2018-03-08

742.空気の底(手塚治虫傑作選集13)

手塚治虫・秋田書店(吉岡町図書館)。1話完結の短篇集で18篇収録されてゐる。いづれも「プレイコミック」掲載なのだが、一つも記憶にないものだ。「空気の底」といふ総題の意味はわからない。この題の作品もない。最初の「処刑は3時におわった」は筒井康隆の「お助け」を思ひ出した。多種多様な作品で、星新一や小松左京、或は都筑道夫、はたまたローレンス・ブロックの短篇に似たやうなのがなかつたかなあ。

2018-03-07

741.人間昆虫記(手塚治虫傑作選集19)

手塚治虫・秋田書店(吉岡町図書館)。大人向けの漫画雑誌「プレイコミック」に昭和45年5月〜46年2月まで連載されたもの。全部ではないが、雑誌掲載時に読んだ覚えがある。全体を通して読んだのは始めてで、模倣を繰り返し脱皮して成長して行く女主人公を虫になぞらへた物語だつたのだ。

2018-03-03

740.スティーブ・ジョブズ

バム・ポラック&メグ・ベルヴィソ/伊藤菜摘子訳・ポプラ社(吉岡町図書館)。児童図書のところにあつて活字も大きく100頁程度の薄い本。なかなか文字の世界に入れないのに無性に本の中に逃げたいといふ矛盾した思ひで落ち着かない日々。もつと本式の、上下2冊のジョブズの伝記もあるんだけど、パラパラめくつてもちつとも頭に入らないから、これにした。だいたい知つてることが書いてありました。ジョブズはオレより学年が一つうへなだけなのになあ。2011年56歳歿。hiko8さんよりも若かつたんだね。

2018-02-28

はだか川心中、その他

少しでも現実から離れたいと思ふのに本の文字を追ふことで別の世界に入つて行くことにもためらひといふか、落ち着かない感じがあつた。手元にある本はどれも読む気になれない。頁を開いても目が泳いでしまふ。どうにか気を紛らせるものはないか探してゐたら、都筑道夫の「十七人目の死神」(角川文庫)といふ短篇集を見つけて幾つか続けて読んだ。短い小説なのに一日に一篇読むのがやつとだつた。
実家にはhiko8さんが置いたままにしてある本がたくさんあつて、例へばhiko8さんが得意だつた理系の、数学や物理の、題名を見ても何が書いてあるのか想像もできないものや、哲学書などが本棚一つ分あるのと、かつて祖父が寝起きしてゐた部屋にある本棚にも文庫が十数冊あつて、これはその一つ。
都筑道夫と言へば「夜のオルフェウス」といふ傑作があつて、その見事さ、素晴らしさを教へてくれたのはhiko8さんだつたが、そもそも都筑道夫を読み始めたのはオレのはうが先だつたのだ。ショート・ショートに興味があつた頃で、だから二十歳前かなあ、高校生だつたかもしれない。「阿蘭陀すてれん」とか「悪魔はあくまで悪魔である」とか「黒い招き猫」とか、山藤章二の独特のイラストが添へられた角川文庫を買つて読んだものだ。
でも、この「十七人目の死神」は持つてゐなかつたと思ふ。
古ぼけた丸善のカバーがついてゐるから、きつと東京で買つたのだ。奥付を見ると昭和五十二年一月三十日再版発行と書いてあるから、hiko8さんが十七、八歳の頃だらう。
今回読んだのは、全部で十一篇収録してあるうちの、中でも更に短いもので「不快指数」、「はだか川心中」、「父子像」、「風見鶏」の四篇。たぶんhiko8さんは「風見鶏」が好みだらう。次に「不快指数」かな。オレは「はだか川心中」。次が「父子像」。要はオレのはうが見た目が単純な展開で意外な結末を好む、といふことだらうな。そんな話をすることも、もはやできない。

2018-02-04

739.いい加減にしろよ(笑)

日垣隆・文芸春秋(吉岡町図書館ブックリサイクル)。名前は見たことがあるやうな、ないやうな、他の人と勘違ひしてるかもしれないが、タイトルはちよつと面白さうだから手に取つてパラパラ。第一章の細木数子はささツと読み飛ばし、次の平山郁夫のところを拾ひ読みしてたら、ここで立ち読みするなら貰つて帰らう、といふことになつた。日本の美術で「世界をマーケットに通用してきたのは浮世絵だけではないか」と第二章「画家鑑定 平山郁夫──権力獲得の裏面史」の終りのはうに出て来る。いま世界で取り上げられてゐる日本の現代美術はオタク系やアニメ系ものだが、そもそも北斎漫画などの浮世絵も似たやうな成り立ちなのだから、日本美術なんて国内では名前を知られた人だとしても、日本画にしても洋画にしても、所詮限られた作者が世界のほんの一部の熱心な人たちが興味を持つてるだけなんだよ。それにしても平山さんは奇妙な人だ。他には犯罪や警察捜査、再犯、精神障害犯罪者や心神喪失者に対する(被害者の存在を忘れた)過剰な保護姿勢などへの言及もあり、氏の他の著作も読んでみたいと思つた。

2018-01-31

酒井阿闍梨の「一日一生」がカウントされてないといふ話

いま読んでる本(最後まで読めるかどうか不安なので敢へてタイトルは記さない)を以前にも読んでるんぢやないか、と思ひ、遡つて古い記事を検索した。と、酒井阿闍梨の「一日一生」を読んだのは、No.の後に本のタイトルを入れないで、いきなり本文に入るパターンだつた頃だつたが、そのまへの記事が「176.ループ」(2008.12.28)なのに、「一日一生」の記事(2009.01.03)は後ろに(158)と記されてゐて、順番がをかしい、と気づいたワケだ。
では、158は何かと調べると「158.天童駒殺人事件」(2008.10.10)で、番号が重複してゐる。なので、「一日一生」のはうは番号を削除した。
それ以前に読んてゐて、番号を付けてないとは思へない。手元にこの本はなく、自宅に帰らないと確かめようがないが、本の後ろに書いてある日付が2008年の大晦日であれば、間違ひなく抜けてしまつたのだ。
が、十年もまへのことだし、途中で割り込ませるのも何だし、一冊くらゐいいんぢやね、といふ気もする。ただ、一応さういふことです。たぶん、上下巻ものとか、巻数の多いものを一冊づつにカウントし直したときに見逃したんだらうね。他にもあるかも知れないし、察数の多いものは計算間違ひなんかもあるんぢやないか。ま、ただの覚書だから、適当に。

2018-01-30

738.私が出あった世にも不思議な出来事

鳩山幸・池田明子/Gakken(吉岡町図書館ブックリサイクル)。学研の「ムー」といふ雑誌に隔月連載された24人へのインタビュー記事を纏めたもの。聞き手の鳩山幸は鳩山由紀夫の、池田明子は梅沢富美男の夫人。相手は佐藤愛子に始まり、久司道夫(本書は2008年発行で、氏は2014年に死去。マクロビオテックといふ食事療法の提唱者で、忌野清志郎や坂本龍一がその実践者)、湯川れい子、寺山心一翁など。心霊体験、神秘体験やUFO目撃譚が殆どで、それは「ムー」つていふ雑誌がさういふ雑誌だからね。語り手が芸能人や文化人と呼ばれる人になつただけで、内容は、ほぼ予想がつく程度の「世にも不思議な出来事」だつた。途中で一度退屈の余り捨ててしまはうかとも思つたけど、偶然目に留まり、手にしたものなのだから因縁があるものだらう、と思ひ直して最後まで読んだ。

2018-01-21

737.凶刃 用心棒日月抄

藤沢周平・新潮文庫。P55、再会のとき「十六年も音信もなくほうっておかれたからと、寝首を掻くようなことはいたしませぬ」と佐知は言ふ。ほかにもある。言つてから頬を染めたりするところが堪らなく、いい。拾つてみよう。P69、「出来れば、わたくしがお食事をつくってさしあげられるといいのですけれども」P328、「今日は思いがけなく、小半日もご一緒出来てたのしゅうございました。こんなことはもう出来ないものと思っておりましたから」。嗅足組を解散したあとで尼になるといふ佐知は、数年の修行を終へたら国元の明善院の安寿になることが決まつてゐると言ふ。果報者よのう、青江又八郎は。

2018-01-19

736.刺客 用心棒日月抄

藤沢周平・新潮文庫。続きが読みたくて堪らない。中毒。半分は佐知のことを読みたい。解説の常盤新平が書いてるが、まさに佐知のことが読みたくて用心棒シリーズを読んでゐる。だから度重なる脱藩も多少は不自然だと感じても又八郎が江戸に出なければ佐知が登場しないんだからやむを得ない。P348、佐知は「私を、青江さまの江戸の妻にしてくださいまし」と言ふ。いいなあ、佐知は。続くシリーズ最終作「凶刃」は長篇で、しかも十六年後の話ださうだ。買つて読まねばならない。

2018-01-17

735.つらくないがん治療

柳澤厚生・株式会社B.G.。副題「高濃度ビタミンC点滴療法」。前橋のクリニックで高濃度ビタミンC点滴を受けることになつた。その初日の診察後、院長から渡されたもの。治療内容は事前に調べたものと余り変はりはない。いまはこの治療に掛けるしかない、いい結果が出ることを期待して。

2018-01-16

734.じみへん仕舞

中崎タツヤ・小学館。単行本でしかもサイズが大きい。そして540頁もある。904回から始まり最終は1171回。といふことは引き算して267回分。中崎タツヤは還暦を機に断筆したさうだが、氏とは学年が一緒なので、なにかと気になる人だ。「もたない男」つてのも読んだし、まあ、さういふことだ。

2018-01-08

733.弧剣 用心棒日月抄

藤沢周平・新潮文庫。まへの「用心棒日月抄」もこれも四ツ角の正林堂で買つた。店内をよく見ると結構本が揃つてゐて、TSUTAYAより多いかもしれない。そんなことはどうでもいいが、やはり佐知はいいなあ。人物にかう、思ひ入れといふか、肩入れしてしまふのは、藤沢周平の書き方が上手いからだらう。又八郎は勿論、口入れ屋の吉蔵も細谷源田夫も米坂八内もいい。一作目の「夜鷹斬り」のおさきも好かつた。しかし、佐知には適はないね。P452の場面、ここは実にいい。なので、次の「刺客」も買つてしまつた。

2017-12-20

732.用心棒日月抄

藤沢周平・新潮文庫。始めて藤沢周平を読みました。面白かつたなあ。次の「弧剣」を直ぐにでも読みたい。赤穂浪士との絡みもいい。おりんと佐知がこれだけで終るとは思へない。いや、終つてほしくない。

2017-12-07

730.731.フロスト始末 上下

R・D・ウィングフィールド/芹澤恵訳・創元推理文庫。これが最後のフロストだ。前作「冬のフロスト」を読んだのが2014年の5月。今年の8月に近くのTSUTAYAで見つけて購入したものの、なかなか読み始められなかつた。500頁近いのが2冊だから。今回はジョン・スキナーといふ面倒な仕事はやらないくせに手柄だけは持つて行くといふ呆れた上司に振り回される。キャロル・リドリーといふ新任の検屍官と上手く行きさうなのだが、どうなるのか。もう続きは読めないからなあ。下巻の解説によれば巡査部長時代のフロストを書いた長篇が既に4冊出てゐるらしい。邦訳が手に入るなら、ちよつと読みたい気もする。

2017-11-25

729.「坊っちゃん」の時代

関川夏央、谷口ジロー・双葉社(吉岡町図書館)。これは漫画で、1998年の第2回手塚治虫文化賞マンガ大賞を受賞してゐる。因みに第1回は「ドラえもん」。「坊つちやん」が書かれた明治38年〜39年を中心に漱石をめぐる話で、元にしてゐるのは太田西涯著「明治蹇蹇匪躬録」だと最初に書いてあるが、著者の太田西涯は作中人物で「坊つちやん」のモデルになつたといふ架空の人物、太田仲三郎。なので「明治蹇蹇匪躬録」そのものも架空のものであるやうだ(wikipedia)。鷗外や樋口一葉、啄木、藤村、平塚雷鳥なども登場する。漱石の月収と石川啄木の月収の差に驚いた。漱石の年齢は明治の年号と同じなので明治38年、38歳の漱石の月棒は150円くらゐ(帝大講師として年棒800円、一高講師として年棒700円、明大講師で月棒30円)。大工の一日の手間が1円だと書いてあるから、大工は月30日丸々働いても30円。一方、明治39年、20歳の石川啄木は渋民村尋常小学校の代用教員になり、月棒8円。啄木は19歳で結婚してゐるから、これぢやあ暮らせないよなあ。

2017-11-06

728.癒しのホメオパシー

渡辺順二・地湧社。リサイクル図書。アンドルー・ワイルの本でも取り上げられてゐるホメオパシーについて興味があつて、別の入門書のやうなものは借りて読んだが、どうもしつくりしなかつたことは既に他のところで書いたし、この本のことにも触れたかもしれない。
いま調べたら、hiko7 newsの今年の8月10日の記事に、読み終りさうもないので、と書いてあつたが、どうにか読了。一縷の望みとしてホメオパシーを記憶しよう。

2017-11-03

727.前立腺がんを生きる

NPO法人健康と病いの語りデイペックス・ジャパン編著・海鳴社。インターネット上でサイトを閲覧したこともある、前立腺癌体験者48人へのインタビューを纏めた本。9月に購入し、少しづつ読んできた。半分くらゐ読んで、自分と照らして先行きの不安からページが進まないこともあつたし、身につまされて目が潤んでしまひ本を閉じたこともあつた。強くならねば。信じなければ。

2017-10-15

726.病気は脳がつくっていた

田中一・現代書林。副題「動物脳を解放すれば、健康になる!」。最近、e-クリニックといふネットの診療所、といふか相談所といふか、そこの会員になつたのだが、会員登録したら、小冊子やDVDと一緒にこの本が送られて来た。簡単に、大雑把に要約すれば、病は気から、といふことだ。治るためには、頭を抜く、脳の癖を治して感じ方や考へ方、行動を変へることで、大脳新皮質よりも古い脳、動物脳を優先させることだと言ふ。やつてみませう、少しづつ。

2017-10-10

725.スロージョギング健康法

田中宏暁・朝日新聞出版(吉岡町図書館)。ガリレオを返却した帰りに入口自動ドア付近にディスプレイされてゐたのが目について借りた。宣告以来、走ることは極端に減り、専らウォーキングだつたが、ウォーキングは実は物足りなかつた。走ることで生じる体への負担を軽くするつもりで歩いてゐたのだが、もうそろそろ走りたいと思つてゐたところだつた。たまに走つてゐたけど、月に1回とか、そんなものだつた。だから再開するに当たつて、無理のないやうに流行りのスロー・ジョグから、と思つたワケだ。ところがこれがなんとも怪しい、不可解な代物で、時速4〜5kmで走るのが目安だといふのだが、時速4kmつて1時間に4kmだよ、ペースで言ふと、1kmを15分。不断、普通に歩く速度だらう。5kmだつて、1kmを12分。やや早歩きだけど。ところが読み進むと、これでフルマラソンが走れるやうになる、と話が飛躍する。待つてよ、1時間に4kmぢやあ、フルマラソン完走までに10時間を超えてしまふでせう。ホノルル・マラソン以外は大抵、制限時間が5〜6時間だ。失格しちやふでせうに。「となりのスロージョガー①」といふコラムに60歳の男の人の例が挙げられ「だんだんスロージョギンクのスピードも上がつてきました。そして3か月後には、ついにハーフマラソン」を完走し、「走り始めてまだ5か月目」フルマラソンを走り「見事に完走」しかも「3時間42分」だつた、と。はあ?これぢやあ、ちつともスロージョギングぢやねえだろ。筆者は知つてると思ふけど、敢へて言ふと、1kmを5分以内(時速12km以上)で走らないと4時間は切れないからね。これ、けして簡単なことぢやないから。オレは1km6〜7分(時速8〜10km)で走るのが、やつと、だつたからね。スロージョギングつて、フルマラソンを早く走るための練習法なの?と聞きたくなる。だつたら、健康法なんて言はないで、きちんとさう書けばいい、サブ・タイトルでもいいよ、「いかにフルマラソンを早く走るか」と。(因みに、スロージョギング向けの靴の話で、筆者が関はつた靴の宣伝もあつたりする。)

2017-10-09

724.虚像の道化師

東野圭吾・文藝春秋(吉岡町図書館)。といふワケで、続けてガリレオを読んだ。サブ・タイトルみたいに「ガリレオ7」とある。これが7作目といふことか。長篇が3作(「容疑者Xの献身」「真夏の方程式」「聖女の救済」かな)あつて、短篇集が「探偵ガリレオ」、「予知夢」「ガリレオの苦悩」で、これが7作目か。といふことはガリレオは最新の「禁断の魔術」を除いて凡て読んだといふことだな。確か、もともと湯川学は佐野史郎をイメージしてると、作者本人の発言だつたか、文庫のどれかの解説に書いてあつたと思ふが、最近は福山雅治が湯川役なので読んでゐて福山の顔がチラ付いて鬱陶しかつた。オレのイメージとは違ふんだよなあ、と言つて佐野史郎でもないし。第三章「偽装う」には救ひがある。