!である)志賀直哉が卵が割れないことで笑つたといふ話に「育ちがいいので卵が割れないと思うのは間違っている。育ちと卵とはぜんぜん違う話なのだ」と切つて捨てる。ほかにもあるが、書きたくなつたら書かう。34人が「吉田健一・人と文学」といふ括りで書いてゐるが、この白洲正子と吉田暁子の「まっすぐな線──父のこと」は何度読み返しても好い。ほかの人は伝説回路に嵌つてゐる。

2015-03-15

おかしなことを聞くね

ローレンス・ブロック/田口俊樹・他訳ハヤカワ文庫「ローレンス・ブロック傑作集1おかしなことを聞くね」所収。2008年の3月に記事を書いてるので、そつちと重複しないやうにしよう。古着のジーンズは一体どうやつて仕入れるんだらう、ちやうど穿きなれた頃の馴染んだジーンズを売るのなんて不思議だといつも思つてゐたロバートが遭遇する、思ひもよらない出来事。前回、お気に入りで挙げた「我々は強盗である」、「動物収容所にて」、「無意味なことでも」、バーニィーもの「夜の泥棒のように」、マット・スカダ―もの「窓から外へ」と、ついつい読んでしまつた「食いついた魚」、「成功報酬」、「アッカーマン狩り」を読み返した。実に面白い短篇が多い。全部で18篇収録してあるうち、タイトル作を含め9篇読んだわけだが、どれも少しづづ面白さが違ふ。飽きさせない。バーニィーとスカダ―の長篇シリーズは読んでみたいと思つたけれども、まだ読んでない本がたくさんあるので、いまは控へるしかないね。機会があれば、集めてじつくり読みたいものだ。

2015-03-02

日本語八つ当たり

江國滋・新潮文庫(used)×2。たぶん単行本で購入し読んでゐる。といふのは小沢昭一の解説を読んだ記憶がないから。単行本のはうは見当たらないので、売つてしまつたのだらうか。ほぼ江國滋の側に立つてゐると思ふ。まあ、お嬢さんが書いた「冷静と情熱のあいだ」といふ題名を見たら、どう感じるのだらうか、とは思ふけど。

2015-02-15

593.螻蛄

黒川博行・新潮文庫。やつぱり疫病神シリーズは面白い。二宮、桑原コンビは、最初の疫病神ですつかり気に入つてしまつた。今回は宗教団体のお宝を巡る駆け引き。オレは桑原が好きだなあ。二宮は黒豆コンビを思ひ出させる。

2015-02-09

592.迅雷

黒川博行・文春文庫。ヤクザの幹部を誘拐し身代金を要求する三人組の話。usedではなく疫病神シリーズの「螻蛄」と一緒に渋川のTSUTAYAで購入。1回目は上手く行く。それでもつと上の、大きな組織の幹部を誘拐することになつてこれが本筋で梃子摺る。1人が人質になつてしまふし、誘拐した幹部と交換するつもりだつたが、土壇場で思はぬミスから敵陣に乗り込んで仲間を救出する羽目になる。読み終へるまでやめられない。普通に見れば冴えない、落ちこぼれた男たちが、最後まで諦めないで行動する姿がいい。ラストはやつぱりハードボイルドだなあ、と思ふ。男つてバカだよなあ。この選択が嬉しい。

2015-01-30

夜のオルフェウス

都筑道夫・角川文庫「黒い招き猫」所収。もちろん冊数にはかぞへないが、かういふ風に短篇集の中にあつて、読み返すものも幾つかあるので、それらについてもこのブログに書いてしまふことにした。もともと「(ときどき)読書日記」といふタイトルでもあり、新たに読んだ本を中心にすることもないだらう。それに、例へばきのふHIKO7 NEWSのはうで取り上げた丸元淑生の「悪い食事と良い食事」の一部についても読み返したものについても書いてしまはうと思ふ。一冊まるごと読んだもの、ばかりでなくてもいいぢやないか、そのはうがプログのタイトルらしくていいんぢやないの、と考へたわけだ。
といふわけで(確か淀川さんがこんな風に映画の解説を始めたやうに記憶する)、まづは都筑道夫の「夜オルフェウス」。これ、どのくらゐ読み返したらう。始めて読んだときには、それほどでもなかつたのだよ、hiko8さんから推奨されるまでは。読み返すうちに良い小説だなあ、と思ふやうになつた。
けふは、ここまでにする。近いうちに続きを(つづきみちお、だから続きを、といふ駄洒落ではない)書くか、また別な違ふものについて書くか、そのときそのときで、ときどきの読書(読書といふ言葉もあんまり好きぢやなくて、趣味は読書です、とか、映画鑑賞です、とか平気で言へない、本を読むのが好きです、映画を見るのが好きです、といふ言ひかたは駄目なんかねえ)日記だから。
さうさう、まつたく関係ない話で、実は文庫の小説に限らず、解説を読むのが好きなんだよ。さういふ人もゐると思ふので、と書き始めで触れてゐる文庫の解説(ミステリだつたかな)に出くはしたことがあるが、ほかにもゐるんだなあ、と思つて安心した。
因みにこの「黒い招き猫」は石上三登志といふ人。どういふ人か、なにをなりはひにしてゐる人かは知らない。

2015-01-05

一日一生

酒井雄哉・朝日新書(×5)。年が明けて、何も読む気にならなくて、この本を読み返した。気持ちが少し楽になつた。

2014-12-29

591.バカ丁寧化する日本語

野口恵子・光文社新書(used)。まへに「かなり気がかりな日本語」(集英社新書)を読んでゐる。よく耳にするをかしな日本語を扱つたものだつた。「千円からお預かりします」、「こちら(注文した食べ物)になります」など。更に、あちこちで「いらっしゃいませ、こんにちは」と叫ぶ、やまびこ挨拶などについて書いてあつた。これは主に敬語を扱つたものだが、全体のトーンは同じで、説教臭くなく、読み易く面白くて、しかもためになる。敬語はむづかしい、とくに謙譲語。P204「尊敬語や謙譲語を適切に用いる自身がなかつたら、丁寧語だけにしておけばよい」、確かに。それで礼を失することにはならない筈だ、表情や態度で補へばいいのだから。をかしな敬語で書かれた看板や表示をみると、一体何が言ひたいのか、誰に敬意を払つてゐるのだらう、と首を傾げることがあるけれど、P216「敬語が難しいと思えば、普通の言い方に直してみるといい。敬語という化粧をとると真の姿が見えてきて、おかしな日本語や失礼な表現に気づくことも多い。そうしたら直せばいい。そして、必要なら、改めて敬語に挑戦すればよい」、正に仰る通りです。今年はこれが最後でせう、まだたつぷり2日あるけど、この年末年始はヘンリ・ミラーの「マルーシの巨像」をゆつくり読みたいので。

2014-12-12

590.ジーヴズの事件簿 才知縦横の巻

P・G・ウッドハウス/岩永正勝・小山太一編訳・文春文庫(used)。これは談四楼師匠の本と一緒に買つた。偶然目に付いて、ウッドハウスとか、ジーヴズつて名前をどこかで見た気がしたので解説を読むとやはり「謎解きはディナーの後で」シリーズの元になつた、或はパクつたと言はれてゐる短篇集だつた。事件簿となつてゐるが、こつちはミステリといふよりもユーモア小説だらう。厄介な事に巻き込まれる主人公バーティを助ける優秀な執事ジーヴズのお話。読んでゐて思ひ出したのは「ボートの三人男」やサキの短篇集だつた。

2014-12-05

589.もっと声に出して笑える日本語

立川談四楼・光文社知恵の森文庫(used)。続篇で、文庫書き下ろしだと前口上にある。まへの本を読んでゐるので買つてみた。始めのはうは爆笑、言葉の蒐集が主になるにつれてクスクス程度に。P263、煙草を吸ふと七秒寿命を縮めるさうで、一日に20本吸ふ人が一年寿命を縮めるには617年掛かるといふ話は面白い。

2014-11-27

ドキュメント狭山事件

佐木隆三・文春文庫(×2)。最近、狭山事件に関する展示を見る機会があつた。それで読み返した。購入が1982.10.08、直ぐに読んだと思ふので、実に32年振り。犯人ではないといふ根拠は見つからないけれども、犯人だとする理由も見つからない。ネット上で幾つか興味深いデータも公表されてゐる。脅迫状の筆跡と石川被告の筆跡を比較して似てゐると いふものもある。確かに似てゐる字もある。が、いづれにしても自白によつて発見されたといふ三大物証①カバン②万年筆③腕時計が実に胡散臭い。逮捕後間もなく証言してゐる三人の共犯説、脅迫状は石川被告が書いて実行犯は他の二人だといふ話がなんとなく信憑性があるやうにも思へるのだが。P44、死体発見当時の警察発表にある「犯人は四十〜五十歳くらいで土地の者、被害者と顔見知りの可能性が強い」といふのは、一体どんな根拠があつたのだらう。

2014-11-23

日本語「ぢ」と「じ」の謎

土屋秀宇・光文社知恵の森文庫(×2)。去年の四月に購入し読んで、期待外れだと書いておきながら再読。「ぢ」と「じ」は謎ではないでせう、さういふ風に仮名遣ひで定めたといふことでせう。言葉は変るものだ、と言ふ人がゐる。だから歴史的仮名遣ひに固執するのはをかしい、といふ意味らしいが、それは違ふ。この本にも書いてあるやうに、変つたのではなくて変へたのだ。

2014-11-21

588.ニューサイエンティスト群像

勁草書房・矢沢サイエンス・オフィス編(used)。これはニューサイエンスに関心を持ち始めた頃に館林の図書館の2階で見つけて借りて読んだもので去年(2013)の4月にamazonで古本を購入した。状態はいいのだが図書館の本みたいに透明なカバーが で包まれてゐるのが、ちよつと不思議だ。もともとかういふ装幀の本なのだらうか。いづれにしても読み始めたのは購入後間もなくで、といふことは1年以上かかつたことになる。どうも年ととともに集中力がなくなつてゐるやうで、それが加齢が原因かどうかはわからないけれども全体に体力が落ちてゐるのだらう、根気がない。一気に読めるのはミステリくらゐだ。
この本で形態形成場理論(グリセリンの結晶)や100匹目の猿の話、ガイア仮説、ダブルバインド、散逸構造。1/fのゆらぎ、ホログラフィック・パラダイムなんていふ魅力的な、ワクワクするやうな話を知つたし、なによりバックミンスター・フラーとアンドルー・ワイルを知つたのだ。

2014-11-18

587.るきさん

高野文子・筑摩書房(used)。これは文庫なら新刊があるのだが、どうしても刊行時のサイズで読みたいと思つて敢て中古を買つたのだつた。これはいい、かういふの好きだなあ。作者自身はこの作品が嫌ひなんださうだが。益々、上田としこを連想させるのだが、関連はないんだらうか。 細部が丁寧なので嬉しくなる。お、こんなところまで、といふ発見が楽しい。一通り読んでから、またパラパラと拾い読みをしてゐるうちに、結局最初から最後まで読んでしまつたのだつた。

2014-11-15

586.絶対安全剃刀

高野文子・白泉社。去年の2月末に購入し、漸く読みをへた。買つて直ぐに読み始めたワケではないが、少なくとも半年くらゐは読みかけたまま、ほかの読みかけと一緒に積んでゐたと思ふ。まへに読んだ「棒がいっぽん」と比べると、文芸的といふか、詩的といふか、「ガロ」風の、例へば永島慎二、真崎守とかを連想させるところが、ちよつと引いてしまつた。絵は巧いよねえ。表題作よりも「玄関」がいい。余計な ことで、「いこいの宿」のP147、オジがドアを開ける、引いて開けるのだが、下の次のコマでは押して開けてゐるやうに見える。些細な事で自分でも厭になるが、気になる。

2014-11-09

585.虚ろな十字架

東野圭吾・光文社。知人から借りたもの。代りに中町信の「模倣の殺意」、黒川博行「カウント・プラン」を貸した。ミステリが好きだが、中町信は知らないさうで、東野圭吾のファンだといふので「カウント・プラン」の解説は東野圭吾だつたから。
で、これは殺人者に対する死刑といふ刑罰に就いて書かれた、或は作られた物語である。最初の幼児殺人とその後の謎として扱はれる事件は無関係ではないことが読み進むうちに判るし、プロローグがその辺りを示してゐることも納得できるが、作者に言ひたいことが先づあつて、それがプロローグに続く物語であり、前段に語られる幼児殺人の悲劇は そのために作られた事件に思へてしまふ。これが辛い。といふのは、たかがミステリで、作られた事件だつたとしても、読むはうは感情移入してしまふのだ。作者の意図に気づくと弄ばれた気分になる。